健康や栄養面を考えて食品を選ぶ際は、その食品に含まれる栄養成分の種類や含有量、各栄養成分の機能についての表示を確認することが大切です。今回は、「ゼロカロリー」と「カロリーオフ」の例を題材に、区別がつきにくい表示の一つである強調表示について解説します。


■「ゼロカロリー」と「カロリーオフ」
ダイエット、健康のための「ゼロカロリー」または「カロリーオフ」飲料
ダイエットまたは健康維持のために、よりカロリーの低いメニューを選ぶなど、食品から摂取するカロリーを抑えている人は多いかもしれません。飲料においても同様で、摂取カロリーが気になるために、好みの飲料ではなくお茶やお水などを選ぶこともありますが、摂取エネルギーを抑えながらも好みの飲料を楽しむ方法もあります。それは、「ゼロカロリー」または「カロリーオフ」などの飲料を利用するという方法です。

しかし、「ゼロカロリー」と「カロリーオフ」の違いを明確に把握している方は少ないと思います。それぞれどのような意味を持つのでしょうか。「栄養表示基準」における定義から繙いてみましょう。

■栄養表示の見方
栄養表示基準とは
栄養表示基準とは、健康増進法第31条に基づき、販売する食品について日本語で栄養成分およびエネルギーに関する表示を行う場合に適用される基準です1)。この基準に沿って記された栄養成分表示をみることで、どのような栄養成分がどの程度含まれているのかを一目で把握することができます。

摂取量の多寡により、私たちの健康の維持増進に影響を与えうる栄養成分が栄養成分表示の記載対象となります。食品の栄養成分とエネルギーに関して表示すべき項目は主要栄養成分とよばれ、1)熱量(エネルギー)、2)たんぱく質、3)脂質、4)炭水化物、5)ナトリウムの含有量をこの順に記載することが定められています2)(表1)。さらに、ミネラル、ビタミン、糖類(単糖類、二糖類)、飽和脂肪酸、コレステロールについて表示する場合は、主要栄養成分に続いて記載します。

表1 栄養成分表示の例


区別がつきにくい栄養表示について
高たんぱく質や食物繊維含有、低カロリー、脂質ゼロなどと表示する場合には、強調表示基準に従って記載する必要があります。強調表示には、不足しがち、または取り過ぎが健康の維持増進と密接に関わる栄養成分について、当該食品に適切な摂取量が含有されている旨の表示をする際の基準が定められています3)

強調表示には、絶対表示(高い旨、含む旨、低い旨、含まない旨)と相対表示(強化された旨、低減された旨)があり、栄養成分ごとに定められた基準値以上または未満であることによって、それぞれ記載することが可能です(表2)

表2 栄養強調表示基準

「ゼロカロリー」と「カロリーオフ」は同じ?
強調表示で記載されたもののなかには、「ゼロカロリー」と「カロリーオフ」のように区別がつきにくい表示があります。強調表示基準値(表3)によると、「ゼロカロリー」は100g当たり5kcal未満(飲料の場合は100mL当たり5kcal未満)であることを表し、「カロリーオフ」は100g当たり40kcal以下(飲料の場合は100mL当たり20kcal以下)であることを表しています。

また、日本と同様に海外においても強調表示が使われています。コーデックス委員会が定める「栄養及び健康強調表示の使用に関するガイドラインCAC/GL 23-1997」4)では、飲料の場合、100mL当たり4kcal未満の場合は「無」とし、100mL当たり20kcal未満の場合は「低」と設定されています。
しかし、このような基準で定められた強調表示の基準に関して、消費者の理解は進んでいません。消費者庁が行ったアンケート調査によると、ゼロカロリーを「0~5kcal未満」と正しく理解していた人は13.5%と低く、69.8%もの人が「1kcal未満」と誤って認識していることが分かりました。さらに、ゼロカロリーという表示について正しく理解していた人は、若い年代で高く、60代以上の高齢者では低いという結果でした5)

表3 栄養強調表示の基準値

■まとめ
強調表示の「ゼロカロリー」と「カロリーオフ」の正しい意味を理解することは、ダイエットや健康維持のためによりふさわしい食品を選ぶ上で有益です。

栄養表示の正しい見方を知り、自分に合った食品を選びましょう。

本記事で紹介した「ゼロカロリー」と「カロリーオフ」は強調表示の一部です。強調表示についてより詳しく知りたい方は、下記の消費者庁の食品表示のサイトをご参照ください。
消費者庁ウェブサイト食品表示 http://www.caa.go.jp/foods/index.html
 

参考文献
1) 栄養成分表示とは(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin829.pdf

2) おしえてラベルくん 健康増進法に基づく食品表示ガイド(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin881.pdf

3) 平成22年12月20日 第1回「栄養成分表示検討会」【資料2】栄養成分表示をめぐる事情(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin466.pdf

4) 栄養及び健康強調表示の使用に関するガイドラインCAC/GL 23-1997
http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/codex/06/dl/cac_gl23.pdf

5) 「栄養表示に関する消費者読み取り等調査事業」の調査結果報告書(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1282.pdf