文=テッド・ライアン


ウォーホルと「コカ・コーラ」の深い関係

ポップアートの父として知られるアンディ・ウォーホル。彼が、「コカ・コーラ」に関連する作品を数多く残していることをご存知の方は多いことと思います。最も有名なのは「コカ・コーラ」ボトルを描いた1960年代前半の作品群ですが、残念ながらザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)はこれらの作品を保有していません(2013年に開催されたオークションで、5,730万ドルで落札された作品もあるくらい高価になっています)。その代わり本社には、ウォーホルのキャリア後期の作品(日常のワンシーンを切り取った写真の作品集と『ニュー・コーク』にちなんだ作品集)が収蔵されています。


■日常生活の中には、いつも「コカ・コーラ

ウォーホルはどこへ行くにもカメラを携え、自身の工房「ザ・ファクトリー」を訪れた人や街中の人々を好んで撮影しました。そして彼は、毎晩フィルムを現像しネガを1枚だけ選び出してプリントしました(プリントの裏面には、サインの代わりにスタンプが押されています)。ウォーホルの写真作品を見ると、彼が日常的に「コカ・コーラ」を愛飲していたことが分かります。

キャリアの中ではかなり遅い時期に写真に取り組み始めたのにもかかわらず、ウォーホルの写真作品数は最終的に5万点を超えています。


■幻の製品「ニュー・コーク」とウォーホル作品

ザ コカ・コーラ カンパニーでしか見られないアンディ・ウォーホルの“幻の作品”

1985年4月23日、ザ コカ・コーラ カンパニーは、それまでの「コカ・コーラ」に代わる新製品「ニュー・コーク」を発売しました。しかし、消費者たちは、ザ コカ・コーラ カンパニーの決定に対し猛抗議。オリジナルの「コカ・コーラ」の復活を求めて、新製品に対するクレームやネガティブキャンペーンを展開、果ては法廷論争まで起こしました。結局、79日後には、「コカ・コーラ」は元の味に戻されることになりました。

米国のニュース雑誌『タイム』は、この一連の「ニュー・コーク」騒動を題材にした作品を制作し、誌面に掲載しないかとウォーホルに提案しました。

依頼を受けたウォーホルは、画用紙の上に「ニュー・コーク」の液体をたらし、液体が流れて広がっていく様子をポラロイドカメラで撮影しました。そしてその写真をもとに、シルクスクリーン作品を完成させました(ウォーホルが作品を仕上げる工程は、ザ コカ・コーラ カンパニーに収蔵された写真や下絵から知ることができます)。

しかしながら、この作品が『タイム』誌に掲載されることはありませんでした。そのため、作品は現在、ザ コカ・コーラ カンパニーの社内でしか見ることができません。この幻の作品をより多くの方に鑑賞いただけるようにするため、いずれは展示会のツアーもできたらいいなと思っています。