砂糖やデンプンなどの炭水化物は、虫歯を引き起こす原因として知られています。口の中に存在する細菌が炭水化物を発酵させる際に発生する「酸」によって歯のエナメル質が分解され、虫歯が引き起こされるのです。しかしながら、十分なデンタルケアをすれば、虫歯のリスクは減らすことができます。特に子どもに対しては、保護者によるケアが重要です。就寝前の飲み物はジュースなどではなく水にする、食事の終わりには牛乳などを飲むことで口の中の「酸」を減らす、食事のあとは1時間以内に歯磨きをする、などのケアを心がけましょう。


歯科衛生の向上、そして飲料水や歯磨き粉、マウスウォッシュ(口腔洗浄剤)へのフッ素添加により、先進国では虫歯が大きく減少しています。さらに、米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control:CDC)によれば、シーラント(歯のかみ合わせの溝をフッ素入りの樹脂で埋める虫歯予防処置)とフッ素の組合せによって、学童期の子どもの虫歯をほとんどなくすことができるとしています。しかし、現在でも虫歯がなくなることはなく、問題となっており、治療せずに放置すれば痛みを引き起こし、食事や会話、遊びや学習にも影響します。

砂糖とデンプンなどの炭水化物を含んだ食品や飲料(高カロリー飲料を含む)は、虫歯の大きな原因となっています。虫歯は、炭水化物が口腔内細菌によって歯の表面で発酵することで発症します。炭水化物の発酵によって酸が生成され、歯のエナメル質を分解または「脱灰」するのです。虫歯の発症に大きく影響するのが、炭水化物が口内に留まっている時間です。口腔内細菌が糖類やある種のデンプンにさらされる時間が短いほど、口腔内細菌が酸を生成する可能性が減少します。清涼飲料水などは、飲んだ後に速やかに口内から消失するため、口腔内細菌との接触時間は短いといえます。

幸いなことに、虫歯のほとんどは予防可能です。デンタルケアに十分な注意を払い、フッ素の使用と定期的な歯科受診によって、虫歯のリスクを減らすことができます。子どもの歯を守るために、保護者は子どもにジュースを与える際の小児歯科ガイドラインに従って、就寝前や昼寝前の子どもには、水のみを与えるようにする、間食のお菓子を制限する、といったことに気をつける必要があります。

柑橘類やジュース、ピクルス、一部の清涼飲料水など、酸性度が高い食品や飲料を頻繁にとったり、比較的長時間口に含むと、歯の侵食の原因になることがあります。唾液は酸に対する緩衝作用をもつので、酸が歯のエナメル質に与える影響を低減できます。

歯の侵食を防ぐには、「酸性飲料をストローで飲んだり、酸性飲料で口内をすすぐ行為を避ける」「食事の際は酸性度の高い食品や飲料を制限する」「食事の最後にはチーズや牛乳をとる」「酸性度の高い食品や飲料をとった後は、少なくとも1時間以内に歯磨きをする」ことが有効であり、そうすることで歯の再石灰化を促すことにもなります。食後にシュガーレスガムを噛むことは、唾液の分泌を促し、口内に発生した酸の中和に役立ちます。

関連参照サイトと資料
歯の清掃(ADA)
口と歯:健康を維持する方法 (AAFP)
歯科衛生:子どもの歯のケア方法 (AAFP)
歯の健康維持の基本(CDC)
口内衛生 (WHO)
口内衛生向上のためのグローバルポリシー (WHO 2007)
高齢化社会における口内衛生 (WHO)
食品、食習慣、歯科衛生 (EUFICレビュー)
小児科におけるフルーツジュースの正しい活用法
American Academy of Pediatrics Policy Statement. Pediatrics. 2001; 107(5): 1210-1213.