長時間座ったままの生活習慣は、メタボリックシンドロームの原因になるなど、健康に悪影響を及ぼします。予防のためには、こまめに身体を動かすことが重要です。

2008年、米国保健福祉省(Department of Health and Human Services:DHHS)は、定期的な運動により健康と満足感がもたらされるとの研究結果を受け、米国人を対象とした運動ガイドラインを初めて発表しました。その後の研究から、長時間座ったままの姿勢を続けることは、運動不足と同じように健康に悪影響を及ぼすことが示唆されました。そのため、一部の研究者たちは、あまり動かない人を対象にした新しい運動ガイドラインの策定を呼びかけています。2012年8月、「What is sedentarism?―セデンタリズム(動かない生活)とはなにか―」というレビューが栄養士向け雑誌“Academy of Nutrition and Dietetics”に掲載されました。このレビューでは、運動をほとんどしない生活習慣が健康に及ぼす影響について報告しています。さらに、職場や家庭で長時間座り続けるという現代特有の生活習慣を送る人が今後も増え続けることに警鐘を鳴らしています。セデンタリズムについてのキーポイントは、以下の通りです:

セデンタリズムと積極的に運動しないことは、また別の問題である。
   
セデンタリズムとは、長時間座ったままでいることや、体を動かさず静かにしている状態をいう。このような非活動的な生活習慣は、積極的に運動を行わないこととは別に、メタボリックシンドロームの原因や、その悪化の要因となる。
   
セデンタリズムは、単に運動ガイドラインに従って体を動かすだけでは解消されない。長時間座り続けるという状態は、実際の運動によって得たメリットを無効にしてしまうだけではなく、健康状態そのものを悪化に導く。
   
一般的に、座る、横たわる、眠るという行為やテレビを見るなどといった、エネルギーをあまり消費しない活動をセデンタリズムという。
   
研究によると、セデンタリズムによる健康への悪影響はすぐに現れるため、短時間だからといって非活動的な時間を続けてよいわけではない、と報告されている。
   
長時間座り続ける状態が招く健康への悪影響は、比較的少ない量の運動で解消されることが、研究によって明らかにされている。1日あたりの非活動的時間の長さにかかわらず、長期間の運動不足状態にあっても、頻回に身体を少し動かすことで、生理学的マーカー、特に腹囲やコレステロール値は、顕著に減少することが確認された。
   
重要なのは、身体活動の強度ではなく、こまめに身体を動かすことである。全く動かないことに比べれば、単に立ち上がるだけでも効果が高いと考えられる。

2013年2月に、1965年から2010年にかけて家事に費やす時間の年次推移をみた研究結果が発表されました。2010年では女性が映像メディアを見るための時間は、料理、掃除、洗濯など、家事の時間よりも25%も多いことがわかりました。家事などの活動的な仕事から、テレビ視聴のような身体を動かさない余暇へのシフトは、健康面に重大な結果をもたらすと考えられます。これらの結果から、家事による消費エネルギー(Household Management Energy Expenditure:HMEE)の減少が、過去50年間の女性の肥満率の上昇に関与している可能性が示唆されました。

参考文献
Archer E, et al. 45-year trends in women’s use of time and household management energy expenditure. PLoS One. 2013; 8(2): e56620; doi: 10.1371/journal.pone.0056620.

Fox M. What is sedentarism? J Acad Nutr Dietetics. 2012; 112(8): 1124-1128.

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Patel AV, et al. Leisure time spent sitting and total mortality in a prospective cohort of US adults. Am J Epidemiol. 2010; 172(4): 419-429.

Hamilton MT, et al. Too little exercise and too much sitting: Inactivity physiology and the need for new recommendations on sedentary behavior. Curr Cardiovasc Risk Rep. 2008; 2(4): 292–298. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3419586

Bernstein MS, et al. Definition and prevalence of sedentarism in an urban population. Am J Public Health. 1999; 89(6): 862–867. PMCID: PMC1508634