アスパルテームは1965年に発見されたのち、1981年に米国で食品への使用が許可された甘味料です。現在、世界100ヵ国以上で食品に使用されており、その安全性は数々の研究によって証明されています。例えば、アスパルテームは私たちの身体の中で、アスパラギン酸やフェニルアラニン、メタノールといった成分に分解されますが、これらの成分は、私たちがこれまで食生活に取り入れてきた牛乳や肉、野菜や果物にも同じように含まれていることが分かっています。また、アスパルテームの摂取と、白血病や脳腫瘍といった病気の発症に関連がないこともすでに明らかとなっています。


アスパルテームは、食品添加物の中でも、最も詳細に調査・研究が重ねられているものの1つで、その安全性を確認する試験は200を超えます。また、世界で6,000以上の食品や飲料にアスパルテームが使用されています。

アスパルテームは1965年に発見され、1981年に米国食品医薬品庁(Food and Drug Administration : FDA)により使用が認可されました。アスパルテームは、現在FDAの他に国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization:FAO)/世界保健機関(World Health Organization:WHO)合同食品添加物専門家会議(Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives : JECFA)、欧州食品安全機関 (European Food Safety Authority : EFSA)、フランス食品安全機関(Agence Française de Sécurité Sanitaire des Aliments : AFSSA)により、認定または承認されており、100ヵ国以上で食品や飲料に使用されています。

アスパルテームは、ほぼすべての人種・国・年齢で安全性が確認されています。唯一の例外は、フェニルケトン尿症(phenylketonuria: PKU)と呼ばれる遺伝性の希少疾患を有する児童です。この疾患の児童はフェニルアラニンというアミノ酸を代謝できないため、本成分を含む食品や飲料を摂取してはいけません。フェニルアラニンは、牛乳、乳製品、卵、肉類など、主にタンパク質の豊富な食品に含まれています。アスパルテームの構成成分でもあり、ほとんどの国において、アスパルテームを含む食品や飲料に「フェニルアラニンを含有する」という情報をPKU患者に向けて、ラベルに記載することが義務付けられています。

1日摂取許容量(ADI)
アスパルテームやその他の低カロリーまたはカロリーゼロ甘味料などにおいては、食品や飲料に使用可能な添加物の摂取基準が設定されています。この摂取基準値は 1日摂取許容量(Acceptable Daily Intake : ADI)と呼ばれ、体重1kgあたりの量で示されます。これは一生、人間の健康に悪影響を及ぼさずに摂取できる1日あたりの量を意味します。ADIは広範な安全性検証試験に基づいて定められています。

FDAは、成人、小児ともに、アスパルテームのADIを 体重1kgあたり50mg と定めています。体重が68kg(150 pound)の場合、アスパルテーム3,400mgを毎日摂取し続けても、身体に悪影響はありません。なお、市販されているダイエットコカ・コーラに含まれる量は、360mL(12 fl. oz.)あたり185mgにすぎません*。

*2012 年 5 月現在(5 mg単位に四捨五入)

代謝
アスパルテームは体内で完全に代謝され、他の食品や飲料に含まれるものと同様の自然化合物になります。

また、アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンという2種類のアミノ酸(さまざまなタンパク質の構成単位)で構成されています。これらのアミノ酸は、卵、肉、魚、チーズ、乳製品、ナッツ類など、日常的に摂取するタンパク質の豊富な食品に含まれる成分と同じものです。

アスパルテームを摂取すると、代謝されて、アスパラギン酸、フェニルアラニン、メタノールに分解されます。これらの成分の摂取量は、アスパルテーム入り飲料に比べ、牛乳、肉、乾燥豆、果物、野菜など、さまざまな食品から摂取される量の方がはるかに多いのです。例えば、240mL(8 fl. oz.) の無脂肪乳には、アスパルテーム入り飲料に比べ、フェニルアラニンが約6倍、アスパラギン酸は約13倍も多く含まれています。トマトジュースには、同量のアスパルテーム入り飲料に比べ、約6倍のメタノールが含まれています() 。

一般的な食品・飲料のフェニルアラニン、アスパラギン酸およびメタノールの含有量(mg)

食品・飲料 1回提供量 フェニルアラニン* アスパラギン酸* メタノール
ダイエットコカ・コーラ 240 mL
(8 fl. oz.)
60 48 12
牛乳(無脂肪乳) 240 mL
(8 fl. oz.)
404 592
バナナ 中サイズ 58 146 21
トマトジュース 240 mL
(8 fl. oz.)
39 231 71

*アミノ酸

推定摂取量
成人、小児を問わず、アスパルテームの摂取量が推定される最大量だったとしても、安全基準を超えることはありません。近年、専門家が行ったアスパルテームの安全性調査では、2001~2002 年度の米国国民健康栄養調査 (National Health and Nutrition Examination Survey : NHANES) で得られた食品摂取量および各種食品と飲料のアスパルテーム含有量の知見に基づいて評価された、現在の米国におけるアスパルテーム摂取量が示されています。本調査によると、仮にあらゆる低カロリー食品・飲料にアスパルテームが使用されたとしても、成人のアスパルテーム平均摂取量は米国におけるADIの10%程度であり、最大量を摂取した場合でも30%未満です。なお、6~11歳の小児では、アスパルテームの平均摂取量は米国ADIの11%でした。

アスパルテーム摂取量(推定、米国)と米国 ADI の比較*

低カロリーまたは
カロリーゼロ甘味料摂取者
アスパルテーム推定摂取量
mg/kg
米国 ADI の割合
(米国ADI = 50mg/kg)
低カロリー甘味料摂取者
50 パーセンタイル 4.8 10%
95 パーセンタイル 13.3 27%
子ども、6~11 歳(サブグループ)
50 パーセンタイル 5.5 11%

*食品・飲料に使用される低カロリーまたはカロリーゼロ甘味料はアスパルテームのみの場合とする。

安全性への疑いに対して取り組んだ研究
2010年、EU各国の専門家がアスパルテームの安全性を評価した結果、アスパルテームの安全性に疑いを抱かせる新たなエビデンスは見つかりませんでした。

がん: 1996年にアスパルテームの悪性腫瘍発現に関する報告がなされました。1975年から1992年にかけて上昇した脳腫瘍発生率と米国で使用され始めたアスパルテームに関係があるというものです。しかし、米国立がん研究所(National Cancer Institute)の分析によると、脳腫瘍と中枢神経系がんの発症率はアスパルテームが認可される8年前から上昇しており、1985年まで上昇し続けていました。また、この上昇が見られたのは主に70歳以上であり、アスパルテームの摂取が少ない年齢層です。

2011年、EFSAは、アスパルテームに曝露したマウスと悪性腫瘍発現との関連性を主張した複数の研究調査のレビューを行うとともに、59,334人の妊婦被験者に見られた早産と人工甘味料を含む飲料の摂取との関連を指摘する二次研究を再検討しました。その結果、EFSAは食品や飲料に使用されているアスパルテームの摂取量と妊婦の早産や悪性腫瘍発現の因果関係を科学的に証明するエビデンスはないと結論づけています。

また、2011年3月、英国食品基準庁(Food Standards Agency : FSA)が発表した報告書では、FSA 毒物独立委員会(Independent Committee on Toxicity)によりアスパルテームを含む食品由来のメタノールに長期間曝露しても健康に害はないと結論づけています。さらに、アスパルテームの摂取と脳腫瘍発生率の上昇との間に関連性がないことも明らかにされています。

そして、2006年、米国立がん研究所は、50万人を超える退職者のデータを調べた結果、アスパルテーム含有飲料の摂取量増加と、リンパ腫、白血病、脳腫瘍の発症との間には、関連性がないと結論づけました。

頭痛: アスパルテームと頭痛の関係を追跡した研究のほとんどは、アスパルテームによる頭痛への影響はないことを示しています。しかし一部の研究では、アスパルテーム摂取と頭痛の間に相関が見られました。この研究結果は、アスパルテームへの感受性が高い群が存在することを示唆していますが、生物学的な説明はなされていません。調査結果が一貫していないのは、頭痛の発症や経過に関する客観的な測定基準の欠如による可能性があると考えられます。

参考文献
Magnuson BA, et al. Aspartame: a safety evaluation based on current use levels, regulations, and toxicological and epidemiological studies. Crit Rev Toxicol. 2007; 37(8): 629-727.

EFSA Report of the Meetings on Aspartame with National Experts

European Food Safety Authority. Statement of EFSA on the scientific evaluation of two studies related to the safety of artificial sweeteners. 2011. http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/2089.htm

Food Standards Agency (U.K.). Committee on Toxicity opinion on methanol safety. 04 April 2011.http://tna.europarchive.org/2014/204090942/ http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2011/mar/methanol

「アスパルテームについて、医療と栄養の専門家が知っておくべきこと。」

詳細情報
Frequently Asked Questions:Aspartame Q&A(EUFIC)