Coca-Cola Journey』では、これまでに何度も
世界各国の「コカ・コーラ」グッズコレクターをご紹介してきました。
毎回、「こんなグッズが存在したのか!」と
コレクターの収集力に驚かされてばかりです。
今回は、ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)のアーキビスト(*)による
カナダ在住のコレクター、ビル・クック家の探訪記をお届けします。

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*アーキビスト:歴史的価値のある物や情報の収集、査定、保存、管理などを行う専門職のこと。ザ コカ・コーラ カンパニーには、同社の歴代製品や関連アイテム、アート作品などを保管するアーカイブ庫があり、専属のアーキビストたちがその管理を行なっている。

文=ジャスティーン・フレッチャー ザ コカ・コーラ カンパニー アーキビスト)

 

■それは、完全無欠のコレクションだった

私が訪れたビル・クックのコレクション部屋は「コカ・コーラ」アイテムで溢れかえっており、もはやそのコレクションは完全無欠なのではないか? と感じました。

そんなクックに、(これほどまでに充実したコレクションを持っているのにもかかわらず)今欲しいものはあるのか? と尋ねてみることにしました。すると、「ハチソンボトルですね。カナダでは使われていなかったので」という答えが返ってきたのです。ハチソンボトルとは、1915年にコカ・コーラ」ボトルが発明される前の19世紀末から20世紀初頭にかけて使われていた、ガラスボトルのこと。出回った時期がごく限られているために稀少性が高く、現在は数千ドルの値段で取引される、激レアアイテムです。残念ながら、ザ コカ・コーラ カンパニーでアーキビストを務める私といえども、それを手に入れるためのサポートはできそうにありません。

では、第2希望は?
「アトランタのザ コカ・コーラ カンパニーのアーカイブ庫に行きたいんですよ」と、彼はにこっと笑って言いました。幸い、それなら私でもお役に立つことができそうです。

クックは、「コカ・コーラ」アイテムのコレクター団体「オンタリオ・コカ・コーラ・クラブ」の会長を20年間務めてきた人物です。実を言うと、私が今回カナダにいるクックを訪問した目的の一つは、カナダ建国150周年とカナダでの「コカ・コーラ」発売120周年を記念して出版された書籍『Refreshing the Nation for 120 Years』と、限定バージョンのミニ缶6本パックを渡すことにありました。彼が所有するコレクションの写真がその本にも掲載されていて、私はその実物を見る機会に恵まれたというわけです。

 

■コレクションづくりは仲間づくり

クックが「コカ・コーラ」アイテムを集め始めたのは20歳代の頃。当初は、「コカ・コーラ」に限らずさまざまな種類の清涼飲料のボトルを集めていたと言います。しかし、はじめて「コカ・コーラ」ロゴ入りのドアの留め具を買ったとき「コカ・コーラ」アイテムの魅力に取り憑かれてしまい、その結果ボトルのコレクションを売り払い、「コカ・コーラ」アイテムだけを集め続けるようになって今に至るそうです。私が訪問した前日にも、彼は別のコレクターから「コカ・コーラ」コレクションを買い取っていました。

 

クックの本業は看板の絵描き。だから、コレクションの中でも金属製の広告看板に は、特に愛着を抱いているそうです。いちばんのお気に入りはコレクション部屋の壁にかかっている1枚。「私たちのファウンテンでどうぞ」という文字が書かれている(写真右下)ことから、かつて、「コカ・コーラ」を販売していたソーダファウンテン(カウンター形式の喫茶店)で使われていたものであることが分かります。

もちろん、クックは自分の好きなアイテムを収集するだけで満足しているわけではありません。「常にコレクションの一部を売ったり買い足したりしています。それから、遠方でのコレクターの会合に参加するときは、地元を離れられない仲間の代わりにアイテムを買って、帰ってきてから彼らに売ることもあります」と彼は説明します。

このことからも分かるように、クックにとってコレクションは、単なる“モノの集積” ではなく、“人とのつながり”を象徴するものでもあるのです。「『コカ・コーラ』という絆でつながった仲間たちとは、毎年会合で顔を合わせます。『コカ・コーラ』とコレクションのおかげで、アイテムだけでなく、一生の友人を得ることができました」。

ちなみにクックは、コレクター仲間のオスカー・セゴビアと一緒に、偽物の「コカ・コーラ」看板を見分ける方法についてのセミナーを開催したこともあるそうです。

 

■ついには、自ら作品を制作

 

クックのコレクションを見て回った私は、彼が集めた「コカ・コーラ」アイテムの質の高さに驚かされました。特に、「コカ・コーラ」ロゴの下に黄色い点が描かれた丸型看板は大変珍しいもので、すぐに私のお気に入りとなりました。

それから、見たことのないデザインの大型のボトルも見かけました。その由来を聞いてみると、クック自身がガラスの「コカ・コーラ」ボトルにペイントを施したものでした。寒さが厳しい冬の間、室内にこもってボトルに絵を描き、自分の作品づくりをしているのだそうです。

「完成までにどれくらい時間がかかったかは、自分でも把握していません。すでに何本か売れたのですが、その後も作品を見かけたという人から購入希望の連絡があったりして、買い手が増えてきているんですよ」と彼は言います。

彼のために持参した本とミニ缶の6本パックを渡した後で、8月に行われる「コカ・コーラ」コレクターの年次会合について打ち合わせしました。それから、私は彼の望み通り、次回アトランタに来てくれた際にはザ コカ・コーラ カンパニーのアーカイブ庫を案内することを約束して、彼と別れたのでした。