「スポーツは、人と人を結びつける」(ブレット社長)

竹田会長 スポーツには本当にいろんな力がありますね。スポーツを行うことで心身ともに健康になるのはもちろん、仲間と一緒にプレーすることで相互理解が深まりますし、選手と観客とが一体になることで国民同士の絆を感じるという効果もあります。スポーツは社会を豊かにしてくれるものです。逆に言えば、これだけスポーツが発展してきたというのは、日本社会が成熟してきた証でもあると感じています。
ブレット社長 スポーツの頂点にあるとも言えるオリンピックには、国際的なコミュニティを一つにまとめる力もありますよね。でも、もっと草の根レベル、学校や市町村単位でも、スポーツは人と人とを結びつける機会を与えてくれます。たとえば、公園で父親が子どもとキャッチボールをすることを想像してみて下さい。これだけでも温かい絆が生まれ、共感性や創造力が育まれます。これが、コカ・コーラ社が長年にわたって、地域密着型の小さなイベントから、オリンピックFIFAワールドカップといった国際大会まで、世界中でさまざまなスポーツイベントへの支援を続けてきた理由の一つです。

コカ・コーラ社社長×JOC会長特別対談
「だから東京にはオリンピックが必要だ!」


竹田会長 私があらためてスポーツの力を実感したのは、2011年3月11日の東日本大震災の後でした。大勢の方が亡くなられ、被災地では多くの方が悲しみと苦難に打ちひしがれていました。その中で「我々スポーツ界には何ができるだろう?」と真剣に考えました。そして、オリンピアンたちとともに被災地を訪れ、子どもたちと一緒になってスポーツで汗を流すという活動を始めたのです。お子さんたちは非常にすばらしい笑顔を見せてくれました。
 震災以来、3年間で60回「オリンピックデー・フェスタ」というイベントを開いてきたのですが、現地から「ぜひ続けてほしい」というご要望をいただいたこともあり、その後も継続しています。協力してくれたオリンピアンは200人以上になりますが、子どもたちが一生懸命スポーツに打ち込む姿を見て、選手たちも力をもらっています。そういう貴重な相乗効果も経験しました。
ブレット社長 素晴らしいですね。日本コカ・コーラも同じような経験をしています。日本コカ・コーラ北島康介選手のサポートを長い間続けているのですが、私も彼と一緒に被災地を何度か訪れました。そこでは、子どもたちや地域のみなさんが、アスリートをどれだけ尊敬し、応援しているのかということがよく伝わってきました。オリンピック・ムーブメントは、地域社会の再構築という意味でも非常に大きな力を発揮するんじゃないでしょうか。
竹田会長 やはりオリンピックの素晴らしさというのは、その精神にあると思うんですね。選手は最高のパフォーマンスを発揮するために、一生懸命努力をする。勝利をめざして相手と必死で戦うわけですが、それはきちんとしたルールと、フェアプレー精神の下で行われます。そして、試合が終われば、お互いに敬意をもって友情で結ばれる。参加した選手、応援する観客、運営に携わる関係者、すべての人々が連帯し結束する。それがオリンピックの精神です。オリンピックの精神は、互いの多様性を認め合い、調和のとれた共生社会を築いていくことにもつながります。スポーツには、そういう社会的な役割もあるのだと思います。

コカ・コーラ社社長×JOC会長特別対談
「だから東京にはオリンピックが必要だ!」


ブレット社長 それはオリンピックの開会式や閉会式にも象徴されていますよね。世界中から集まったアスリートがスタジアムで一堂に会し、楽しそうに手を振ってお互いをたたえ合っている。素晴らしい光景ですよね。勝負の場ではライバル意識に燃えていても、そこからひとたび離れれば、共通の精神を持った仲間なんだということがよく分かります。
竹田会長 今のように、各国の選手が自由にスタジアムに入ってくるやり方は、じつは1964年の東京大会から始まったんですよ。最初はきちんと整列して入場する予定だったんですが、選手たちが自然に自分たちの気持ちを表した結果、ああいう形になったんです。