■これからは「日本旅館」の時代だ!

──これからの100年をどう考えていますか?
星野:100年先まで見据えてはいないのですが、世界に日本旅館が出ていけるようにするつもりです。2016年にオープン予定の「星のや東京」は、世界の大都市に日本旅館というカテゴリーの宿泊施設があって欲しいという思いから始まったんです。
──東京をモデルケースに、ゆくゆくは世界へということですね。
星野:はい。都市で日本旅館という選択肢があり得るんだと、知ってもらうきっかけになれば良いなと思ってます。僕は「日本旅館メソッド」と呼んでいるのですが、一人のスタッフがさまざまな業務をマルチタスクでこなすことが、柔軟性の高いこだわりのサービスにつがなります。こうした日本旅館ならではのおもてなしを広めたいのです。

星野リゾート代表に聞きました。
「なぜ、100年間お客さまにハピネスを届けることができたのですか?」

──そこが外資系のホテルとの違いなのでしょうか。
星野:外資系はマーケティングに基づいて運営するので、どのホテルでも同じサービスになります。業務ごとに専門のスタッフが割り当てられるのも、サービス提供の方法と質が均質化する要因ですね。これまではサービスのスタンダードが求められていたから良かったけれど、世界の旅行者が洗練されてきた今、スタンダードの次に来るものが求められている。それが日本旅館なのです。
サービス提供のための作業を分業化し、世界中で共通化するのが外資系ホテルのやり方だから、日本の旅館は部屋数が少ないために、外資流のサービスの分業を導入しても採算を取るのが難しい。だから外資系ホテルは旅館に参入しないでしょう。そこは、大きなポイントです。このチャンスを逃さず世界に出いくことが、今後10年、20年の課題だと思っています。

星野リゾートが日本の未来に貢献できること

──話は変わりますが、星野リゾートでは100周年事業として世界の若者に日本を旅して、レポートしてもらう100 TRIP STORIESを展開されていますよね。この企画の意図を教えてください。
星野:100年に1度くらい収益に関係ない良いことをやろうよ、という意図です(笑)。さらには、旅に行くとその土地の人を好きになる不思議な効果があるのですが、僕はそれを「旅の魔法」と呼んでいます。「旅の魔法」で日本人のファンを世界中に増やしたいと思ったのです。
よく、観光は平和維持産業だと言われます。どこかの国の政府は嫌いでも、その国に友だちがいるという人は多いですよね。そんな若者が将来増えれば国同士の関係は良くなるし、観光産業だからこそ貢献できる方法だなと。今回、企画への参加対象年齢を20歳代に限定したのには、そのような意味合いもあります。

星野リゾート代表に聞きました。
「なぜ、100年間お客さまにハピネスを届けることができたのですか?」

──なるほど。ところで、星野代表は「コカ・コーラ」が好きだとうかがったのですが……。
星野:好きですね。「コカ・コーラ」って、人によって飲みたくなるシーンが違うと思うんですが、僕の場合はスキーなんです。「コカ・コーラ」が好きなのは、子どもの頃の思い出やスキーというスポーツと「コカ・コーラ」との相性が良いからだと思います。
僕は年間60日スキーに行くんですけれど……。
──すごいですね(笑)
星野:スキーと「コカ・コーラ」って条件反射のように出てきますね。白い雪と青い空と「コカ・コーラ」。
──では、次はぜひスキー場で。本日はありがとうございました。


青森以上に青森!「星野リゾート 青森屋

星野リゾート代表に聞きました。
「なぜ、100年間お客さまにハピネスを届けることができたのですか?」

今回のインタビューでは、青森県は三沢市にある「青森屋」にお邪魔しました。星野リゾートでは施設ごとにスタッフがコンセプトを考え、そのコンセプトに沿ったおもてなしを提供しています。青森屋のコンセプトは「青森の文化をまるごと体験できる温泉宿」。そのコンセプト通り、客室の内装はもちろん、食事や用意されているさまざまなイベントなどすべてに、“青森らしさ”が盛り込まれていました。
たとえば、ショーレストランの「みちのく祭りや」では毎晩、青森の四大祭り「青森ねぶた」「弘前ねぷた」「八戸三社大祭」「五所川原立佞武多」が催されます。県内在住でも、全てのお祭りを体験されている方は、そう多くはないはずなので、すごく貴重な場所です。
宿泊客が一緒になって体験できるイベントでは、参加されている方がみな笑顔で、時にはつい青森弁につられながら楽しんでいる姿が印象的でした。そこで働く人たちが日々サービスを進化させ、ファンを増やしていくという星野リゾートの目指す姿が、そのまま形になっているような宿でした。

星野リゾート 青森屋
住所:青森県三沢市字古間木山56
TEL:050-3786-0022(星野リゾート予約センター)
WEBサイト:http://noresoreaomoriya.jp