文=テッド・ライアン



■超レア! 1922年のポーラーベア広告

1922年、ポーラーベアシロクマ)と「コカ・コーラ」は、フランスで制作された広告ポスターの中で初めて共演しました。そして、その後数十年の間に、ポーラーベアはたびたび「コカ・コーラ」のキャンペーン広告に姿を見せています。まずはスライドショーで、初登場の姿から近年のキャンペーン広告での姿まで、ポーラーベアの活躍ぶりを見てみましょう。

Slide show:スライドショー:古今東西、ポーラーベアが登場する「コカ・コーラ」広告





■CGアニメのポーラーベアが動きだすまで

1993年、米国のザ コカ・コーラ カンパニーは、それまでと全く異なる手法のキャンペーン広告「Always Coca-Cola」を展開しました。このキャンペーン広告の特徴は、バリエーションが多いことでした(ターゲット別に制作された27パターンものTVコマーシャルが、世界中で一斉に放映されたのです!)今や「コカ・コーラ」の象徴ともなっているポーラーベアのCGアニメは、このときに誕生しました。

ポーラーベアのTVコマーシャルの制作を指揮したケン・スチュアートは、当時世界最先端とされていたCG技術を導入しましたが、それでも当時は、30秒のTVコマーシャルを1本制作するのに、3ヵ月もかかりました(当時の様子を語るデジタルアーティストのインタビューはこちらをご覧ください)。

制作チームは、絵コンテを基に鉛筆で各シーンをスケッチしたあと、実物のポーラーベアの映像や写真を見て、頭や胴体、手足の動きを研究しました。そして、立体的なポーラーベアをコンピューターで描けるようにするために、粘土でつくられたポーラーベアの頭部模型を用いました。その模型は、コンピューターに接続されたタッチペンで表面に描き入れられた垂直・水平方向の線上に点をプロットしていくと、ポーラーベアの輪郭が3D画像としてコンピューターに取り込まれる仕組みでした。その後、取り込まれた画像の細部を調整してメモリに保存、実際にポーラーベアを動かす作業が始まりました。

コンピューター上に3D画像で再現されたポーラーベアは、頭、胴体、手足などのパーツごとに動作を設定する必要がありました。各パーツの動作を調整しながら組み合わせることによって、はじめてポーラーベアは自然に動き出すのです。次に、ポーラーベアの輪郭と動作が完成したら、「コカ・コーラ」ボトルなどほかの要素をスキャンしてコンピューターに取り込み、映像に追加します。そしてポーラーベアの毛や目といった細部が描き込まれ、背景が挿入され、影や反射をリアルに再現するために光の具合を設定しました。

「コカ・コーラ」広告の人気キャラクター ポーラーベアの
“思わず萌える”フォトギャラリー

1996年のキャンペーン広告で、
アザラシの子とボールで遊ぶポーラーベアの子



ポーラーベアの声の主は……?

アニメーションの制作と並行して、オリジナル楽曲の制作と効果音の収録も行われました。スチュアートは、オリジナル楽曲の制作にはアウトサイド・ミュージック社グレン・ルーガーを、効果音の収録にはウェディントン・プロダクションズ社を起用しました。音楽を過剰に使用することで幻想的な世界観を壊してしまうことのないよう、音楽は、場面に必要なアクセントをつける程度に使用するというのが、スチュアートの方針でした。

ポーラーベアたちは言葉を語らず、その代わり「ウー」「アー」といった鳴き声やうなり声を発します。実はこの鳴き声は、スチュアート自身の声を素材にしています。録音した声をコンピューターで加工することで、いかにもポーラーベアが発しそうな声に仕上げたのです。必要最低限に抑えられた音楽と“会話”ですが、それでも、完成までには何ヵ月もの作業を要しました。

音楽と効果音、そしてCGアニメーションという要素がそろったところで編集作業が行われ、一つの作品に仕上げられました。魔法のようなポーラーベアの世界は、こうして誕生したのです。

「私たちが最初に思い描いたのは、無邪気で楽しそうに動く、良い意味で“人間味のある”キャラクターです。その狙い通り、誕生したポーラーベアたちはかわいらしく、いたずらや遊びが大好きで、いつでも楽しさいっぱいの暮らしをしているんです」とスチュアートは語ります。



■動画: 2012年のコマーシャル『キャッチ!』