「2020年は、日本にレガシーを残さなければならない」(竹田会長)

ブレット社長 オリンピックコカ・コーラ社の間には90年近くの長きにわたるパートナーシップの歴史があります。その歴史の中で、私たちは素晴らしい経験をし、パートナーシップをともに育んできました。日本では夏季大会、冬季大会合わせて、これまで3度オリンピックが開催されてきました。
竹田会長 コカ・コーラ社が大会を盛り上げるために企画してくださるプログラムにはいつも驚かされます。
ブレット社長 1964年の東京オリンピックでは、組織委員会と協力しながら、観戦に訪れる外国人のための交通案内やガイドマップ、観光情報、日英会話集などの冊子を制作しました。1972年の札幌大会では、「オリンピック記念世界地図」30万枚を北海道内の中学校に寄贈しました。聞くところによると、その地図をまだ大切に持っている方もいるそうです。そして1998年の長野オリンピックでは、日本で初めての聖火リレーのプレゼンターを務めました。巨大な大会全体から見れば小さなことかもしれませんが、オリンピック精神に直に触れていただく機会を提供する仕事に、我々は情熱と誇りを持って取り組んできたんです。

コカ・コーラ社社長×JOC会長特別対談
「だから東京にはオリンピックが必要だ!」


竹田会長 ありがたいことです。東京2020大会に向けては、日本代表選手団の活躍が非常に重要になると考えています。子どもたちに夢を与えるためにも、大会全体を盛り上げるためにも、選手たちにはがんばってもらわなければいけない。そこで我々は、2020年に活躍が期待される「ターゲット・エイジ」の若いアスリートを中心に、各競技団体と協力しながら強化を進めています。
ブレット社長 そこで日本人アスリートたちがピークを迎えてくれれば、本当に感動を呼ぶでしょうね。もちろん、我々がアスリートのパフォーマンスを直接高めることはできませんが、オリンピックを盛り上げるための経験の蓄積があります。たとえば、2012年のロンドンでは、ファッションや音楽といった要素とスポーツを結びつけて、アトラクション体験型イベントを開きました。また、日本で一般公募のダンスコンテストも実施し、上位5組(25名)をロンドンオリンピックに招待しました。2016年のリオでは、ロンドンとは違うことを計画していますし、東京2020大会はさらに進化したものになるでしょう。
竹田会長 ロンドンオリンピックは「環境に配慮した持続可能な大会」が一つの大きなテーマでしたよね。成熟都市で再び開催するという意味では、東京も同じです。ロンドンのケースは、我々にとって大いに参考になるモデルだと思っています。
ブレット社長 竹田会長が考える東京2020大会の役割とはどんなものなのでしょうか?

コカ・コーラ社社長×JOC会長特別対談
「だから東京にはオリンピックが必要だ!」


竹田会長 東日本大震災からの復興も道半ばであり、厳しい経済情勢が続く中で、2度目のオリンピックを東京でやる意味とは何なのか。そのことを真摯に見つめ、東京、そして日本にレガシー(遺産)を残し、日本社会に貢献するオリンピックにしなければならないと考えています。実際、東京都とともにさまざまな計画を進めています。たとえば、「グリーンロード・ネットワーク」というプロジェクトでは、2020年までに100万本の街路樹を植えて、サッカー場1500面分(1000ヘクタール)の緑地をつくっていこうとしています。もう一つは、高齢化が進む中、お年寄りに優しい街づくりというのも大きなテーマです。未来に向かって、さらに住みやすい社会をつくるために、東京がモデルケースになる。その求心力になるものとして、オリンピックの開催は非常に大きな意味があると思っています。
ブレット社長 招致活動のときに掲げられたスローガン「ディスカバー・トゥモロー 〜未来(あした)をつかもう〜」というのは、そういうことなんですね。
竹田会長 ええ、1964年のオリンピックというのは、戦争から復興した日本の姿を世界に発信し、日本が国際社会に戻ったことを伝える、とても良い機会となりました。それに対し、今回、我々が訴えてきたのは、まさに先ほどお話しした「スポーツの持つ力」です。東日本大震災からの復興の過程で我々が感じたスポーツの素晴らしさをあらためて伝えたい、そして、復興のためにご支援いただいた世界中の方々に感謝したいという思いが根本にあります。その上で平和な未来をつくっていきたいと願っています。1964年には日本が変わった。2020年には我々が世界を変えていく。それくらいの気概をもって取り組んでいます。