「コーヒーの新しい波がきた」。
そんなキャッチコピーを携えて2016年5月に発売された
ジョージア コールドブリュー」。
しかし、「新しい波」とはいったい何なのか。
従来の容器入りコーヒーとは何が違うのか。
日本コカ・コーラ株式会社 製品開発担当の立花慶久さんと
マーケティング担当の脇若英輔さんに、
製品開発の裏話を聞きました。


文=三田村蕗子
写真=村上悦子

 

■コールドブリューの起源は日本にあり!?

──まず「ジョージア コールドブリュー」の「コールドブリュー」製法についてお尋ねします。日本語に訳すと「低温抽出」ということですが、具体的にはどのような製法なのでしょう?

立花 水出しコーヒーをご存知ですか? 常温の水に細挽きされたコーヒー豆を長時間浸して、ゆっくりと成分を抽出・濾過(ろか)する日本で親しまれているコーヒーです。この水出しコーヒーがアメリカで進化したものがコールドブリュー。その抽出方法は、コーヒー豆が持っているうまみと香りを引き出すサードウェーブコーヒー(*)の流れから出てきたもので、これまでにない新しい味を楽しめるということで、人気を博しています。

実は、私たちは過去に何度も低温抽出の容器入りコーヒーの製造にトライしてきましたが、これまでの技術では製造不可能でした。2年ほど前にようやく新しい装置が開発され、その抽出装置を工場に導入することから技術開発がスタートしました。

──2年がかりの製品なんですね。味も、水出しコーヒーとよく似ていますか?

立花 日本の水出しコーヒーは、主に夏場にアイスコーヒーとして飲むものなので、しっかりとした苦味が求められます。酸味が出過ぎすると飲みにくいので、深煎りしたコーヒー豆からまろやかな苦味を水でゆっくり抽出しているんですね。一方、コールドブリューの製法で抽出すると、苦味や雑味、エグみが抑えられ、フローラルな香りとフルーティな酸を強く感じるすっきりした味わいのコーヒーになるんです。

製品開発担当 立花慶久さん



──製品開発にあたってはニューヨークにも視察に行かれたとお聞きしました。

立花 ニューヨークだけでなく、シアトルにも行きました。サードウェーブコーヒーは、アメリカ西海岸で生まれて、その後、ニューヨークにトランスファーされました。シアトルからニューヨークに伝播していく間に味がどんどん変わっていったので、その変化を知りたかったんですね。日本で製品化する場合、どの味を参考にすればいいのかをリサーチしました。

視察の結果分かったのは、シアトルのコーヒーは本当に浅煎りのコーヒーで、酸味が強くフローラルな香りにあふれたものだということ。たとえて言うと、まるで発酵したコーヒー豆から抽出したかのような味わいです。これがニューヨークに行くと、フローラルさはありつつも、もう少し苦み=コーヒー感があって飲みやすくなる。尖っていた味が洗練されて、よりマスに受けるものに変わったという印象です。シアトルの味は、コーヒー通には好まれるかもしれませんが、一般の日本人には、違和感があるかもしれません。

──だから、シアトルではなく「ニューヨーク発のコーヒーのトレンド」なんですね。

脇若 今回、私たちは若年層や女性など、普段あまり缶コーヒーなどの容器入りコーヒーを購買していない層にもアプローチしたいと考えました。その点で、ニューヨークのトレンドを踏まえたコーヒーという位置づけは分かりやすくもあります。新しいものに敏感なトレンドセッターやアーリーアダプターたちは、ニューヨークで起こっていることに関心がありますから。

マーケティング担当 脇若英輔さん


*米国のコーヒーブームのうち3回目に当たる潮流のこと。1990年代後半から始まったとされる。豆栽培や淹れ方にこだわり、コーヒー豆本来の味を引き出すコーヒーを提供することに特徴がある。




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