文=ケント・ランダース

 

バフェット氏は「チェリーコーク」がお好き

世界で最も有名な投資家であり、世界屈指の資産家でもあり、保険会社バークシャー・ハザウェイの経営者でもあるウォーレン・バフェット氏は、「チェリーコーク(*チェリーフレーバーの『コカ・コーラ』。日本でも過去数度発売されたが、現在は販売されていない)の愛飲家としても良く知られています。過去数十年にわたり、バフェット氏が公の場に姿を現したときには、必ずと言ってよいほど「チェリーコーク」を飲む姿が目撃されているのです。

そんなバフェット氏も大好きな「チェリーコーク」が、3月10日、中国で本格的に販売されました。そして驚くなかれ、発売を記念した限定缶に、なんとバフェット氏が似顔絵で登場したのです。

中国のコカ・コーラ社でマーケティングディレクターを務めるシェリー・リンは、その経緯についてこう説明します。「中国の消費者はトレンドに敏感で、特に、名の知れたブランドの新製品が大好きです。だから、『コカ・コーラ』も大好き。そんな背景があるので、せっかく『チェリーコーク』を発売するのであれば、新製品の発売をさらに盛り上げるためのキャンペーンをしたいと考えました。そして、中国の消費者を惹きつける最もクリエイティブな方法を検討した結果、世界一有名な投資家にして『チェリーコーク』ファンであるバフェット氏に発売をお祝いしてもらおうではないかということになったのです」。

このアイディアを聞いたバフェット氏の反応はどうだったのでしょう?
「嬉しいことに、快諾いただけました。正直なところ、断られる可能性が大きいと考えていたので、私たちも驚きました。とても感激していますし、限定缶の売れ行きも好調です」(リン

 

■“バフェット缶”発売の舞台裏

ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)のムーター・ケント会長兼CEOも、このユニークなキャンペーンの実現にとても満足しているようです。
「最高ですよ。中国は、世界有数のダイナミックな消費者市場です。そんな中国での『チェリーコーク』の発売にあたってウォーレン(・バフェット)の似顔絵を使わせてもらえたことを、光栄に思います」(ムーター・ケント

バフェット氏のイラスト入り缶の発売は、多くのメディアに採り上げられました。投資やマネーの総合情報サイト『ヤフー・ファイナンス』には、バフェット氏のこんな発言が掲載されていました。
「4、5ヵ月前にムーター(・ケント)から、中国で新発売する『チェリーコーク』のパッケージに私の似顔絵を使用しても良いかと尋ねられました。私は発売から半年間は、使用してもらって全くかまわないと答えました。その間に特に問題が発生せず、さらに、彼が似顔絵缶の販売を続けたいと言えば、おそらく私はOKを出すだろうと思います。ちなみに、ノーギャラですよ。今回のイラスト制作用にポーズを取ったりもしていません。私がそういったことが好きではないことを、ムーターもよく分かっていたんでしょうね」

世界で最も有名な投資家とのコラボレーション@中国 ウォーレン・バフェット氏が「チェリーコーク」限定缶に登場!

中国で発売された「チェリーコーク」のPETボトルと限定缶

 

■「チェリーコーク」だけじゃない。バフェット氏コカ・コーラ社の深い関係

現在中国では、「チェリーコーク」の330ml缶と500mlPETボトルが販売されています。バフェット氏のイラスト入り限定缶は販促キャンペーンの一環で店頭に並び、売り切れ次第終了となります。

ちなみに、「チェリーコーク」が初めて米国で発売されたのは1985年のこと。「コカ・コーラ」の名を冠する、初のフレーバー製品として開発されました。米国での人気を受けて他国にも展開され、現在は世界30ヵ国以上で販売されています(*現在日本では販売されていません)

バフェット氏ザ コカ・コーラ カンパニーとの関係は、単にバフェット氏が「チェリーコーク」好きであるということにとどまりません。バフェット氏が会長兼CEOを務める保険会社バークシャー・ハサウェイは、1980年代後半以降ザ コカ・コーラ カンパニーの筆頭株主であり、これまでに4億株にも及ぶ投資をしています。バークシャー・ハサウェイの最新の年次報告書では、ザ コカ・コーラ カンパニーへの投資による利益が150億ドルを超えた(四半期配当を除く)と発表しています。

もちろん中国でも、バフェット氏は伝説的な投資家として抜群の知名度を誇ります。ネブラスカ州オマハで開催されるバークシャー・ハサウェイの年次総会に参加する中国人投資家の数は、年々増え続けているそうです。

その発言や投資判断が株式市場に多大な影響を与えることが知られているバフェット氏ですが、中国市場での「チェリーコーク」の躍進にこのような形で一役買うとは、さすがの本人も予想していなかったことでしょう。