コカ・コーラ」はいつだってユースカルチャーと相性ぴったり!
だから、「青春映画」に出てくる清涼飲料と言えば「コカ・コーラ」でキマリ!
ということで、「コカ・コーラ」が登場する
アメリカの青春映画の名作3本を掌編小説スタイルでご紹介。
ライター&コラムニストの長谷川町蔵さん特別書き下ろしです。

文=長谷川町蔵
写真=原幹和(TOP画像)

1
土曜のオフィス街はガランとしていた。
お昼近かったので、机でランチを食べようと思い、会社のビルの1階にあるコンビニに入ってみると、「コカ・コーラ」とポテチの袋を手に持ってユラユラと揺れている不審者がいた。
よく見たら同期のモリシゲだった。奴はわたしの姿を確認すると大きな声をあげた。
「おー、お前も休日出勤なんだ。仲間じゃん!」
どうやら昼間から酔っぱらっているようだ。どうしてそんなことになったのか、訊こうとした瞬間、コンビニの店内のスピーカーから聴きなれたイントロが鳴り出した。
「『アメトーーク!』のテーマ曲だ!」
モリシゲがうかれて踊りだす。
正確にはナックの「マイ・シャローナ」なんだけど。わたしは叔母さんから教えてもらって大好きになった90年代の映画を思い出した。そう、『リアリティ・バイツ』。
あの映画には、「昔はこんな可愛いハリウッド女優がいたんだ」と驚いたウィノナ・ライダーや、まだイケメンだった頃のイーサン・ホークが、「コカ・コーラ」やポテチを手にしながら「マイ・シャローナ」をバックに踊るシーンがあった。
「現実は厳しい」というタイトルに相応しく、ウィノナが演じる女の子は大学を卒業しても、やりたいことが見つからなくて悩んでいた。わたしはあの映画の彼女より三つ年上になってしまったけど、今も悩みっぱなしだ。でも本当にやりたいことを見つける前に、プレゼンの資料を仕上げなくちゃ。
わたしはランチとドリンクを手早く買うと、踊るモリシゲを置き去りにしてエレベーターへと向かった。
ポップカルチャー的キーワード満載の掌編小説。
アメリカの青春映画と「コカ・コーラ」の幸せな関係

[作品情報]
リアリティ・バイツ』(1994年製作)/ ベン・スティラー監督 / 未来より今を精一杯感じたい! ウィノナ・ライダーイーサン・ホークら豪華キャスト共演で贈る90年代を代表する傑作青春ムービー 
[DVD情報]
リアリティ・バイツ』/DVD 税抜価格 1,429円 /発売元:=NBC ユニバーサル・エンターテイメント
※2015年10月の情報です


2
5時半起きでお得意さんの地鎮祭に立ちあったら、直会でムチャクチャ飲まされた。これではもう仕事にならない。午後は会社で溜まっていた経費の精算でもしよう。そう考えてコンビニで、酔い覚まし用の「コカ・コーラ」とポテチを仕入れようとしていたら、マツモトが入ってきた。
あいつも経費精算しに来たのかな?
そう思って、挨拶をしたけど無視された。それどころか俺をおいてエレベーターで上がっていこうとする。何とか追いついて一緒にエレベーターに乗ると、露骨にイヤな顔をされた。冷たい奴だ。新入社員研修の頃から全く変わっていない。
いつもは土曜でも誰かしら来ているオフィスだけど、先にいたのは一人だけだった。同期のヤザワだ。
奴は、「コカ・コーラ ゼロ」を頰にあてて顔をしかめていた。
思わず「誰かに殴られたのかよ?」と訊いたけど、スルーされた。
でもそう思ったのには理由がある。
「ゲーム好きのモリシゲなら超気にいると思うよ」何年か前に友だちからそう教えてもらった『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』という映画に同じシーンがあったのだ。
映画は、好きになった女の子の元カレたちとのバトルを通じて、主人公が人間としてのポイントを上げていくという内容だった。ポイントがゲームみたいに画面に映し出されるギャグにはえらく笑った記憶がある。
で、ふと悩んだ。俺の今のポイントってどれくらいなのかな?
ポップカルチャー的キーワード満載の掌編小説。
アメリカの青春映画と「コカ・コーラ」の幸せな関係

[作品情報]
『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(2010年製作)/ エドガー・ライト監督 / 一目惚れの彼女をゲットしろ! 噂のラブバトル・アクションムービー、遂に登場! ゲーム、ロック、イケてる彼女、それがぼくの人生の必勝アイテム!

[Blu-ray情報]
スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』/ Blu-ray 税抜価格 1,886円 /発売元:=NBC ユニバーサル・エンターテイメント
※2015年10月の情報です

3
「週明けまでに合わせといて」先輩はそう言って終電で帰っていた。それ以来、計算を何百回もやり直しているのだけど、数字はいっこうに合わない。ぼくには経理の才能が欠落しているのだ。
眠気と戦うために、自動販売機コーナーで買った「コカ・コーラ」を頬にあてながらバランスシートをチェックしていたら、オフィスにモリシゲマツモトさんが入ってきた。
モリシゲはいい奴なんだけど、ワケがわかんないことしか言わない。今日は特にそうだったので無視してやった。
「ヘンな形で同期会になったよね」奴とは対照的にマツモトさんが言うことはいつも気が効いている。
二人はそれぞれのデスクで食事をとりはじめた。もう土曜の昼か。
モリシゲはポテトチップと「コカ・コーラ」、マツモトさんは寿司と「コカ・コーラ」という組み合わせだ。
「寿司に『コカ・コーラ』かよ!」突っ込むモリシゲに対して「この組み合わせ、イケるんだよ」とマツモトさんが返す。
そんなやりとりを見ていたら、『ブレックファスト・クラブ』という80年代の映画を思い出した。土曜に休日登校した高校生の1日を描いたその映画では、モリー・リングウォルド扮するヒロインが、寿司と「コカ・コーラ」のランチをとっていた。
大学生の頃は、映画監督に憧れて古い映画を沢山観たものだ。今からでもぼくは映画を撮れるだろうか? たとえば、この午後にぼくらに起きることを物語にするとか。
それは夕方までのストーリーの展開次第だな。ぼくはそう思い、「コカ・コーラ」缶のタブに指をかけた。
ポップカルチャー的キーワード満載の掌編小説。
アメリカの青春映画と「コカ・コーラ」の幸せな関係

[作品情報]
ブレックファスト・クラブ』(1985年製作)/ ジョン・ヒューズ監督 / 80年代“ブラット・パック”を代表するジョン・ヒューズの傑作!

[Blu-ray]
ブレックファスト・クラブ 30周年アニバーサリー・エディションニュー・デジタル・リマスター版』/Blu-ray 税抜価格 3,990 円 /発売元:=NBC ユニバーサル・エンターテイメント
※2015年10月の情報です