スキャンダルやエッチ系、あるいは炎上ネタなど、
読み手の下世話な好奇心を駆り立てる
刺激的なニュース記事=センセーショナルなニュース記事が
webではウケる──という声を、よく聞きます。
仮にそうだとするならば、
Coca-Cola Journey』がお届けし続けている「ハッピーなニュース記事」は、
web上ではウケにくいのでしょうか?
(いやいや、そんなはずはない、と編集部は思っておりますが)
そこで、今回は、web上でウケるコンテンツの「実際」を調査すべく、
Yahoo!ニュースSmartNewsLINE NEWSという主要サービスの担当者を直撃。
単刀直入に尋ねてみました。
“ハッピーはニュースになりますか?”

文=麦倉正樹
写真=村上悦子


■ 短期に強いネガティブ記事。長期で花開くポジティブ記事

今回3つのサービスを取材させていただいた理由は、それぞれ発信する情報の選択基準や読者が異なっているから。情報の選択基準などが異なれば、きっと「ハッピーなニュース」に対する考え方も異なってくるだろうと考えたからです。

ちなみにYahoo!ニュースは、提供各社から送られてくる膨大なニュースを、約25人のスタッフで構成される「Yahoo!ニュース トピックス」編集部の判断で取捨選別しているそうです。国内最大級のポータルサイトYahoo!JAPANの運営するニュースサイトだけあって、読まれる記事の量が多い(約100億PV / 月)のも特徴。また、国内ユーザー5800万人以上を抱えるLINEのニュースサービスであるLINE NEWSは、Yahoo! ニュース同様、編集部の判断によって掲載するニュースを選んでいるそうですが、Yahoo!ニュースが「公共性と社会的関心のバランス」を重視してニュースを取捨選択しているのに対し、LINE NEWSは公共性プラス「親しい友だちが教えてくれるような」ニュース体験を重視しています。さらにスマートフォン用のニュースアプリのSmartNewsは、前二者と異なり、独自のアルゴリズムによってユーザーが興味を持ちそうなニュースを自動的に選出。敢えて編集部を置かないことが特徴です。

このように、編集・編成特性が異なると「ハッピーなニュース」の読者のウケ具合にも、差が出てくるものなのでしょうか。各サービスの担当者は、以下のように答えてくれました。


Yahoo!ニュース、SmartNews、LINE NEWSに聞きました
「ハッピーはニュースになりますか?」
「Yahoo!ニュース トピックス」編集部 編集責任者 伊藤儀雄さん

「(センセーショナルなニュースに関する記事の方が、ハッピーなニュースの記事、ほっこりしたニュースの記事よりも読まれる)そのような傾向はないと思います。正直な話、私もLINE NEWSを始める前は、そのような印象を持っていたのですが、実際LINE NEWSを始めてみたところ、ハッピーなニュースの記事や楽しいことに関するニュース記事といったものも、かなり読まれているのです。ハッピーなニュース記事や楽しいニュース記事がユーザーに求められるという手応えを、日々感じているところです」(LINE NEWS編集長 末弘良雄さん)

「ハッピー系のニュースの記事の需要は、常にあると思います。たとえば、新聞──特に地方紙の場合、その地方ならではの記事がやはり売りになるわけですが、そこに実際何が書いてあるのかというと、地元の幼稚園の行事であったり、その地域で頑張っている人たちの話であったりする。そういった、その地域の“良い話”みたいなものには、昔から需要がありますし、普遍性があれば全国でも読まれます。webだからといってそこが異なることはないと思いますね」(『Yahoo!ニュース トピックス』編集部 編集責任者 伊藤儀雄さん)

「今はやはり、ソーシャルメディアの時代──Facebooktwitterを使って、自分が知った情報を他の人に伝えることが、一般的になっていますよね。その場合、ネガティブなニュースに関する記事よりも、ハッピーなニュースに関する記事のほうが、シェアされることが多い。もちろん、短期的にはネガティブなニュースに関するものの方が広まりやすいかもしれないですが、長期的な意味では、ポジティブなニュースに関するもののほうが、伝播力が強いように思います」(SmartNews編成長 松浦茂樹さん)


■ 自分ゴト化できる「身近な話」が鉄板?

こちらの予想とは裏腹に、「ハッピーなニュース記事が読まれにくいということはない」という結論を、唱えてくれた担当者たち。その背後には、SNSやスマホの普及によって変化した、「ニュース記事」そのものに対するユーザー側の意識の変化があるのかもしれません。自分ひとりで楽しむニュース記事から、誰かと共有するニュース記事へという流れです。それでは、よく読まれている「ハッピーなニュース記事」には、どのような具体的な傾向があるのでしょうか?


Yahoo!ニュース、SmartNews、LINE NEWSに聞きました
「ハッピーはニュースになりますか?」
SmartNews編成長 松浦茂樹さん

「やはり、人に関する記事が多いです。努力して頑張っている人の話とか、道徳的な行動をとることで人や社会の役に立つなど成果に繋がった人の話とか。そこになにがしかのストーリー性があるものが、特にハッピーなニュース記事の場合、よく読まれているようです。きちんとしたストーリーがあれば、文字量が多くても最後まで読んでいただけるんですよね」(伊藤

「一概には言えませんが、SmartNewsでは衣食住に関するニュースなど、読み手にとって身近な話題に関する記事がよく読まれている印象があります。しかも、記事から単に情報を得るだけではなく、それに自分の行動や考えをプラスオンして、情報をアップデートしながら広がっていくような──良質な情報が、さらに良質な情報を連れてくるんです。ハッピー系のニュース記事の場合は、特にそのようなことが多いように思います」(松浦

「“楽しかった、おいしかった、嬉しかった、面白かった”──そういう感情をユーザーと共有できるような記事は、かなり読まれています。たとえば、同じグルメ情報であっても、海外の三ツ星レストランの蘊蓄話ではなく、『コンビニでこんなにおいしそうな商品が出たよ』とか、『週末に行けるような場所にあるお店の情報』とか。やはり、記事内容が他人ゴトではなく自分ゴトに感じられないと、なかなか読んでもらえないようです」(末弘