2016年6月5日(日)、
QVCマリンフィールドが沸いた。
そう、日本中のEDMファンが待ちわびていた、
アヴィーチーAvicii)の来日公演だ!
Coca-Cola Journey』は
彼の圧巻のパフォーマンスと、会場の興奮をそのままお伝えします。


文=宇野維正
写真=草間智博



■日本中が熱望した、最初で最後のスペシャル・ライヴ

スウェーデンが世界に誇るトップDJ、2010年代の音楽シーンを席巻するEDM(Electronic Dance Music)ムーヴメントを牽引し、今や孤高の存在として新しい音楽の可能性を切り拓いているあのアヴィーチーが、遂に日本にやってきた。

実はコカ・コーラ社アヴィーチーはとても深い関係にある。2014年にザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)が実施したHIV母子感染撲滅キャンペーンに楽曲を提供。そして今年は、新グローバルキャンペーン「Taste the Feeling」のテーマソングを手がけたのだ。そんなアヴィーチーのライヴステージに、『Coca-Cola Journey』は特別にお邪魔することができた。

アヴィーチーの来日公演が発表されたのはこれが4度目。来日公演がキャンセルされるごとに公演開催予定の会場は大きくなり、初来日となった今回の会場は、大阪は舞洲特設会場、東京はQVCマリンフィールド。いずれも日本最大級のロックフェス、SUMMER SONICのメインステージの舞台であり、音楽ファンにとっては聖地と言える場所。そこに、合わせて約4万8,000人のオーディエンスが集まるという巨大なパーティーとなった。もちろん日本におけるEDMアクトの単独公演としては史上最大の規模。いや、EDMシーンに限らず、音楽シーン全体を見渡してみても、今、これだけの集客力を誇る洋楽の若手ミュージシャンは片手で数えられるほどだろう。

しかし、真に驚くべきなのはオーディエンスの数ではなく、その熱さだ。オープニングアクトのラストを務めた、アヴィーチーのストックホルム時代からの仲間であるオットー・ノウズOtto Knows)が、つい数日前にリリースしたばかりのアヴィーチーとのコラボ曲「Back Where I Belong」をプレイする頃には、既にQVCマリンフィールドのアリーナを埋め尽くしているオーディエンスの歓声は最高潮に。会場内でとにかく目立っていたのは、アヴィーチーのロゴをあしらったTシャツを着たファン(男女問わず)と、アヴィーチーのシンボルマークを思い思いに顔や身体にペイントしたキュートな女の子たち。その様子は、まるで新しい世代が生んだロックンロール・スターの登場を待ち焦がれる、熱狂的なロック・コンサート会場のようだった。

アヴィーチー(Avicii)待望の初来日!熱狂のライヴレポート&特別インタビュー

18時30分。夕日がスタジアムのスタンドの陰に隠れて、空が美しいオレンジの光に包まれた頃、アヴィーチーはステージに現れた。オープニングは新曲の「Without You」。「君がいなくても、僕はなんとかやっていくよ」というアヴィーチーの最新のメッセージが美しい旋律に込められた楽曲だ。

そう。実はアヴィーチーは、今年のツアーをもってライヴ活動からの引退を発表している。先にオットー・ノウズがプレイした「Back Where I Belong」(僕は自分の生まれた場所に帰る)にもしたためられていたように、今後アヴィーチーは故郷のストックホルムでアーティストとしての創作活動に専念するという。今回の来日公演は、アヴィーチーにとっても、オーディエンスにとっても、文字通り最初で最後の特別な夜になることがあらかじめ約束されていたのだ。

アヴィーチーはそんな特別な夜のために、通常のセットよりも長い2時間にわたる「ジャパン・スペシャル・ロング・セット」を繰り広げてくれた。EDMのライヴというと、曲間にやたらと派手なブレイクを挟み、そこでDJがオーディエンスを煽って、闇雲にアゲていくというイメージを持っている人も少なくないかもしれない。でも、この日のアヴィーチーのセットの前半は、初期の楽曲や、他アーティストとのコラボ曲を中心に構成され、まるで一つひとつのトラックを愛おしむように、オーディエンスと共に楽曲に込めた思いを分かち合うために丁寧に繋いでいく、エモーショナルでスピリチュアルなパフォーマンスだった。世界のトップに立っているDJが、万感の思いを込めて自身のキャリアを総括していく。そんな、この日、この場所でしか体験することができない貴重なライヴに、日本のオーディエンスは立ち会っていたのだ。




アヴィーチーとオーディエンスの気持ちが一つになった夜

アヴィーチー(Avicii)待望の初来日!熱狂のライヴレポート&特別インタビュー

日が完全に落ちて、会場が漆黒の闇に包まれると、DJブースの前面とDJブースの周りを取り囲むように設置され、DJパフォーマンスと連動して映像を流す高密度LEDの巨大スクリーンがいよいよその本領を発揮。幻想的な世界が展開していく。その中心に浮き出す、掲げた手を不思議な角度で動かす(お約束のポーズだ)アヴィーチーのシルエット。セットが後半に突入すると、噴き出す炎や降り注ぐ紙吹雪の中で、世界中を熱狂させた代表曲の数々が立て続けに投下。次の曲のイントロが流れるたびに、大きな歓声がスタジアムを包み込む。そして、とにかくみんなシングアロングする。

この日のオーディエンスは、ただ大騒ぎをするためだけにここに集まったにわかファンではなく、その歌詞を一字一句正確に歌えるほどアヴィーチーの音楽を聴きこんでいた真のファンばかりだった。そんなオーディエンスの親密さを全身で感じて、遠目からも感極まっているように見えたアヴィーチー。「この日を迎えられてとても嬉しい。日本ではとても素敵な時間を過ごしたよ。こんなに歓迎されたのは初めてだ。本当にありがとう」。一旦すべての音を止めて、DJブースからそう挨拶すると、アヴィーチーは最後に初期の代表曲「Lebels」の怒涛のビートを浴びせて、ステージから去っていった。

ライヴが終わってから数時間後に、彼は自身のアカウントからこんなツイートをしていた。

This show was seriously one of the best of my life!

きっと、この日の数万人のオーディエンスも同じ気持ちだろう。




アヴィーチーへの独占インタビュー

ライヴを終えたばかりのアヴィーチーが、なんと日本の『Coca-Cola Journey』のために、特別に書面インタビューに答えてくれた!

──今回が初来日とのことですが、日本の印象を教えてください。
アヴィーチー 現代的な要素と伝統が共存している、本当に美しい国だと思います。ファッションはもちろん、建築や電子機器などの日本のデザインが、僕は大好きです。特にNIGO(ファッションデザイナー/クリエイティヴディレクター)は最高。ようやく訪れることができて、最高の気分です。

──ライヴでの日本のファンの盛り上がりはいかがでしたか?
アヴィーチー ファンの方々は、私が音楽活動を続けるためのエネルギーを与えてくれます。彼らの存在こそが私が音楽をつくる理由ですし、楽曲が成功するかどうかは彼らが決めるんですよ! 日本で公演したいと長年思っていましたが、待った甲斐がありました。素晴らしいファンに恵まれ、ここで公演したことでまた力をもらえました。

──これまで何度か「コカ・コーラ」とコラボレーションをされ、新グローバルキャンペーン「Taste the Feeling」のキャンペーンソングも手がけていらっしゃいますが、「コカ・コーラ」とこうしたコラボレーションをすることについては、どうお考えですか?
アヴィーチー 私と私のチームは、「アヴィーチー」のイメージに一貫性を持たせることを徹底しており、コラボレーションするブランドも常に厳しい目で選んできました。「コカ・コーラ」は言うまでもなく、世界中で愛されているトップクラスのブランドです。そしてこのようなコラボレーションを通じて、アヴィーチーのブランドや私の音楽を、サッカー欧州選手権(UEFA Euro 2016)やリオデジャネイロオリンピック2016といった世界的な大型イベントで発信することができるのは素晴らしいことだと感じています。

──キャンペーンソングである「Taste the Feeling」では、どのようなことを表現したいと思いましたか? また、その狙いは成功しましたか?
アヴィーチー 「Taste the Feeling」の音楽をプロデュースするにあたり、私は今回のキャンペーンのテーマにも通じる、前向きな感情を表現したいと思いました。とても口ずさみやすい曲に仕上がり、僕の狙いは成功したと思っています。

──アヴィーチー自身の「コカ・コーラ」との思い出を教えてください。
アヴィーチー 「コカ・コーラ」といえばまず、夏休みの思い出や、友人や家族と一緒に過ごす何気ない時間を連想します。ボトルを開ける瞬間、そして最初の一口を味わうときに「コカ・コーラ」が立てる音は、誰もが知っていると思います。普遍的な記憶ですよね。そしてその音を聞くと、いつも前向きな気持ちになれるんです。

──全世界がアヴィーチーの今後の動向に注目していますが、年内の活動予定、および、来年以降の展望について教えてください。
アヴィーチー 日本ツアーを含む夏のワールドツアーを終えたら、しばらくはライヴパフォーマンスから引退して、新しい音楽づくりに専念する予定です。新しいアルバムの制作に取りかかっているのですが、すごくワクワクしています。みなさんにこの作品を聴いてもらうのが楽しみです。最近は、オットー・ノウズとコラボして、「Back Where I Belong」という新曲をつくりました。ぜひ聴いてみてくださいね!
アヴィーチー(Avicii)待望の初来日!熱狂のライヴレポート&特別インタビュー

アヴィーチーが手がけた、コカ・コーラ社の新グローバルキャンペーン「Taste the Feeling」のテーマソングのMVはこちら!