4. ドイツからの助言

「広い視野とトレンドを捉えるセンスを備えよう」

世界のコカ・コーラ社社員に学ぶ
「真の国際人になる方法」
Coke Executives on How to Navigate a Complex Global Business Environment
ナディーン・ジース

4人目はドイツコカ・コーラ社で戦略的ビジネスパートナーを務めるナディーン・ジースです。
Q: ドイツで、あるいはドイツ人と一緒に働く人が理解しておくべきことは何でしょうか? また、世界を舞台にして働こうとする人へのアドバイスをお願いします。
A: ドイツの企業文化は今、非常に大きな変化のただ中にあります。上下関係の厳しい伝統的なドイツ式の組織から、オープンな企業文化を持った国際色の強い組織へと変わっていく大きな流れがあり、ドイツ発のベンチャー企業の数も増えてきています。このような環境の中で企業が競争に勝っていくためには、変化への柔軟な姿勢と、市場を先取りした積極的なアプローチが必要となります。だから、イノベーションと起業家精神に突き動かされた企業が生き残っていくことでしょう。働く人にも、この流れを理解し、適応することが求められます。
世界を舞台に活躍できる社員は、何事にも好奇心を持って取り組む人です。彼らは尽きないエネルギーと、物事を革新していく勇気を持っており、新しい考え方を積極的に発信します。そのような人材になるためには、広い視野と、トレンドや機会を上手に捉えるセンスが必要になります。加えて、柔軟性があって多様なチーム編成に順応でき、他人と良い関係を築いて味方につけられる能力も必要です。
他の国の文化を理解することは非常に重要ですが、そこに入っていく自分自身の個性を客観的に把握して、どのように適応していくか考えることも同じくらい重要です。たとえば、ドイツ人は非常に率直に意見を述べる一方で、合意形成を重視する傾向があります。そのためには、話し合いの場を設け、相手の考えをよく聞いて、意見交換に参加してもらうことが大切になってきます。私たちのビジネスは信頼関係に根ざしています。つまり、「何を」と同じくらい、「どのように」取り組むのかが、大事だということです。

5. 日本からの助言

「相手に敬意を示しつつ、ハッキリと意見を伝える」

世界のコカ・コーラ社社員に学ぶ
「真の国際人になる方法」
Coke Executives on How to Navigate a Complex Global Business Environment
斎藤敦

5人目は日本のコカ・コーラ社でマーケティング・新規事業部門からコーヒー事業部門を統括する斎藤敦です。
Q: 初めて日本で働く人へのアドバイスをお願いします。また、異なる文化背景の人と働くうえで、ご自身の役に立ったのはどのようなことですか?
A:日本は“中庸”を良しとする文化であり、白黒はっきりつけることが得意ではありません。
日本での成功の近道は、色々な意見に耳を傾けながら、「YES」「NO」の判断をしていくことだと思います。ハッキリとものを言い過ぎると、「こちらの立場をわかってくれていない」と敬遠されてしまうかもしれません。その一方で、海外では、ハッキリものを言わないことがマイナスに作用することもあります。
20代の頃、アトランタのコカ・コーラ本社のチームと会議をすることがあったのですが、「間違っていたらどうしよう」「正しいことを言わなきゃ」という意識が強すぎて、ほとんど話をすることがでず、結果、相手も私の存在にほとんど気付かないまま会議が終わってしまったということがあります。そんな経験をしてからは、自分の意見や考えをハッキリと伝えることを心がけています。何を考えているのかを伝えることで議論も生まれ、相手との信頼関係も築くことができると思います。
日本人は積極的に話しかけるタイプの人種ではありませんが、決して相手を嫌っているわけではないので、話しかけられなくても気にせず社交的にアプローチするのが良いと思います。その際、相手をリスペクトする気持ちを持っていれば、相手もあなたをリスペクトしてくれます。その上で、『自分はこのようにしたい』という意思と、『なぜならば……』という理由をパッションを持って説明していけば、きっと良い仕事環境ができ上がるはずです。

6. メキシコからの助言

「物事の全体像を理解し、人を公平に扱うこと」

世界のコカ・コーラ社社員に学ぶ
「真の国際人になる方法」
Coke Executives on How to Navigate a Complex Global Business Environment
リカルド・シェリー

最後は、ラテンアメリカコカ・コーラ社で戦略・計画部門のバイスプレジデントを務めるリカルド・シェリーです。
Q: ラテンアメリカで、あるいはラテンアメリカの人と一緒に働く人が理解しておくべきことは何でしょうか? また、海外で働く上で役に立ったスキルを教えてください。
A: メキシコを含むラテンアメリカの大半は、ここ数十年で急速に発展しています。人口、経済、社会構造の好調な変化を受けて、人々の意識も変わってきました。私たちはかつての「因習的で、集団主義的な、権利を求めない、混乱に慣れきった」文化から、「現代的で、より個人主義的な、権利を行使できる、ビジョンを持った」文化へと進化してきています。ラテンアメリカで働けば、多くの非常に優秀な男女と出会うことになるでしょう。彼らは、世界中のどこのプロフェッショナルにも負けないクリエイティブな思考と挑戦的な視点を持っています。現地のプロフェッショナルの質の高さは、強く意識しておくべきです。
私たちの組織には、協力関係を重んじる文化がありますが、社員一人ひとりには、組織を定められた方向へと動かすリーダーシップも求められます。企業文化は昔と比べてずっとダイナミックになっており、誰もがエネルギッシュで向上心に満ちていると期待されています。私たちと一緒に働けば、その仕事への情熱は尊敬に値するものだと感じてもらえることでしょう。それから、私たちは職場に限らず、家族や国家に対してもこのような熱い思いを抱いているのだということも、ぜひ知っておいてください。
世界を舞台に仕事する中では当然、相手との文化の違いを認識すべきです。そのうえで、私が経験から学んだ成功の秘訣は、「物事の全体像を理解し、人を公平に扱い、やるべきことを実行すること」の3点です。