炭酸飲料は、ヨーロッパ発祥の飲料であり、日本に伝わったのは1853年ペリーの浦賀来航のときとされています1)。今では私たちの生活にすっかりなじんでいますが、炭酸飲料に関する知識まで定着しているとはいえないかもしれません。身近な飲料だからこそ、正しい知識を持ったうえで、生活にとり入れるようにしましょう。


そもそも炭酸飲料とは?
炭酸飲料とは、(1)水に二酸化炭素を溶かした「炭酸水」と、(2)「炭酸水」に甘味料、酸味料、フレーバリング等を加えた飲料のことを指します。前者の「炭酸水」は、スパークリングウォーターなどと呼ばれることもあります。一方、フレーバリングとして、果汁を加えたものはフルーツソーダ、乳製品を加えたものはクリームソーダとなり、後者に分類されます。炭酸水に加えられるフレーバリングには、このほかに、香料、果実ピューレ、植物エキスなどがあります1, 2)

圧力を加えて、二酸化炭素を溶かし込む
炭酸飲料の製造法は、圧力を加えて水1)に二酸化炭素を溶かす「カーボネーション」という工程が含まれるのが特徴であり、プレミックス法とポストミックス法に大別されます。プレミックス法は、風味をつけた飲料をカーボネーションする方法で、ポストミックス法は、カーボネーションした水をシロップに混ぜる方法です。一般的に、プレミックス法は、瓶、缶、ペットボトル飲料に、ポストミックス法は、瓶飲料に使われます。二酸化炭素は、低温・高圧であるほどよく溶ける性質があり、製品ごとに、最適な圧力が決められています。また、原料の水のなかの酸素は劣化の原因になるので、酸素をとり除く「脱気」という工程も不可欠です1)。このように、炭酸飲料は、製品ごとに適切に設計された複数の工程を経て製造され、私たちの元に届けられています。

開封して時間がたった炭酸飲料で、刺激感や甘さが変わるのはなぜ?
炭酸飲料の醍醐味ともいえるパチパチとした刺激。その正体は、表面に次々と浮かび上がるあの「泡」だと思っている人も多いかもしれません。しかし、近年の科学的な研究によって、パチパチとした刺激の正体が「泡」ではないことが明らかになってきました。では何が刺激を生み出すのかというと、それは、炭酸飲料に溶けた「二酸化炭素」が口内の酵素と反応してできる「炭酸」そのものです。泡が刺激に全く関与しないわけではありませんが、大部分は、炭酸が口内から感覚神経を通じて脳に伝わることで、刺激として認識されています3, 4)。また、二酸化炭素は水に溶けると弱酸性になるため、炭酸飲料には酸味がありますが、二酸化炭素が抜けると酸味が弱まり、甘味が増すことがわかっています5)。開封してより時間がたった炭酸飲料を飲んだときに、口のなかでのパチパチとした刺激が弱まったり、甘く感じたりするのは、飲料中に溶けている二酸化炭素の量が変化していたためというわけです。

定義や規格がきちんと設定されており、製造法も確立されているからこそ、私たちは、気軽に炭酸飲料を楽しむことができるといえます。刺激や甘さを左右する「二酸化炭素」の役割にも注目しながら、炭酸飲料が演出する爽やかなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

参考文献
1)   炭酸飲料の基礎知識(日本清涼飲料検査協会)
http://www.seiryouken.jp/link_soft_drinks.html(最終アクセス:2017年12月1日)

2)   炭酸飲料の日本農林規格(農林水産省) 
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/05_kikaku_tansan_150528.pdf(最終アクセス:2017年●月●日)

3)   Wise PM et. al., PLoS One. 2013, 8, e71488 

4)   駒井三千夫ほか, におい・かおり環境学会誌. 2006, 37, 408-16

5)   炭酸ガスのつくられ方(日本産業・医療ガス協会)
http://www.jimga.or.jp/front/bin/ptlist.phtml?Category=6979(最終アクセス:2017年●月●日)

参考文献
飲料が骨に及ぼす影響の有無を検証。栄養と骨の健康の専門家であるRobert P. Heaney先生へのインタビュー

香りと飲料のおいしさの関係