天然由来の甘味料ステビアは、砂糖の200~300倍の強い甘みを持ち、極めて少ない量で食品や飲料に甘みを加えられます。ステビアは適正に使用される限り人体に安全であることが実証されており、世界保健機関(World Health Organization:WHO)をはじめ、世界各国で安全性が認められています。砂糖の代わりにステビアを使うことで甘味を損なうことなくエネルギー摂取量を抑えることができることから、体重増加を抑えたい人、糖質を控えたい人、虫歯のリスクを減らしたい人などに適しています。


■「ステビア」とは?
天然の甘さをもつ植物、ステビア1)
ステビア(学名:Stevia rebaudiana)は、パラグアイ原産のキク科ステビア属の多年草です。長楕円形の葉を有し、噛むと甘い味がするのが大きな特徴です。独自の強い甘みがあることから、海外では“Sweet leaf”や“Sugar leaf”、日本ではアマハ(甘葉)ステビアとも呼ばれています。

ステビア属には154以上の種が存在し、その中にはハーブとして用いられているものもありますが、甘味源を有するのは一種のみです(Stevia rebaudiana Bertoni)。

ステビアは、南米パラグアイの先住民により日々の生活で様々な目的を持って重用される中で、マテ茶に使用したのが甘味料としてのはじまりと伝えられています。20世紀に入ってからは、その他の南米諸国やアジアなどでも広く使用されるようになりました。

日本では1970年頃、合成甘味料であるチクロとサッカリンの安全性が問題となっていました。それらに代わる安全でかつ天然由来の甘味料の候補として、はじめてステビアの種子が日本に輸入されました。その後、ステビア独自の苦味成分を取り除く技術が開発され、1972年には世界にさきがけ、甘味料として商品化されました。以降、飲料をはじめ、醤油や味噌、漬物など様々な食品に利用されています。

甘味料としてのステビアの特徴
ステビア抽出物(以下、ステビア)の甘味成分は、糖質ではなく、ステビオサイドおよびレバウディオサイドAなどのジテルペン配糖体であり、砂糖の200~300倍の強い甘みがあります2)。そのため、極めて少ない量でも、食品や飲料に十分な甘味を加えることができます。糖質と同程度のエネルギーはありますが、使用量がごくわずかで済むため、糖質の代わりにステビアを使用した食品は実質的にノンカロリー食品・低カロリー食品といえます。

ステビアを使用することにより、食べる楽しみを損なわずに食品や飲料からのエネルギー摂取量を抑えられ、糖質の制限もできるといった利点があります。

ステビアは、こうした利便性に加え、安全性のエビデンスが確立された甘味料で3)、世界各国で様々な飲料に使用されています。

安全性が認められているステビア
甘味料としてのステビアは、これまで多くのin vivo試験により、変異原性4)、がん原性5)、催奇形性6)などの毒性が否定されており、その安全性について、米国、カナダおよび日本を含む世界各国で、政府機関の安全性評価委員会により科学的に支持されています。FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives: JECFA)は、ステビアの一日摂取許容量(Acceptable daily intake: ADI)を0~4mg/kg体重/日(ステビオールとして)と設定し、この範囲内で食品に使用する場合の安全性を認めており7) 、欧州食品安全機関(European Food Safety Authority : EFSA)も同様に、JECFAが設定したADIを基にステビアを安全な食品添加物とし、食品や飲料に使用することを認めています8),9) 。米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)にも、ステビアは一般に安全とみなされている(generally recognized as safe:GRAS)甘味料として認証され、食品や飲料への使用が許可されています10)。また日本でも、ステビアは長い食経験がある既存添加物として、使用が許可されています11)

■その他の植物由来甘味料について
エネルギー源となる天然甘味料、砂糖
砂糖はさとうきびやてん菜を原料とした代表的な天然甘味料で、ショ糖(ブドウ糖と果糖が結合したもの)が主成分です。砂糖は、栄養学的には糖質つまり炭水化物として生体のエネルギー源になります12)。運動時における砂糖などの糖質の摂取には、運動中の血糖の維持や、運動後の消費した筋肉グリコーゲンの回復といった効果があります13)。また、ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源であり、ブドウ糖の効果的な摂取は高齢者の認知能力を向上させるという報告があります14)

このように、砂糖が属する炭水化物は生体のエネルギー源として必要不可欠な栄養素ですが、砂糖を長期的に過剰摂取すると生体のエネルギー収支バランスの維持ができなくなり、体重増加につながる懸念があるため、注意が必要です。

砂糖以外の甘味料―用途に合わせて選ぶ
植物由来の甘さを感じさせる食材の代表格は、さとうきびやてん菜から作られる砂糖ですが、同じように甘さを感じさせるものとして、はちみつや、サトウカエデの樹液から作るメープルシロップがあげられます。

また、日本では古くからなじみの深い水飴(麦芽飴)は主成分が麦芽糖で、古くはもち米、現在ではトウモロコシやサツマイモのデンプンから作られています。

最近では、ラン科の植物の樹液から作られるアガベシロップや、ココヤシの花蜜を加工したココナッツシュガーなども、輸入品として入手できるようになりました。

ステビアと同様に糖質ではない甘味成分を含む植物としては、羅漢果や甘草などがあります。羅漢果は、ブドウ糖・果糖の他に強い甘みをもつトリテルペン配糖体のモグロシド(Mogroside)を含んでおり15)、生食はされないものの、抽出物は甘味料などとしてのど飴や飲料に用いられています。甘草はトリテルペン配糖体であるグリチルリチン含有であり16)、その根は甘味料の原料となるほか、漢方薬としても利用されます。

近年では、エネルギー摂取を抑えるため砂糖以外の甘味料で、植物素材から抽出した甘味料が消費者に好まれる傾向があります。

■まとめ
ステビアは、多くのエビデンス(科学的根拠)から、適正に使用される限り人体に安全な天然由来の甘味料であることが実証されています。砂糖の代わりにステビアを使うことで甘味を損なうことなくエネルギー摂取量を抑えることができるため、ステビアを食生活にうまく取り入れて消費量に見合った量のエネルギーを摂取すること(適切なエネルギー収支バランスの維持)により、体重増加を抑えることが可能となります。さらに日常的な運動や正しい生活習慣を組み合わせることで、健康の保持・増進や生活習慣病の発症・重症化の予防にも役立ちます。

ステビアを含む食品や飲料は、余分なエネルギーを摂取せずに自然な甘味を楽しみたい健康志向の人にはもちろん、一般の人にとっても有用であるといえます。また、糖質を控えなければならない人や、虫歯のリスクを減らしたい人にも適しており、今後も食品として効果的な利用が期待できます。

■コラム
「ステビアって体にいいの?」と聞かれたら…

Q. ステビアを含む飲料を毎日飲んでも大丈夫でしょうか?

A. 日常的な飲料からのステビア摂取は問題ありません。ステビアは、世界保健機関(World Health Organization:WHO)をはじめ、世界各国で安全性が認められた食品添加物です。米国食品医薬品局(FDA)が、長年の経験や科学的な知見などから総合的に評価して、食品に安全に使用できると認めた添加物のリストGRAS(generally recognized as safe)にも指定されています。日本でも既存添加物として使用が認められています。日本人のステビア摂取量は一日摂取許容量(ADI)のわずか0.17%と報告されています17)

Q. ステビアは従来の甘味料の代わりとなるのでしょうか?

A. ステビアは既に多くの食品や飲料で甘味料として使用されています。高エネルギーの食事が多い今日では、糖質の代わりにステビアを食品や飲料に上手に取り入れることで、適切なエネルギーバランスの維持が期待できます。また、糖質制限のある糖尿病患者さんの食事に取り入れることで、QOL(生活の質)を向上させることができます。

Q. ステビアを含む飲料は健康にいいのですか?

A. WHOは、肥満や体重過多の根本的な要因は、エネルギーの摂取量と消費量のバランスがとれていないことによるものとしています18)。日本人の食事摂取基準(2015年版)でも、エネルギー収支バランスは体重の変化と体格(BMI)に反映されるとしています19)

これまで糖質を多く含む飲料を摂っていた人は糖質の代わりにステビア甘味料を使った飲料を選ぶようにすることで、過剰なエネルギー摂取を抑えることができ、肥満の予防につながります20)

しかしながら、ステビアを積極的に摂取することで健康を増進したり、特定の疾病の治癒や予防ができるというヒト試験でのエビデンスは、今のところ存在しません。

Q. ステビアと他の甘味料とではどこが違うのですか?

A. ステビアは他の代表的な糖質系甘味料と比較して甘みが強い(砂糖の200~300倍)ため2)、ごくわずかな量で甘味を加えられるのが特徴です。

参考文献
1)     ステビア甘味料について, ステビア工業会ホームページ
http://www.stevia.gr.jp/stevia/

2)     東 四郎, 阿部美紀子, 内海俊樹, 藤崎香里, 中山法義, 西 保則, 南谷俊治.ステビアのグルコシルトランスフェラーゼによるステビオサイドからレバウディオサイドAへの変換.鹿児島大学理学部紀要(地学・生物学),1994; 27: 199-207.

3)     Carakostas MC, Curry LL, Boileau AC, Brusick DJ. Overview: The History, Technical Function and Safety of Rebaudioside A, a Naturally Occurring Steviol Glycoside, for Use in Food and Beverages. Food Chem Toxicol. 2008; 46: S1-S10.

4)     Sekihashi K, Saitoh H, Sasaki Y. Genotoxicity Studies of Stevia Extract AND Steviol by the Comet Assay. J Toxicol Sci. 2002; 27(SupplementⅠ): 1-8.

5)     Xili L, Chengjiany B, Eryi X, Reiming S, Yuengming W, Haodong S and Zhiyian H. Chronic Oral Toxicity and Carcinogenicity Study of Stevioside in Rats. Food Chem Toxicol. 1995; 30: 957-965.

6)     宇佐見誠,酒見和枝,川島邦夫,津田充宥,大野泰雄.ステビオサイドのラットを用いた催奇形性試験. 衛生試験所報告. 1995; 113: 31-35.

7)     Benford DJ, Hil F, Schlatter J and Divovi M. Steviol Glycosides(addendum), Safety Evaluation of Certain Food Additives. WHO(World Health Organization) Food Additives Series: 60. 2009; 183-219.

8)     European Commission 2011. Commission Regulation (EU) No 1131/2011 of 11 November 2011 Amending Annex II to Regulation (EC) No 1333/2008 of the European Parliament and of the Council with Regard to Steviol Glycosides. Official Journal of the European Union, L 295, 205. 211. 

9)     European Food Safety Authority (EFSA). 2011. Revised Exposure Assessment for Steviol Glycosides for the Proposed Uses as a Food Additive. EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources Added to Food (ANS). European Food Safety Authority. EFSA Journal. 2011; 9(1): 1972.

10)  US Food and Drug Administration. Agency Response Letter GRAS Notice No. GRN 000253. Available at: http://www.fda.gov/Food/IngredientsPackagingLabeling/GRAS/NoticeInventory/ucm154989.htm

11)  厚生労働省. 既存添加物名簿収載品目リスト. 2014.
http://goo.gl/ygyV9Z

12)  社団法人 全国学校栄養士協議会(監修). 砂糖の知識, 砂糖を科学する会, 6-13.

13)  岡村浩嗣. 砂糖とスポーツ, 砂糖類・でんぷん情報. 2012; 12 :8-10.

14)  Gold PE. Role of Glucose in Regulating the Brain and Cognition. Am J Clin Nutr. 1995; 61: 987S-995S.

15)  竹本常松, 在原重信, 中島正, 奥平恵, 羅漢果の成分研究(第1報)の検索, 薬学雑誌. 1983; 103: 1151-1154.

16)  斎藤祥治.砂糖の科学, その他の甘味料. 橋本仁/高田明和編, 朝倉書店, 2006; 214-226.

17)  厚生労働省. 平成23年度マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査の結果について. 1-3.

18)  WHO. 2013. Obesity and Overweight. Fact Sheet No.311. Available at: http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs311/en/. Accessed March 22, 2014

19)  厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書, エネルギー. 2014; 45-87.

20)  Freeland-Graves JH and Nitzke S. Position of the Academy of Nutrition and Dietetics: Total Diet Approach to Healthy Eating. J Acad Nutr Diet. 2013; 113(2): 307-317.

監修:神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科 准教授 向井 友花 先生