■ コカ・コーラ」カーを見た子どもたちが歌いだす!

車のドアの下部パネルには、1971年の有名なテレビコマーシャルソング「I’d Like to Buy the World a Coke」の全歌詞が掲載されています。「赤信号で止まっていると、車を見た人々が急にハミングを始め、歌いだすことがあります」とケリーは言います。あるときマクドナルドで、母親からこの歌を習った幼い4兄弟に出会いました。「子供たちはなんと、この歌を四重唱で歌ってくれたんです」とケリーはそのときの思い出を話します。
人々を笑顔で満たす
幸せの赤色の自動車=「コカ・コーラ」カー

車のナンバープレートは「040 PBX」。初めて登録した際に無作為に決まったものでしたが、今ではそれは、「The Polar Bear Express」の頭文字だということにされています。「私は『コカ・コーラ』のポーラーベアが大好きなので、ナンバープレートもそれにちなんだものだと説明しているんです」と彼女は言います。

車体は主に、「コカ・コーラ」の缶ではなくボトルのデザインで飾られていますが、その理由を訊かれたときのケリーの答えは決まっています。「缶はありふれた形ですが、ボトルは『コカ・コーラ』そのものです。それはアメリカの象徴です。『コカ・コーラ』ボトルがなくなればアメリカも消えてしまうんじゃないか、と思うくらいに、アメリカの歴史の一部を担ってきているのです。もはや私たちの一部です」。

デザインのプロであるケリーは、「コカ・コーラ」のロゴがいくつもの世代を超えて受け継がれてきたことに惹かれると言います。「これまでずっと、『コカ・コーラ』のロゴに魅了され続けています。125年以上もほとんど変化することなく存在し、世界中どこにいても、見ればそれとわかるものですよね」。

ケリーにとって、「コカ・コーラ」は自分のルーツにつながる存在です。「いつでもそこにあるけれど、押し付けがましくはない。『コカ・コーラ』は私に故郷の家を思い出させてくれる、さりげなくて心休まる存在なんです」と彼女は表現します。
人々を笑顔で満たす
幸せの赤色の自動車=「コカ・コーラ」カー



■ 誰もが楽しくなる車だから、生涯現役で

ケリーが愛車でルイスヴィルの街中を通りかかると、大半の人は手を振ったり写真を撮ったりします。あるときには、ドライブスルーのレストランで、目を見開いて唖然とする店員に遭遇したこともありました。彼らの反応に共通しているのはどんな点でしょう?

「みんな笑顔になります。いつでも、どこへ行っても、みんなこの『コカ・コーラ』カーを大好きになってくれるんです。この車は私にとって唯一の移動手段ですが、乗っている私もハッピーだし、行く先々でもハッピーな気持ちをつくり出しているみたいです」とケリーは言います。

最初の追突事故の直後、自動車修理工は「この車に残されている運命といったら、また追突されるか、エンジンがダメになることくらいですね」と冗談を言いました。2014年のクリスマス直前、修理工の予感は的中し、モーターが壊れてしまいました。誰もが車を手放すようにケリーを説得しようとしましたが、車を生き返らせようとするケリーの決意は固く、ついに彼女はエンジンを完全につくり直してくれる機械工を見つけ出しました。

車を修理に出している間、ケリーはレンタカーを運転していましたが、その時期のことを「あれほど憂鬱だったことはない」と振り返ります。

「人々が車を見て、笑顔になったり写真を撮ったりしてくれることに慣れていたんです。自分がこの車を運転しているときはハッピーになること、そして周囲にも楽しさが伝わっていることに気づきました。この車は“ハッピーな『コカ・コーラ』カー”と呼ばれています。運転するのも楽しいし、誰もが楽しくなる車なんです」

エンジンがまた故障したら、ケリーはどうするのでしょうか? 「これからもずっと、そんなことは予定していません」と答える彼女には、「コカ・コーラ」カーの引退など考えられないようです。

Slide show:ケリーの「コカ・コーラ」カー