食品のパッケージに記載されている食品表示からは、その製品に含まれる栄養成分だけでなく、原材料や、アレルギー物質の有無に関する情報も得ることができます。特にアレルギー物質については、その表示ルールを正しく理解しておくことが、製品を選ぶために重要です。

<Contents>

1. アレルギー表示の重要性
アレルギーとは
食物アレルギー対策としての「アレルギー表示」

2. アレルギー症状を引き起こす原材料とその表示
アレルギー症状を引き起こす原材料
表示が義務づけられている原材料と任意表示の原材料
代替表記と拡大表記、対象外食品
《コラム》食品表示法で廃止された「特定加工食品」とは?
アレルギー表示の表示方法

3. アレルギー症状を引き起こさないために気をつけること
アレルギー表示読み取り時の注意
メーカーによる情報提供の活用

 

1.  アレルギー表示の重要性

アレルギーとは
アレルギー(allergy)とは、ギリシャ語のallos(other,変じた)とergo(action,作用・能力)に由来し、「変じた反応能力」ないしは「変作動」という意味で命名された言葉です。厚生労働省では「(広義の)アレルギーとは免疫反応に基づく生体に対する全身的または局所的な障害」と定義しています。私たちの体には、異物の侵入に対して防衛しようとする「免疫学的な防御反応」が備わっており、病気の発症を防いでいます。ところが、アレルギー体質の人では、ハウスダスト、ダニ、花粉、真菌、食物、薬剤なども異物とみなされ、これらが体の中に入ってくると過敏に反応してしまいます。その結果、さまざまなアレルギー症状が引き起こされることになります1.2)

食物アレルギー対策としての「アレルギー表示」
食物アレルギーとは、食物に含まれるアレルギー物質により、じんましんや湿疹などの皮膚症状、下痢・嘔吐・腹痛などの消化器症状、鼻・目粘膜症状、咳・ゼーゼー・呼吸困難などの呼吸器症状等、アレルギー症状を引き起こす疾患です。呼吸困難や意識消失など重篤なアナフィラキシーショックを引き起こす場合もあります。アレルギーの患者さんが増え、表示によって情報を提供する重要性が高まったことから、食品衛生法では、2002年4月から、アレルギー物質を含む場合は食品や飲料のパッケージにその旨を表示することになりました。アレルギー表示の目的は、食品によってアレルギー症状が引き起こされるのを避けることであり、その後も実態調査を踏まえて、表示される原材料の数が見直され、表示の義務がある7品目と表示が推奨される20品目を合わせて現在は27品目となっています3)

2.  アレルギー症状を引き起こす原材料とその表示

アレルギー症状を引き起こす原材料
アレルギー症状を引き起こす原材料はさまざまです。パイナップル、サクランボ、アーモンドなど、表示対象外の食品でも、アレルギー発症の報告があります4)。しかし、食品衛生法では、報告があったすべての食品について表示のルールがあるわけではなく、実態調査に基づいて表示の重要性が高い品目を選定し、表示の義務づけ・奨励をしています5)

表示が義務づけられている原材料と任意表示の原材料
表示が義務づけられているのは、コーヒー飲料や紅茶飲料に含まれることがある乳のほか、卵、小麦、落花生、えび、そば、かにの7品目です(表1)6)。これら7品目は、症例数が多いことや、引き起こされるアレルギー症状が重篤であることから、表示する必要性が高いとされ、「特定原材料」といわれています2)。一方で、清涼飲料水などに含まれることがある、ももやりんご、バナナ、オレンジなどの20品目は、特定原材料に準ずるものとされます(表1)6)。乳など特定原材料7品目と比べると症例数が少ないため、表示は奨励されているものの、義務づけられてはいません5)

表1 栄養表示基準に定められていない成分の表示の例

図 栄養表示基準に定められていない成分の表示の例

「加工食品のアレルギー表示」(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1445.pdf

 

代替表記と拡大表記、対象外食品
食品や飲料に、例えば乳が含まれる場合、表示には必ず「乳」と記載されるわけではありません。その表記からアレルギー物質を連想できる場合があり、アレルギー物質名の代わりにほかの名前で表記する「代替表記」と、特定原材料等の名前または代替表記を含むことからアレルギー物質が入っているとわかる「拡大表記」の二つがあります6)。乳の場合には、ミルク、バターなどの代替表記が認められ、アイスミルク、生乳などの拡大表記があります(表2)6)。また、アレルギー表示の対象となる食品には範囲があり、乳の場合、ヤギや羊の乳は表示の対象とはなりません3)

《コラム》

食品表示法で廃止された「特定加工食品」とは?

一般に卵から作られていると知られている「オムレツ」「目玉焼」のように、その名称から原材料がわかる食品は、特定加工食品として、「卵を含む」という表示が免除されていました。しかし、2015年に施行された食品表示法7)では、特定加工食品は廃止され、ルールが変わりました。新ルールでは、たとえ乳から作られていることが明白でも、ヨーグルトならば「乳成分を含む」と表記する必要があります。ただし、加工食品は、2020年3月31日までの経過措置期間であり、商品によってはまだ新ルールの表記になっていない場合もあります8)。経過措置期間中は、旧ルールのことも念頭に置いて、表示を確認するようにしましょう。


表2 代替表記と拡大表記図 栄養表示基準に定められていない成分の表示の例

表1 代替表記と拡大表記図 栄養表示基準に定められていない成分の表示の例

「大切です! 食品表示」(東京都)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin
/hyouji/kyouzai/files/tebiki_tougouban.pdf

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アレルギー表示の表示方法
表示方法には、個別表示と一括表示があります(表3)。個別表示では、原材料の直後に特定原材料を括弧書きで表示します。複数の原材料に同じ特定原材料が含まれる場合は、原材料のうちのいずれかに、特定原材料を含むまたは由来することを表示すれば、あとは省略することもできます。一方、一括表示は、原材料をすべて並べたあと、最後に、特定原材料や特定原材料に準ずるものを括弧書きでまとめて表示する方法です。アレルギー表示は、原則として個別表示ですが、表示面積が少ないために一括表示でないと表示が難しいなど、個別表示がなじまない場合には一括表示が用いられます8)

また、原材料に使われていなくても、製造工程などで特定原材料が混入する可能性もあります2)。アレルギー物質は微量であっても症状があらわれることがあるため、生産ラインの洗浄などで混入を防ぐことが原則ですが5)、「本品製品工場では〇〇(特定原材料等の名称)を含む製品を生産しています」というような注意喚起を表記することが推奨されています5)

※2015年に施行された食品表示法7)では、一括表示をする場合、一括表示欄にすべて表示することになりました。一括表示欄をみることでその食品に含まれるすべてのアレルギー物質を把握できるようにするため、原材料の一つとして表示されている場合や、代替表記で表示されている場合も、一括表示欄にあらためて表示が必要です。しかし、加工食品は2020年3月31日までの経過措置期間であり、新ルールの表記になっていない場合もあります8)

表3 個別表示と一括表示の表示例

表2 個別表示と一括表示の表示例

「早わかり食品表示ガイド」(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/jas_1606_all.pdf
をもとに作成

 

3. アレルギー症状を引き起こさないために気をつけること

アレルギー表示読み取り時の注意
食物アレルギーの発症を防ぐためには、加工食品や飲料を選ぶときに、パッケージの表示をみてどのような原材料が含まれているのかを確認することが大切です。加工食品や飲料は、生産時期によって原材料の一部が変わる場合もあるため、前回利用したときは問題なかった製品でも、その都度表示を確認するようにしましょう。ただし、特定原材料に準ずる20品目や、製造過程でほかの製品から混入する可能性のある特定原材料は、必ず表示されているとは限りません。また、注文を受けてその場で調理・加工する弁当や、量り売りで売る総菜、レストランなど飲食店で提供する食品・飲料にも、アレルギー表示は義務づけられていないため2)、特に注意が必要です。

メーカーによる情報提供の活用
提供されているアレルギー物質の情報が不十分なときは、自分から情報を得るために動くことも大切です。食品や飲料を製造しているメーカーは、ウェブサイトに製品情報を掲載し、そのなかに含まれる原材料の情報を提供していたり、お客さま相談室を設けて、インターネットなどを通じて受け付けた質問への解答を掲載したりしています。任意表示のアレルギー物質が含まれているか、含まれる場合どの程度含んでいるのか、製造工場の同じ製造ラインでアレルギー物質を含む製品を製造しているかなど、知りたい情報がウェブサイトで入手できなければ、電話やメールなどで問い合わせ、確認することも重要です。また、消費者庁は、対面販売の店や飲食店に対しても情報提供を充実するよう求めていますので2)、アレルギー表示はなくても、スタッフなどに原材料について質問してみるとよいでしょう。

アレルギー表示の活用は、食品によってアレルギー症状が引き起こされるのを避けるために大切です。しかし、すべてのアレルギー物質について表示されているわけではないため、表示のルールを正しく理解し、情報が不足しているときには入手するために自ら行動を起こすことも考えましょう。

 

参考文献
1)平成22年度リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-17.pdf

2)アレルギー物質を含む食品に関する表示Q&A(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1088.pdf

3)加工食品のアレルギー表示(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1445.pdf

4)平成27年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/food_index_8_161222_0003.pdf

5)アレルギー表示について(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/food_index_8_161222_0001.pdf

6)大切です! 食品表示(東京都)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouji/kyouzai/files/tebiki_tougouban.pdf

7)新しい食品表示制度(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1441.pdf

8)早わかり食品表示ガイド(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/jas_1606_all.pdf