■「この先何があっても、ハウスがあれば大丈夫」

 心臓の病気は、手術後も病院と長く付き合っていくことになる。裕子さんは一時期、颯樹くんの体調が不安定になり、「いったいこのトンネルはどこまで続くんだろう」という閉塞感に包まれて夜も眠れずにいたことがあったというが、同じ悩みを分かち合える人との出会いに幾度となく助けられたという。

「ハウスが他の滞在施設と違うところは、患者の家族と向き合ってきたという長年の蓄積ではないでしょうか。私は息子が病気だと分かるまで、自分や自分の家族が病気になるなんて考えたこともなく、心の準備も全くできていなかったのです。それでもどうにかやってこれたのは、ハウスが病気の子どもを持つ家族の滞在施設というだけでなく、人と人を結びつける場所であってくれたからだと思っています。今では『もしこの先何かあってもハウスがあれば大丈夫』と思えるくらい信頼しています」

今日も“第二のわが家”は、病気の子どもをもつ家族たちをサポートする……
「ドナルド・マクドナルド・ハウス」が救う小さな命

日本では「公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン」が
ドナルド・マクドナルド・ハウス」の運営母体。
同公益財団法人は数多くのスポンサーが支えている


 企業がスポンサーとなって夕食を提供してくれるミールプログラムが月に何度かあり、松平さんの滞在中の一つの楽しみになっていた。そこに顔を出せばご馳走を頂きながら他の家族と自然に交流が始まるからだ。

「余裕がある時は『うちの子は心臓の病気で入院中なの。お宅は?』なんて話しながら、生活情報の交換をさせて頂いたりしていました。他のお母さんお父さんたちのがんばっている姿を見て、うちの家族だけじゃないんだ、と気持ちが楽になりました」

今日も“第二のわが家”は、病気の子どもをもつ家族たちをサポートする……
「ドナルド・マクドナルド・ハウス」が救う小さな命

館内には「東大ハウス」利用者など
さまざまな立場の人から提供された本がたくさん置かれている


今日も“第二のわが家”は、病気の子どもをもつ家族たちをサポートする……
「ドナルド・マクドナルド・ハウス」が救う小さな命

もちろんパソコンの利用も自由だ


 東大ハウスには最大で4週間まで宿泊できるが、当時は幸い空きがあり、松平さんは結局3ヵ月ほど滞在した。その間、松平さんの夫もここから職場に通っていたという。現在は松平さん自身も職場に復帰し、「第一のわが家」に戻って生活をしている。

「小さい子どもが、病気を治していくには、家族が一緒にいてくれるという安心感がとても大切だと感じています。その家族を物理的にも精神的にもサポートしてくれるハウスは、私たちにはなくてはならない存在になりました。この先、もし何かあってもハウスにいればいつものように顔を見ながら応援できます。子どもが入院することになったら、まずハウスの予約。それくらい、ここは重要な場所です」

 颯樹くんは2015年の冬、2度目の手術を受ける。手術日が決まったらすぐに、裕子さんはハウスの予約をする予定だ。颯樹くんの闘いはこれからも続くが、家族はいつでも近くにいる。

ドナルド・マクドナルド・ハウスについてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
http://www.dmhcj.or.jp/house/index.html