その魅力を徹底解剖!
「コカ・コーラ」Taste the Feelingキャンペーンがウケている理由[後篇]




■見る側の想像力に委ねるから「新しい」

世界中の広告、ビルボード、店舗ディスプレイやデジタルメディアに登場している「Taste the Feeling」キャンペーンビジュアルのもう一つの特徴は、登場人物の親密な雰囲気と奥行きのある表現です。これらの作品は、状況を説明するような要素が省かれることで見る人に解釈がゆだねられながらも、「コカ・コーラ」に視線が導かれるように構成されています。作品の中には、一部の人物にピントが合っていないものもあります。

その意図を、サマービルは次のように説明しています。「写真の中ですべてを説明してしまわずに、状況をほのめかす程度にとどめました。完全なストーリーをあえて示さないことで想像を膨らませる余地を残し、見る人自身にそれぞれのストーリーを完成させてもらいたいと思ったのです」。

「写真を編集する作業は、作品づくりの中でも大きな部分を占めました。写真を見た人が、『コカ・コーラ』を持ってその場に一緒にいたいと思ってしまうように作品を構成しているのです」とアロチは付け加えます。

その魅力を徹底解剖!
「コカ・コーラ」Taste the Feelingキャンペーンがウケている理由[後篇]




■これが「コンテンポラリー・ノスタルジア」だ!

キャンペーンビジュアルには、革新的な技術がさりげないかたちで使われています。アロチは今回の撮影のために、「コンテンポラリー・ノスタルジア」と名づけた独自のカラーフィルターを開発しました。

アロチは次のように語っています。「これらの写真には、まるで映画のワンシーンであるかのような雰囲気を感じていただけると思います。現代の広告で使われる多くの写真は、あらゆる要素をシャープに見せすぎるあまり、機械的で人間味を欠くものになってしまっています。すべてが滑らかに整えられた写真と比べると、職人が手で仕上げたような写真には特有の美しさがあります。どちらの表現も使いようだと思いますが、今回狙ったのは“完璧すぎない美しさ”でした……。現実の世の中も、またそういうものですから」。

さらに、街灯や自動車、イヤリング、野球帽など、写真の中に点在する「コカ・コーラ」を象徴する赤色をナチュラルに引き立たせる独自のフィルターも開発されました。

「すべての写真で闇雲に赤色を目立たせたかったわけではありませんが、どこかに赤色があったとき、それがたとえ小さい要素であっても見る人の目に留まるようにしたいと思いました。シェフが料理の仕上げに調味料やスパイスを足して、特定の味覚を引き立たせるようなものです」とサマービルは説明します。

その魅力を徹底解剖!
「コカ・コーラ」Taste the Feelingキャンペーンがウケている理由[後篇]

ノスタルジーと「コカ・コーラ」らしさをさりげなく強調するフィルターが開発されたことによって、レトロなロケーションと流行のファッションやアクセサリーが写真の中で絶妙に調和し、普遍的でダイナミックな作品が完成しました。

サマービルは次のように語っています。「写真を少しなつかしい雰囲気にすることで、より幅広い世代の人々の心を捉えられると考えました。私は写真に登場する若者たちと同じ世代ではありませんが、でき上がった作品を見ると、自分自身の『コカ・コーラ』にまつわる記憶がよみがえってきます。これらの作品が、あらゆる年齢の人の記憶を呼び起こしてくれることを期待しています」。