文=ジェイ・モイエ

 

■日常で果たす、「コカ・コーラ」の役割にフォーカス

2016年1月から始まった「コカ・コーラ」のグローバルキャンペーン「Taste the Feeling」。昨年放映されたCMのキャンペーンソングを世界的なトップDJ、アヴィーチーAvicii)が制作したことなどで大きな話題を呼びました。そして、今年3月には、視聴者のさらなる共感と驚きを呼ぶであろう新作CM(日本での放映予定未定)が、4本発表されたのです。

ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)のコネクションズ&デジタル部門グローバル・クリエイティブ担当バイスプレジデントであるロドルフォ・エチェベリアは、次のように語ります。「CMのストーリーは、それぞれ完全に独立していますが、すべてのストーリーの核になっているのは、何気ないひとときを特別なものに変え、シンプルだけれど最上の喜びをもたらす『コカ・コーラ』という清涼飲料です。『コカ・コーラ』はCMの中で人と人とをつなげる役割を果たし、ストーリーの展開に欠かせない存在となっているのです」。

それでは、さっそく、気になる新作CMの中身を見てみましょう!

 

■“Pool Boy(プール・ボーイ)”篇:意中の“彼”を巡る兄妹のライバル関係に注目

CM “Pool Boy”篇 (制作:サント

真夏のある日、兄妹が窓の外を眺めると、家のプールを掃除しにやって来た素敵な青年の姿が目に入ります。キンキンに冷えた「コカ・コーラ」を手渡して彼のハートを射止めようと考えた二人は、我先にと冷蔵庫へ向かい、「コカ・コーラ」を手に外へ駆け出します。しかし、時すでに遅し。そこで彼らが目にしたものは……?

「兄弟のライバル関係をテーマにしたCMには、2016年の “Brotherly Love(兄弟愛)”篇(https://youtu.be/f2sYXaZnZXE)がありますが、今回は設定をもうひとひねりしていますね。相手のハートを射止める究極のアイテム=『コカ・コーラ』と位置づけ、親しみやすく情熱的なストーリーの中に、多様な価値観(ダイバーシティ)の重要性をさりげなく入れ込むことも忘れないようにしています」とエチェベリアは語ります。ちなみにBGMで流れるまったりしたチューンは、1958年のイタリアのポップソング「Come Prima(邦題:出会った頃のように)」です。

 

■“Subway(地下鉄)”篇:物語と現実が交錯するシンデレラストーリー

CM “Subway”篇 (制作:マッキャン

地下鉄の構内で弾き語りをする無名のミュージシャン。キンキンに冷えた「コカ・コーラ」を飲んで一息つく彼女の横を、気づかず通り過ぎようとするレコード会社の幹部。しかし電車に乗る間際、弾き語りを再開した彼女の伸びやかな歌声(『Taste the Feeling』)が耳に飛び込んできました。レコード会社の幹部は、「コカ・コーラ」の自動販売機の前で足を止め、彼女の方を振り返ります。

動画:“Subway”篇 キャスティングの舞台裏
※英語のみ

スターへの階段を駆け上がるシンガー役のオーディションには、世界中から100人を超える新進気鋭のアーティストたちが参加しました。最終的に選ばれたのは、ポルトガル出身のマリア・ブラッドショー。彼女が役を勝ち取るまでの過程を追った特別コンテンツには、感激して喜びを爆発させたり、緊張感に打ち震えたりする彼女のリアルな感情が映し出され、実際のオーディションとCMのストーリーが重なり合います。
「素晴らしい才能の持ち主であるマリアのリアルな人生を共有することで、視聴者がますます私たちのストーリーに共感してくれると考えています」(エチェベリア

 

■“Elevator(エレベーター)”篇:おまけ動画付きの“遊べる”CM

CM “Elevator”篇 (制作:マッキャン

ホテルのエレベーターで偶然乗り合わせた大物DJとウェイトレス。扉が閉まって数秒後、エレベーターは急停止し、二人は閉じ込められてしまいます。ウェイトレスが機転を利かせてカートの中からキンキンに冷えた「コカ・コーラ」を取り出し、DJに渡したことをきっかけに、二人は急速に打ち解け、気が付けばおしゃべりしたり踊ったりと大はしゃぎ。そしてようやく修理工が駆けつけ、エレベーターの扉が開いたとき、彼女は今や仲良しのDJと一緒に思い出の写真をパチリ。しかしその写真を後で見ると……?

動画:“Elevator”篇 ボーナス映像

実は、このCMにはもう一つ、楽しい“おまけ”がついています。YouTubeで公開されている上の動画のスタート画面に表れている、エレベーターの行き先表示ボタンの数字をクリックしてみてください。クリックする数字によって、それぞれ異なるボーナス映像が見られるようになっているのです。
「動画用の台本はあったのですが、二人の演技の半分ほどはアドリブなんです。その分、自然さと真実味がぐっと増していると思いませんか? Taste the Feeling』の広告写真の撮影でも、“演出しすぎない”ようにしていたので、同じアプローチだと言えますね。私たちはそれを、『はい、チーズ!って言わない』ルックと呼んでいます」(エチェベリア

 

■“Eyes Closed(瞳を閉じて)”篇:世界共通の動作で伝えるメッセージ

CM “Eyes Closed”篇 (制作:オグルヴィー・アンド・メイザー

人生には、瞳を閉じることによってより感動が深くなる瞬間がある──。ジェットコースターでのスリリングな一瞬、先頭ランナーとしてゴールのテープを切る瞬間、コンサートで友人たちと踊るひととき、そしてキンキンに冷えた「コカ・コーラ」を味わう、何気ない日常の一コマ。「各シーンでの瞳を閉じるという小さな動作から、パワフルなメッセージが伝わってきます。共感を呼ぶシーンがいくつも現れる、印象的な1本です」(エチェベリア)。

ちなみにこのCMのテーマは、フランスの画家ポール・ゴーギャンの名言、「私は見るために瞳を閉じる」から着想を得ているそうです。

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“Elevator”篇の異なるキャスティングによるバージョンの1シーン

Taste the Feeling」キャンペーンは2016年1月から200以上の国で、CMや屋外広告、店頭ポスター等々、さまざまな形で展開されていますが、そのような中にあって、たびたび各地の文化や社会的背景に合わせた複数のバージョンの広告をつくるという試みがなされてきました。CM “Elevator”篇は、世界各地で、異なるキャストを起用した三つのバージョンがつくられています。ストーリーやセット、主な演出は共通していますが、音楽やカットの切り替えなど細かい部分をキャストに合わせて調整しているのです。

その意図についてエチェベリアは、「消費者が身近に感じられる内容のストーリーを語ることによって、私たちの普遍的なメッセージを、世界中のファンの心によりしっかりと届けることができるのです」と語ってくれました。さらなる進化を遂げた「Taste the Feeling」キャンペーンが、今年も世界各地で話題を巻き起こすことは間違いありません。