文=ジェイ・モイエ

カンヌ国際広告祭の話題作!?

空からのロマンティックな贈り物は、キューピッドの仕業でしょうか? 真っ赤な風船のブーケがバレンタインデーの町中に舞い降り、驚きを見せるカップルたちに「コカ・コーラ」を届けています。
「Happiness is in the Air」と題されたこの映像は、ニュージーランド出身のヒュー・ミットンHugh Mitton)監督が23歳の時に制作した60秒のテレビCMです。2013年2月14日にアメリカの人気番組『アメリカン・アイドル』の放映枠の中で初めてO.A.されました。
このCMはもともと、2012年に世界最大級の広告祭「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」で開催されたコンテストに出品するためにつくられました。コンテスト用にMOFILMコカ・コーラ社をはじめとする著名ブランドと映像作家をつなぐプラットフォーム)を通じてコカ・コーラ社が出題したテーマは、「幸福な瞬間を捉えた祝日にまつわる広告」。ミットン監督はこの作品で見事、グランプリを受賞しました。

そのシーンは"バレンタインデー"

CMがかたちになるまでのプロセスは、次の通りです。
ミットン監督はまず、ニュージーランドの風光明媚な港町ウェリントンに風船が舞い降りる映像を撮ることを思いつきました。ウェリントン市街は見晴らしの良い高台に囲まれています。「ここから街全体を眺められるということは、ここから風船を飛ばせば、街中の誰にでも『コカ・コーラ』を届けることができるんじゃないか? と考えたのです。まさにそれがCM制作の出発点でした」とミットン監督は語ります。
鍵となる風船を飛ばす日=祝日にはバレンタインデーを選びました。
「バレンタインデーは構想にぴったりとはまりました。映像ではカップルが『コカ・コーラ』をシェアしていますが、彼らが本当にシェアしているのは共に過ごす時間、それもちょっとしたサプライズが寄り添う瞬間なのです」(ミットン監督


CMはハッピーな瞬間を共有するためにある

監督だけではありません。コカ・コーラ社の社員たちも、CMのO.A.を心待ちにしていました。「当社とMOFILMの関係は4年目を迎えており、これまで多くの主要市場に、当社ブランドの素晴らしいコンテンツを送り出してきました」と、コカ・コーラ ノースアメリカの統合マーケティングコンテンツおよびデザインエクセレンス担当副社長であるジョナサン・ミルデンホールJonathan Mildenhall)は語ります。
コカ・コーラ社はこれまでもクラウドソーシングを通してコンテンツを募集してはいました。ただし、今回の場合は、作品を公開する場に『アメリカン・アイドル』を選定したことが大きくモノを言いました。「(多くの視聴者の目に触れたことで)この作品は、オープンソースの作品に対する期待値を大きく引き上げることになりました」とミルデンホールは言います。
「Happiness is in the Air」からは、「コカ・コーラ」のブランドバリューとバレンタインデーの関係性がはっきりと伝わってきます。コカ・コーラ社でコンテンツディレクターを務めるデビッド・キャンベルDavid Campbell)は、このCMは正しいタイミングで正しいメッセージを届けていると言います。「当社製品は126年以上にわたって消費者にハピネスを届けてきましたが、私たちが今後目指していくのは、製品でハピネスを届けるのはもちろん、日々ハッピーな瞬間を生み出し、その瞬間を共有するきっかけをお届けすることなんです」

CM監督からのメッセージ

ミットン監督は、このCMを見た人にどんなことを感じてほしいのでしょう?
「やっぱりバレンタインですから、ちょっとした温かい気持ちが伝わればと思います。それから、僕たちがいつでもどこでも何気なく交わしているような、シンプルな心遣いの大切さをあらためて思い出してもらえたら嬉しいです」
ちなみに2012年には、トルコのコカ・コーラ社がバレンタインデーのO.A.用に制作したテレビCM「Love Machine」が大きな話題を呼びました。このCMの舞台はイスタンブールのにぎやかなショッピングモール。そこでは、ハグもしくはキスで自分たちの愛を証明したカップルだけが、自動販売機から無料で「コカ・コーラ」を受け取っていました。CMは、その模様を収録したモノでした(自販機には、隠しカメラが備え付けられていたのです)。