かつて、炭酸飲料が骨の健康に悪影響を与えると考えられていたことがありました。しかし現在、多くの現代人にみられる骨密度の低下は、栄養バランスの偏った食事や運動不足が主な原因であると指摘されています。炭酸飲料に含まれるカフェインやリン酸が、体内のカルシウムの排出を促すといった考えは誤りであることも、研究により証明されています。骨の健康のために大切なのは、カルシウムはもちろん、その他の栄養も毎日の食事からバランスよく摂取すること、そして十分な運動を心がけることです。


骨にとって有害なのか? 有用なのか? 全く影響はないのか?
栄養と骨の健康の専門家であるRobert P. Heaney先生へのインタビュー

米国立骨粗鬆症財団(National Osteoporosis Foundation)は、50歳以上の約1,000万人の米国人が骨粗鬆症を患っており、さらに約3,400万人が骨密度が低く将来的に骨粗鬆症を患うリスクが高いと考えています。骨粗鬆症患者ならびにその予備軍は、今後さらに増加することが予想されています。一体、何が骨の健康問題を引き起こしているでしょうか?

カルシウムとビタミンDを併せて摂ることが骨の健康維持に重要であることは知られていますが、それだけで本当に十分でしょうか? 高タンパク質食は骨に良いのでしょうか、それとも悪いのでしょうか。清涼飲料水やその原料となるカフェインやリン酸は危険因子なのでしょうか? 牛乳の摂取は重要でしょうか? 栄養ドリンクは役に立つのでしょうか?

このような質問への回答、また骨の健康と飲料との関係について、最新の科学的な見解を得るべく、骨に関する生物学とカルシウムの栄養学の専門家であるRobert P. Heaney先生に話を伺いました。

<Contents>
1.骨の健康問題を引き起こす原因とは
●なぜ、骨の疾患が広がっているのでしょう?

2.骨の強化・健康維持に必要なものとは
●体重負荷運動でどのように骨を強化できるのでしょう?

●特定の栄養素に注目して摂取することは、骨の健康の維持に役立ちますか?

●タンパク質が骨の健康に不可欠ということですが、どれほどの量が必要となるのでしょうか?

●過剰にタンパク質を摂ることで体内からカルシウムが失われるということは示されなかったのでしょうか?

3.飲料と骨との関係について
●カフェインは骨粗鬆症のリスクを高めるのでしょうか?

●炭酸飲料、特にコーラ飲料が骨に悪影響を与えると考える人がいますが、これは事実でしょうか?

●炭酸飲料がカルシウムに与える影響を扱った先生の研究について、詳しく説明していただけますか?

●なぜ、コーラ飲料に含まれるリン酸に対する懸念がいまだに残っているのでしょうか?

●炭酸飲料は骨に対して有害なのでしょうか?

●炭酸飲料を飲むので、思春期の若者が牛乳をとらなくなっているとする研究もあります。子どもや思春期の若者には炭酸飲料を与えない方がよいのでしょうか?

●骨の健康を保つためには、牛乳を飲まなければならないのでしょうか?

●栄養強化食品と栄養強化飲料の役割を教えてください。

4.長期にわたって骨の健康を維持するには
●現代の生活において、長期にわたり骨の健康を維持するのに必要なことは何でしょうか?

1.骨の健康問題を引き起こす原因とは

なぜ、骨の疾患が広がっているのでしょう?
  Heaney先生:骨が健康な状態であるための基本的な必要条件は、食事と運動の2つです。2世代ぐらい前の人々は1日3,000~4,000kcalもの食物を摂取していました。つまり、彼らは必要な栄養を十分摂っていたのです。さらに、どこへ行くにも歩き、毎日肉体労働に励んでいました。それと比較し、今日の一般的な女性はというと、座っていることが多く、1日に1,400 kcalしか摂らないこともあるくらいです。すなわち、現代人の生活は健康で強い骨を作るのに必要とされる基本的な条件を満たしていないのです。


2.骨の強化・健康維持に必要なものとは

体重負荷運動でどのように骨を強化できるのでしょう?
  Heaney先生:私たちの骨は、与えられた衝撃、すなわち力学的な負荷量を監視し、それに反応する高度なセンサーを備えています。ウォーキングやエアロビクスダンス、ウェイトリフティングのような体重負荷運動や肉体労働によって骨が曲げられると、このセンサーが骨を強化するため、より多くの骨形成を行うように体に指令を出します。もし、ずっと座った状態で骨が十分に曲げられないと、不要な骨を取り除くよう体に合図し、骨は弱くなっていきます。
 
特定の栄養素に注目して摂取することは、骨の健康の維持に役立ちますか?
  Heaney先生:科学者は1つの研究で1つの栄養素もしくは身体機能のみについて調べる傾向があります。これが、骨の健康に関して、カルシウムとビタミンDの役割に特に注目している理由です。しかし、骨の健康にとって最も重要なのは、すべての栄養素を必要なだけ摂ることができる、バランスの取れた健康的な食生活です。結局、私たちが口にするのは食物であって、単一の栄養素を食べているわけではありません。栄養素は体の中で「手を取り合って」働くのです。

例えば、カルシウムやリン、タンパク質は骨の健康に欠かせない大切な栄養素です。なぜなら骨はこれらの成分から構成されているからです。ビタミンCが重要なのは、骨を構成する主要タンパク質であるコラーゲンの合成に重要な役割を果たしているからです。マグネシウム、ビタミンB群、ビタミンK、フッ化物、亜鉛、マンガン、銅は、骨の健康に貢献しているビタミン・ミネラルです。そして、骨にはカルシウムが必要です。さらに、体がカルシウムを吸収して、骨芽細胞機能を働かせるためにはビタミンDが必要となります。

カルシウムのサプリメントで単一の栄養素のみを摂り続ける方法が、健康な骨を作るのに不十分なわけはここにあります。
 
タンパク質が骨の健康に不可欠ということですが、どれほどの量が必要となるのでしょうか?
  Heaney先生:中年期の女性に関して言えば、現在推奨されている量より多く摂らなければいけないでしょう。最近、私たちは代謝研究に関する膨大なデータベースを分析し、中年期女性のタンパク質摂取量とカルシウムバランスの関係を調査しました。その結果、カルシウムの摂取量を増やしたときに、カルシウム吸収が増加したのは、タンパク質の摂取量が比較的多い(1日およそ60g以上)女性だけであることがわかりました。タンパク質の摂取量が少ないと、カルシウムだけを多く摂っても、骨の形成に使用されないのです。

この研究結果は、別の研究の結果でも裏付けられています。すなわち、高齢期の男性と女性の骨密度には、カルシウムとビタミンD、タンパク質の摂取量が関係しており、高齢者における骨喪失はタンパク質の摂取不足が関連するとする研究です。また、現在のタンパク質の推奨摂取量は、1日に体重1kgあたり0.8gですが、高齢期の女性の場合、摂取したカルシウムの効果を最大限に活かしたいのであれば、この量では少なすぎる可能性があります。もし、1日に体重1kgあたり1.0~1.2g程度を摂取すれば、より効果的でしょう。
 
過剰にタンパク質を摂ることで体内からカルシウムが失われるということは示されなかったのでしょうか?
  Heaney先生:これは、栄養素が健康に与える影響は複雑であるということを学べるいい例でしょう。私たちの研究では、タンパク質を摂取する際に高い骨密度が得られるのはカルシウムも併せて十分に摂取したときです。一日のカルシウム摂取量がおよそ600mg以下になると、この関係は成り立ちません。

約80年前から、タンパク質の摂取量を増やすと尿中カルシウム排泄量が増加することがあることが知られています。尿中カルシウムは、カルシウム貯蔵において重要な役割を果たしているため、もし他の条件が同じである場合、タンパク質の過剰摂取は骨にとってはよくないということになります。しかし、この問題の研究に関してははっきりとした結論が出ていません。

ある研究では、タンパク質の摂取量を増やすことによって、尿中カルシウムが増加することが示されました。しかし、こういった研究の多くは短期間で実施されたものであり、被験者には、純粋なタンパク質もしくはアミノ酸が与えられていました。また、一方で、肉や牛乳などタンパク質の豊富な食物を摂取した場合、尿中カルシウム損失は増加しないことを報告した研究もあります。このような研究結果の違いを引き起こしている原因が一体何であるのか、明確な答えを導き出せていません。たとえばリンのような他の食品成分によって、カルシウムの損失がある程度抑制されているのかもしれません。また、タンパク質の影響はないと結論づけた研究は長期にわたり実施されたものであり、体がタンパク質の摂取量の変化に順応するには時間がかかる可能性もあります。

無作為化比較対照試験の結果では、タンパク質を多く含む食品の摂取は身体にとって有害ではなく、むしろ、股関節部骨折後の回復を促し、腰の加齢性の骨喪失抑制に効果があるということが一貫して示されています。

3.飲料と骨との関係について

カフェインは骨粗鬆症のリスクを高めるのでしょうか?
  Heaney先生:カフェインは、あまり多く摂りすぎないこと。そして、十分にカルシウムを摂取している限りは害を及ぼしません。

無作為化臨床試験の結果からは、カフェインを摂取するとカルシウムの排出が一時的に増加するものの、24時間内の尿中カルシウム損失には影響を及ぼさないことがわかっています。さらに、この研究では、カルシウムの摂取量が少ない場合は、カフェイン摂取により腸でのカルシウムの吸収がやや減少するものの、その影響は牛乳を大さじ1~2杯とることで相殺できるということも示しています。このことから、カフェインと骨の健康に関する疫学的研究結果が一貫していない理由が推測できます。カフェインの摂取量と骨粗鬆症を関連付ける研究の観察はすべて、推奨摂取量より少ないカルシウムを摂取している被験者に対して実施されています。食事によるカルシウムの摂取量が多い研究では、1日に少なくとも800mgが摂取されており、カフェイン摂取の影響はほとんどありません。
 
炭酸飲料、特にコーラ飲料が骨に悪影響を与えると考える人がいますが、これは事実でしょうか?
  Heaney先生:いいえ、それは違います。炭酸飲料の摂取と骨折リスクの増加あるいは骨密度の減少の関係を示した観察研究もいくつか実施されており、清涼飲料水に含まれる複数の成分、例えばカフェインやリン酸は、尿中カルシウム損失量を増加させるとしています。しかし、私の研究室でカルシウム代謝に十分に配慮しつつ注意深く行った実験ではこの事実は確認できませんでした。私たちは、コーラ飲料を含む炭酸飲料が、カルシウム貯蔵量に与える影響は総じて小さいことを示しました。結果的に、観察研究でコーラ飲料に焦点が当てられたのは、市場におけるコーラ飲料の優位性にあるように思われました。例えば、私たちの研究で被験者となった30人中27人は、コーラ飲料をよく飲むと言っています。

本当の問題点は、炭酸飲料を含む清涼飲料水を多く飲む人は、概して、カルシウムをはじめ、骨に必要な他の重要な栄養素が少ない食事をとっている傾向があるということです。骨の弱さに影響しているのはバランスの悪い食事とカルシウムの摂取不足であり、炭酸飲料を飲むか飲まないかは関係ないと言えるでしょう。
 
炭酸飲料がカルシウムに与える影響を扱った先生の研究について、詳しく説明していただけますか?
  Heaney先生:私は2001年、カルシウムの代謝についての研究を「American Journal of Clinical Nutrition」誌に発表しました。この研究では、普段から炭酸飲料を飲んでいる成人女性に対し、4種類の炭酸飲料、さらに水と牛乳が尿中カルシウムに与える影響を比較しています。カフェインを含まないコーラ飲料と普通のコーラ飲料(ともにリン酸を含んでいる)、そしてカフェイン入りとカフェインを含まない柑橘系の炭酸飲料(ともにリン酸は含まれていない)を評価したため、カルシウムバランスの点から、炭酸飲料および、それぞれの飲料、さらには複合成分がカルシウムバランスに与える影響を評価することができました。その結果、炭酸飲料がカルシウム損失に与える効果は、カフェイン入り炭酸飲料、リン酸入りのコーラ飲料も含めて、問題のないレベルであることがわかっています。

具体的に言えば、リン酸はまったく影響しません。すなわち、カフェインを含まないコーラ飲料を飲んでも、尿中カルシウム損失は増加しませんでした。カフェインを含むコーラ飲料と柑橘系の炭酸飲料は、尿中カルシウムの損失量を多少増加させましたが、これは以前にカフェイン単独で摂取した場合に確認されたレベルとほぼ同じでした。

しかしながら、体は、その日のうちにカルシウム損失を抑制することによって、カフェインによる多少の影響を埋め合わせることができます。私たちはこうして、リン酸を含むコーラ飲料とカフェインを含む炭酸飲料が基本的にカルシウムバランスに影響を及ぼすことはないと確信したのです。
 
なぜ、コーラ飲料に含まれるリン酸に対する懸念がいまだに残っているのでしょうか?
  Heaney先生:コーラ飲料の中のリン酸が骨からカルシウムを奪うという考えは、「酸性の食物」によってミネラルが骨から引き出され、血液のpHに与える酸の影響を中和するのに利用されるという考えに結び付けられているようです。しかし、すでに説明したように、私たちが実施したカルシウムと代謝の研究で、コーラ飲料に含まれるリン酸は尿中カルシウム損失に対してまったく影響を及ぼさないことが明らかになっています。この発見は当初、予想外だったと認めなければなりません。しかし、体が食物を代謝する際に、1日50~100 mEqの酸を作り出すことを考えれば、予想外となるのも当然です。560mL(20fl. oz.)のコーラ飲料によって体が酸にさらされるのは、たった4.5~5.0 mEqであり、適量のタンパク質を含む朝食によって得られる量よりずっと少ないのです。
 

食物に含まれるリンが人骨に有害であるという明確な根拠はありません。この学説は、動物実験において有害な影響が示されたことに端を発しており、人体にもそのまま当てはまると考えられたのです。しかし、動物の摂取する食物は、人の食事に比べて、最大で5倍ものリンを含んでいるため、この結果をそのまま人に適用することはできません。また、リンはカルシウムと一緒になって不溶性の化合物を形成すると広く信じられており、インターネット上でも、潜在的に吸収を妨げる物質と言われています。しかし、私の研究室で25年以上前に実施した研究や他の研究室で行われた研究では、リンの摂取量を変えても、全体のカルシウムバランスには、ほとんど影響しないことがわかっているのです。

リンは、実は食品や飲料にたくさん含まれている物質です。たとえば、(ブランドにもよりますが)240mL(8fl. oz.)のコーラ飲料は、リン酸という形で25~40mgのリンを含んでおり、酸味料の役割を果たしています。同量のオレンジジュースには27 mg、また同量の牛乳には232 mgのリンが含まれています()。これらの値を考慮すると、全米で実施された食事摂取調査でサプリメントをとっていない個人のリンの最大摂取量はおよそ2,500 mg/日であることがわかっていますが、これは米国医学研究所(Institute of Medicine:IOM)が確立したリンの安全値より十分低い数字です。医学研究所が確立したリンの許容上限量は、9~70歳の個人では1日あたり4,000 mg(4 g)、70歳以上と1~8歳の個人では1日あたり3,000 mg(3 g)となっています。
 

リンの含有量

食品・飲料 リン(mg) 食品・飲料 リン(mg)

コーラ飲料
(240mL〈8 fl. oz.〉)

25~40 ローストした鶏の胸肉 124

オレンジジュース
(240mL〈8 fl. oz.〉)

27

チェダーチーズ
(30g〈1 oz.〉)

145

殻付きのピーナッツ
(30g〈1 oz.〉)

113 牛乳(8 fl. oz.), 1% 232

 

炭酸飲料は骨に対して有害なのでしょうか?
  Heaney先生:いいえ。実際、カルシウムや他のミネラルを豊富に含んだ炭酸飲料は、カルシウムの摂取量が少ない閉経後の女性において、骨代謝を改善することが研究から明らかになっています。そして、炭酸飲料に関して言えば、カフェインを含まない炭酸飲料は尿のカルシウム損失に対して全く影響を及ぼさないことが研究でも示され、炭酸に対する誤解を払拭しています。これは、炭酸飲料から吸収される二酸化炭素の量は、私たちの細胞がエネルギー代謝の副産物として常に生産している量と比較して非常に少ないためであり、驚くことではありません。
 
炭酸飲料を飲むので、思春期の若者が牛乳をとらなくなっているとする研究もあります。子どもや思春期の若者には炭酸飲料を与えない方がよいのでしょうか?
  Heaney先生:禁止する必要はありません。子どもたちが骨の健康を維持するのに十分なカルシウムとその他の栄養素を含んだ、バランスの良い食事をとって、十分な運動を心がけている限り、子どもたちが炭酸飲料を飲んでも、健康な骨を保つことができます。

しかし、今日、若者が牛乳を飲む量が、20年前に比べ減少していることは事実です。彼らは炭酸飲料、ペットボトル入り飲料水、スポーツ飲料、お茶、コーヒー、または他の飲料を多く飲むようになっています。もし子どもたちの骨の健康が危険にさらされているのだとすれば、それは、彼らが炭酸飲料または他の飲料を飲むようになったからではなく、子どもたちの食生活の中に牛乳が定着していた昔とは違って、現代では十分なカルシウムを摂るのが難しくなってしまったからでしょう。50年前の米国では、家族は毎晩一緒に食卓について夕食をとり、そのテーブルの上にはいつも牛乳のピッチャーが置いてあったものです。今日、状況は異なっています。誰もが忙しく、毎晩自宅で一緒に夕食をとる家庭はほとんどありません。また、子どもの飲み物の嗜好も変わってきました。このような理由で、今日の子どもたちは十分なカルシウムを摂りづらくなっています。保護者、子どもたち、教師、医療および栄養の専門家と食品・飲料会社がそれぞれ意識して努力しなければならないでしょう。
 
骨の健康を保つためには、牛乳を飲まなければならないのでしょうか?
  Heaney先生:生理学的に言うと、人間が十分なカルシウムを得るために、牛乳は必須ではありません。実際、大昔の食事に牛乳は含まれていませんでした。しかし、狩猟民族は植物の葉や根からミネラルを摂取していました。カロリー摂取量が十分である限り、適切なカルシウムを摂取することができます。

今日、必要なビタミン・ミネラルを摂るために、野菜を大量にとる人は少ないでしょう。したがって、カルシウムやその他の栄養素が豊富に含まれている牛乳を摂らずに十分なカルシウムを摂取することは非常に難しくなっています。しかし、チーズやヨーグルトのような乳製品もカルシウムの宝庫ですし、ケールやコラードなどの野菜からもカルシウムを摂ることは可能です。ただ、カルシウムを確保するためには、相当な量を食べる必要があります。米国人の食生活指針によると、毎日3回乳製品を摂取することが推奨されています。これは非常に理にかなっています。
 
栄養強化食品と栄養強化飲料の役割を教えてください。
  Heaney先生:カルシウムをしっかり摂取でき、身体への吸収性が良いのであれば、カルシウム入りのシリアルやオレンジジュースのような栄養強化食品や栄養強化飲料でも十分な量のカルシウムを摂ることはできます。ビタミンDにも同様のことが言えますが、克服すべき問題もあります。

例えば、栄養強化大豆飲料の中には、容器を振っても、そのカルシウムの多くが容器の底に沈殿して残るものがあるということが私たちの研究で明らかになっています。また、そのカルシウムの種類は、牛乳に含まれるカルシウムと比較して、およそ75%ほどしか吸収されないことがわかっています。このような理由から、実際に摂取できるカルシウム量は、栄養成分表示に記載されている量の50%以下にまで減ってしまうのです。栄養強化オレンジジュースにも同様の問題が生じる可能性もあります。製品に含まれるカルシウムのうち、どの程度の量が実際に吸収されるのかを知る唯一の方法は、強化剤に埋め込まれた同位体トレーサーを駆使し、時間とコストをかけて代謝研究を実施することです。いくつかの食品会社は実際に実施しています。

4.長期にわたって骨の健康を維持するには

現代の生活において、長期にわたり骨の健康を維持するのに必要なことは何でしょうか?
  Heaney先生:それは、私が最初に申し上げた通り、バランスのとれた食事と適度な運動です。すべての必須栄養素を満たしたバランスのとれた食事と定期的な体重負荷運動を実行することこそ、強い骨を保つために重要な要素です。これを守る限り骨の健康は保証されます。このような生活を実行することに、早すぎることも遅すぎることもありません。

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経歴
Robert P. Heaney, MD, FACP, FASN

Dr. Robert P. Heaneyは、現在、ジョンA.クレイトン大学の教授、およびネブラスカ州オマハにあるクレイトン大学の医学部教授を務めている。専門は骨粗鬆症、ビタミンD、カルシウム生理学。骨粗鬆症と骨生理学の研究に50年以上従事している。Dr. Heaneyは、1997年のIOM食事摂取基準(Dietary Reference Intakes)策定の際に、カルシウムとそれに関連する栄養素に関するパネルメンバーを務め、彼の研究所が北米における多くの主要食品会社の生物学的利用能試験を実施している。Dr. Heaneyは多くの賞を受賞しており、学術雑誌に広く掲載されているのみならず、多くの専門家組織のメンバーである。


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