文=ミーガン・プリセラック

 

■“料理界のご意見番”としてツイッターで大ブレイク

アメリカ人シェフのジョン・カレンスは、“料理界のアカデミー賞”とも呼ばれるジェームズ・ビアード賞を受賞した一流シェフ。10年近く前からツイッター(@Bigbadchef)を始めており、その歯に衣着せぬ物言いで、一躍人気者になった人物です。

カレンスの一見近寄りがたい強面の風貌、そして皮肉を含んだストレートなコメントは、彼を料理界で際立った存在にしています。しかし、ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)がカレンスに注目したのは、ツイッターでの発言に興味を持ったからではなく、彼の初のレシピ本『Pickles, Pigs & Whiskey』に「コカ・コーラ」を使ったフライドチキンのレシピが掲載されていたからでした。カレンスが「これ以上うまいチキンは一生食えない」と言い切る自信作です。

その実力のほどを検証すべく、筆者を含めた『Coca-Cola Journey(米国版)』編集部のメンバーが、アラバマ州バーミンガムにあるカレンスのレストラン『ビッグ・バッド・ブレクファスト』の2店舗目を訪問。審判結果はいかに……?

彼の言葉に間違いはない、というのが私たちが下した結論です。筆者は料理のプロではありませんが、揚げ物を日々口にしてきた米国南部育ちの人間として、「これまで食べたチキンの中で一番おいしかった」と断言できますから。

それでは、『Coca-Cola Journey』編集部も認めた“世界一うまい”フライドチキンのレシピを、みなさまに、特別にお教えしましょう。

 

ジョン・カレンス直伝「コカ・コーラ」フライドチキンをつくってみよう!

 

<材料>
・鶏モモ肉 8枚

【A】(調味料)
・「コカ・コーラ」(室温に戻す) 1.2リットル
・チリソース 小さじ4
・カイエンペッパー 少々
・にんにく(薄切り) 4片
・食塩 大さじ1
・タイムの小枝 10本

【B】(衣)
・小麦粉 2カップ
・オニオンパウダー 小さじ1.5
・ガーリックパウダー 小さじ1.5
・カイエンペッパー 小さじ2.5
・ベーキングソーダ 小さじ3
・食塩 小さじ4
・ブラックペッパー 小さじ2

・水 適量
・サラダ油 3/4カップ
・溶き卵 2個分

【C】(揚げ油)
・ピーナッツ油またはサラダ油 8カップ
・ラード 2カップ

<つくり方>
1. 鶏肉は仕上がりの大きさに切り、余計な脂を取り除く。
2. 【A】の材料をボウルに入れる。タイムは香りが出るように軽くちぎって入れる。食塩が溶けるまで軽く混ぜ合わせる。
3. 鶏肉を【A】に入れ、2時間ほど漬け込む。
4. 【B】の材料をよく混ぜ合わせる。
5. 【B】をかき混ぜながら、水、サラダ油、溶き卵の順に加える。混ぜた後、指で触れてもほとんどついてこないくらいの薄さでOK。
6. 【C】の揚げ油を熱しておく。
7. 鶏肉を【A】から取り出して水分をよくふき取り、【B】を表面全体にからませ、余分な汁気を落としてから油にゆっくりと入れる。
8. 衣の色が深い黄金色になったら、油から取り出して、キッチンペーパーを敷いたバットの上で軽く冷まし、器に盛る。付け合わせには酸味がアクセントとなるピクルスがおすすめ。

・動画:ジョン・カレンスによる調理実演

 

ジョン・カレンス 特別インタビュー]
■レシピの源は、少年時代の思い出にあり

―「コカ・コーラ」フライドチキンのレシピのアイデアはどこからきたのでしょうか?

カレンス 大量生産のブロイラーは味に深みがない。だから私は、30年くらい前から、鶏肉はとにかく下味用の調味液に漬けてから加熱するようにしている。そうすれば、もともとパサパサした肉をしっとりさせられるし、味を肉にしみこませることができるからね。それで、どんな調味液がベストなのか真剣に考えるうちに、「コカ・コーラ」を使うことを思いついたんだ。炭酸には、たんぱく質の組織をある程度壊して、肉を柔らかくする効果もある。「コカ・コーラ」に含まれる糖分は、肉に甘みを加えるだけでなく、揚げ衣をおいしそうな深い黄金色にしてくれるしね。ただ、肉を「コカ・コーラ」に漬け込みすぎると、仕上がりの色が濃くなりすぎてしまうから、漬け込みの時間には気をつけなきゃいけない。

 

―「コカ・コーラ」にまつわる思い出を教えてください。

カレンス 私が生まれたのは、1960年代。当時の米国南部といえば、生まれた瞬間から「コカ・コーラ」がそばにあったと言っても過言ではないくらい、とにかく「コカ・コーラ」がごく当たり前にある環境だった。祖父母はノースカロライナ州レノアで雑貨屋を経営していて、夏休みの間は私もそこで過ごした。午後に仕事がひと段落すると、祖父の友人たちは、店に集まって木箱に腰かけて、「コカ・コーラ」を飲みながらおしゃべりするんだ。みんな、小さいパックに入ったピーナッツを「コカ・コーラ」ボトルに落として、ボトルから直接口に流し込んでた。「コカ・コーラ」を飲みつつボトルに入れたピーナッツを食べるという南部独特の飲み方を身につけたのが、幼いころの思い出の一つさ。

 

■仕事場が学校だった

―料理学校に通われた経験はないとのことですが、そのことは、現在の料理のスタイルにどのように影響していると思いますか?

カレンス その通り、私は料理学校に通ったことはない。昔から教室で良い成績を上げたこともなかった。何かを真剣に学びたいと感じたのは大人になってからで、私にとっては職場が学校だったんだ。常に働いていたし、自分で手を動かしているときは、じっとしてただ話を聞いているときの千倍くらい物事を学ぶことができた。

料理を本格的に始めて、これが自分の天職だと思い定めたら、いてもたってもいられなくなった。ある職場では調理を担当し、別の職場ではパンを焼いたりと、いくつもの仕事を掛け持ちしたんだ。まだ若かったころ、肉の切り方を学びたいと思ったけど、レシピの分量が厳密に決まっているようなレストランでは素人にそんなことをやらせてくれないことは目に見えていた。だから地元のスーパーの肉売り場にただ働きを申し出た。みんな私のことをおかしなガキだと思ったんじゃないかな。でも最終的には、あらゆる肉のさばき方を教えてもらえた。いつもそうやって、現場で腕を磨いてきたんだ。

 

■家族の反応が自己肯定感を高める

―個人的に、つくっていて一番楽しい料理は何ですか?

カレンス 季節によって変わるから、一つだけは選べないな。家族の反応が良いものをつくるのは大好きだけどね。チョコチップクッキーをオーブンから取り出すときにみんながどんな反応をするかはよく知ってる。「いちばん自己肯定感を得られる瞬間は?」という質問だったら、妻と娘がどんな顔をするか確信を持ちながら、焼きあがったチョコチップクッキーをオーブンから出す瞬間だね。

あと最近思い知ったんだが、謙虚さを取り戻そうと思うなら、小さい女の子に料理をつくってあげるといいよ。純粋な喜びにあふれた表情をしたと思ったら、次の瞬間には「あなた、これで本当にジェームズ・ビアード賞を受賞したシェフなの?」ってなるんだからさ。たまんないよ。