■ 『美術手帖』編集長のオススメアートNo.2/大竹伸朗さんの作品

香川県の直島に、大竹伸朗さんが外観から内装まで手掛けた銭湯「I ♥ 湯」(アイラブユ)があります(*2)。男湯と女湯の仕切りにはゾウの立体が鎮座していたり、熱帯の植物の茂る外観は壁面にボートが埋まっていたり、壁のタイル絵から蛇口、風呂桶に至るまで全部デザインされていて、全体が大竹さんのコラージュ作品と言える、この世の楽園のような銭湯です。おじいちゃん、おばあちゃんが普通にお風呂に入りに来ていて、地元の人に愛されているのも嬉しい気持ちになります。
裸で湯船に入ることがそのままアート鑑賞になるなんて、めったにない経験です。銭湯で、身体にはリラックスを、頭には刺激を与えてあげてください。そして、お風呂上りには「コカ・コーラ」の炭酸の刺激で、さわやかになってもらいたいですね。
『美術手帖』編集長がオススメする
“鑑賞後に『コカ・コーラ』が飲みたくなる”アートTOP3

大竹伸朗さんはTシャツとか本とかいったグッズもたくさん展開していているアーティストです。
Tシャツなどは質も良くて、モノとしてクオリティが高い。銭湯で購入できますよ。

*2)直島はアートが見られるスポットがもりだくさん。宿泊施設もあるので、旅行先としてもオススメ。
詳細はこちら→
http://www.benesse-artsite.jp/naoshimasento/portfolio.html


■ 『美術手帖』編集長の︎オススメアートNo.3/ジェームズ・タレルの作品

『美術手帖』編集長がオススメする
“鑑賞後に『コカ・コーラ』が飲みたくなる”アートTOP3

ジェームズ・タレルブルー・プラネット・スカイ》2004年 金沢21世紀美術館
撮影:中道淳ナカサアンドパートナーズ 写真提供:金沢21世紀美術館
金沢21世紀美術館の恒久展示作品で、美術館が開館していれば、いつでも無料で見られる。
ただし、館内での飲食はNG。「コカ・コーラ」は鑑賞後に、周りのお庭や公園で楽しんで。
詳細はこちら→
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=30&d=4

光そのものを題材にしているアーティスト、ジェームズ・タレルの恒久作品が、金沢21世紀美術館にあります。大きな空間の天井に四角い穴が開いていて、天井越しに空を見るという作品です。鑑賞にオススメしたいのは、夕暮れどき。この時間帯に空を見上げると、刻々と映り変わっていく空の色を見ることができます。しばらく見ていると、地球という天体とその向こうに広がる広大な宇宙を感じられて、自分と宇宙が一続きであると実感できます。
じっと座って空を見上げていると、だんだん自分が目だけの存在になったような不思議な錯覚に陥いるんです。そんな鑑賞の後は、「コカ・コーラ」が合うかもしれません。「コカ・コーラ」の炭酸のシュワシュワ感が喉を通ると、自分に身体があったんだって思い起こすことができます(笑)。飲んだときの爽快感が現実へと戻してくれるんです。

■ アートの見かた、楽しみかた

アートは感じるままに鑑賞すれば良いと言われることが多く、それはそれで正しいのですが、アートの歴史を知ることで別の楽しみが広がることも確かです。アートの歴史や同時代のアーティストとのつながりといったさまざまな知識を持って鑑賞することで、作品の背景などを読み解くことにつながり、アート鑑賞がグッと深くなります。ブドウの品種や産地情報を知り、そして、飲んだ種類と経験が多くなるほど、さらに深く楽しめるようになっていくワインと似ていますね。
さらに、作品数の多い大きな展覧会などであれば、最初から順々に全部見る必要はなくて、ざっとひと回りしてから、気に入った作品を1点1点じっくり見ることをオススメします。作品の前に立って、すぐに作品のキャプションに目が行ってしまいがちですよね。でも、先に作品の情報を知ると、そこで分かった気になってしまいます。作品そのものと1対1で対峙して、自分の身体に宿った声に耳をすませてみてください。
『美術手帖』編集長がオススメする
“鑑賞後に『コカ・コーラ』が飲みたくなる”アートTOP3

<プロフィール>
いわぶち・ていや/1975年横浜市生まれ。99年慶応義塾大学経済学部卒業。2002年美術出版社『美術手帖』編集部に入社。07年に同誌副編集長、08年に編集長に就任。