アスパルテームとは甘味料の一種で、私たちの身体の中でフェニルアラニンやメタノール、アスパラギン酸といった成分に分解されることが知られています。かつては、アスパルテームやその分解物は健康を害すると考えられていた時期もありました。しかし、2013年に行われたリスク評価によって、アスパルテームが分解されて生じるこれらの成分は、私たちが今まで問題なく食べていた果物や野菜などにも含まれており、アスパルテームを摂取することで、私たちの健康が損なわれることはないということが明らかになりました。


欧州食品安全機関(European Food Safety Authority:EFSA)はアスパルテームについて初めて完全リスク評価を行い、この甘味料とその分解物について、現在の曝露レベルでヒトが摂取しても安全であると結論づけました。EFSAはこのリスク評価実施にあたり、アスパルテームとその分解物に関して、動物ならびにヒトを対象とした入手可能なすべての調査・研究を綿密に検討しました。

Alicja Mortensen先生(EFSA食品添加物および栄養添加物〈ANS〉委員会議長)は、次のように発表しました。「この見解は、これまでに行われたアスパルテームのリスク評価の中で最も包括的なものの1つです。EUの食品安全評価システムと食品添加物に関する規制がしっかりした科学的根拠に基づくものであることは、消費者の信頼を一層確かなものとする第一歩だと言えます。」

ANS委員会の専門家たちは、入手可能なすべての情報を検討し、詳細な解析を行いました。その結果、現在の1日摂取許容量(Acceptable Daily Intake: ADI)である40mg/体重kg/日は一般消費者にとって安全であると結論づけました。ただし、フェニルケトン尿症(phenylketonuria: PKU)患者にはこのADIは適用されず、タンパク質中のアミノ酸の一種であるフェニルアラニンの摂取制限を厳守する必要があります。

動物ならびにヒトを対象とした調査・研究によって得られた科学的根拠を綿密にレビューした結果、EFSAの専門家たちは、次のような見解を示しています。「アスパルテームが遺伝子に障害を与え、がんを誘発するリスクがある可能性は除外しました。さらに、成人、小児のいずれにおいても、アスパルテームは脳や神経系に害をもたらすことはなく、行動や認知機能にも影響を与えることはないと結論づけました。妊婦に関しては、現在のADIでアスパルテームから生じるフェニルアラニンに胎児が曝露されても、胎児の発育にリスクをもたらすことはありません。」(ただしPKU患者の女性の場合は除く)

この見解では、アスパルテームの分解物 であるフェニルアラニン、メタノール、アスパラギン酸は、他の食品にも天然に存在していることが明らかになっています。例えば、メタノールは果物や野菜にも含まれています。食事を介して曝露するこれらの物質の中で、アスパルテーム由来の物質の占める割合は低いのです。

EFSAはこの見解で、リスク評価の対象となる調査・研究の選定基準および科学的根拠を評価するために適用された基準についても言及しています。さらに、EFSAの専門家たちは、アスパルテームを評価する際に生じる不確実性についても検討しています。この見解では、アスパルテームの潜在的なリスクが過小評価されないようにするため、リスク評価においてどのような対処が行われたかについても説明しています。

ANS委員会が実施した包括的検討の対象データは、2回にわたる意見公募を通じて集められました。これらのデータには、これまでに公開されたデータだけではなく、非公開のデータや調査・研究なども含まれており、膨大な科学的情報がもたらされる結果となりました。

EFSAは、ドラフト段階の見解素案に対して2013年1月9日から同年2月15日までの間に一般からの意見公募を行い、期間中に受け取った200件を超える意見すべてを考慮の対象としました。さらに、EFSAでは検討段階において関係者を招いた公聴会を設け、素案と意見公募中にオンラインで受け取った意見に対するフィードバックについて議論を交わしました。EFSAとステークホルダー*との対話により、素案の中のいくつかの重要な側面について、最終結論で明らかにする必要があることが判明しています。

*企業や団体などの利害関係者。

EFSAでは現在、意見公募中に受け取った素案に対する意見や、その意見に対する回答、そして最近公表され、EFSAが注目した2つの文献(米国環境保護庁によるレビューおよびGiftらによる検証論文)を公開しています。これらの調査・研究は、アスパルテームに関するEFSAの結論をくつがえすものではありませんでした。

出典:EFSA Press Release, December 10, 2013

EFSA報告書全文: Scientific Opinion on the re-evaluation of aspartame (E 951) as a food additive. EFSA Journal 2013; 11(12): 3496 [263 pp.].