文=ジョヴァーナ・アホーロ

夢への挑戦を決意した朝

2011年のある日の朝。私は、サンパウロのどんより曇った空の下、ちょっと憂鬱な気分で目を覚ましました。そして改めて思いました。「生きていくうえでの本当の問題は『病気』と『死』の2つしかないんだ!」、と(それは私の信条でもあります)。もしも自分の抱える「問題」がそのどちらでもないのなら、起き上がって、どんなメイクにも勝る最高の笑顔をつくって、人生と向き合うべきでしょう。
私はそのとき、「病気」でも「死」にかけてもいませんでしたから、習慣となっている瞑想をしながら人生と向き合ってみました。そして、「灰色の空を眺めている場合ではない、今こそ夢を実現させるときだ」、と決意しました。「死ぬまでにやりたいことリスト」(実際につくったリストで、何度も書き換えています)を見直して、「スカイダイバーになる」という大きな夢を叶えるときが来たと悟ったのです。

JUMPING FOR JOY
幸せなら空を飛ぼう!? 
コカ・コーラ社社員が語る「空の上の幸福論」


スカイダイバーになることは、2009年から思い描いていた私の夢でした。その年にブラジリアで初めてタンデムジャンプを体験、ジャンプを一緒に体験した消防士の親友の次のひと言がきっかけになったのです。
「君には恐怖心ってものがないのか? ずっと落ち着いていて楽しそうだからびっくりしたよ。君にはスカイダイバーの素質がある。スカイダイバーになりなよ!」

スカイダイビングは人生そのもの!

夢に挑戦することを決心したのは、それから2年後の2011年(冒頭のシーンです)。その瞬間のことは、まるで昨日のように覚えています。サンパウロから車で1時間のところに、スカイダイビングで有名なボイトゥバという町があります。私は「決意の瞑想」を終えるやいなや、アクセルレイテッド・フリーフォール(AFF)コースのある学校をGoogleで調べ上げ、スカイダイビングの理論を学ぶ講習に登録しました。そして実際に講習を受講し、講習修了の翌週には、自分のパラシュートでレベル1のジャンプに挑む準備ができていました。

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初めて一人で飛んだときの気持ちはひと言では言い表せません。飛行機が上昇していくときは極度に緊張しましたが、ジャンプする間の段取りをはっきり意識できるくらいの余裕はありました。飛行機のドアの縁に立ったときの気分は最高で、パラシュートが開いた瞬間思わず歓声をあげました。初めての単独ダイビングは私を感謝の気持ちと充実感で満たしてくれました。そして足が地面に触れた瞬間には、人生の素晴らしさに感じ入り、私は心の中で「ありがとう、ありがとう」とひたすら繰り返していました(もちろん、飛行機から飛び出すときには2人のインストラクターに支えられていましたが、パラシュートが開いた瞬間私は一人で、無線からの指示に助けられながら初めての着地を成功させることができました)。それは達成感と誇りが入り交じった感情でしたが、私はその時、まだスカイダイバーのスタート地点に立ったばかりで、これからも常に学び続けるんだということもわかっていました。
スカイダイビングのレベル(全部で8レベル)が上がっていくにつれて、人生とは到達点ではなく、旅そのものなんだとますます強く思うようになりました。私にとってスカイダイビングとは、自分自身について知ることであり、恐れ、不安、興奮といった生の感情を味わうこと、そして何より、どんなことであれ何かを乗り越えたとき人生がどれほど素晴らしいものとなるかを実感することでした。

50回以上のジャンプ

空を飛ぶことへの愛と情熱は、日々高まっていきました。空を飛んでいる時間は、すべてを超越し、恐れをも静観できる、人生で最高の瞬間だったのです。講習中は、次のジャンプの予定をいつ組めるかということばかり考えていました。合計50回以上は飛び、完全にスカイダイビングにのめり込んだ私は、プロのスカイダイバーになることを真剣に考え始めました。

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頭ではわかっていた大切なことを、実践によって体得してきました。よく冗談で、自分は「スカイダイビングと哲学」について本を書けると周囲に話すほどです。たとえば、優れたスカイダイバーが忘れてはならない基本を3つお教えしましょう。まず、正確なフリーフォールのためには地平線上の1点に視線を定めること。次に、フリーフォールの間は体がぶれないよう全身の力を抜くこと。そして最後に、笑顔で楽しんで飛ぶことです。
この三つの基本は人生の基本そのものです。どんなチャレンジをするときでも、物事の全体を見ることが大切です。常に広い視点を持ち、周囲だけでなく自分自身に対しても、温かく丁寧に接しなければなりません。このことを理解して日々の生活の中に採り入れたときにはじめて、人生で一番大切なことが見えてきます。奇跡も起こり始めるでしょう。なぜなら、チャレンジに対する準備をしっかりした上で、「自分が本当にコントロールできるのは、良いことをしよう、良い人間になろうとする力だけだ」と認識する謙虚さを持っていれば、誰も私たちを止めることはできないからです。

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コカ・コーラ社社員が語る「空の上の幸福論」


スティーブ・ジョブズは次のように語っています。
「自分がいつか死ぬという自覚は、失うものがあるという思考の罠を避けるための一番の方法だと思う。私たちはすでに裸なのだ。心のままに生きない理由などない」

前に向かって、上に向かって、そして内に向かって!

ある時点で私は、コカ・コーラの広報という「現実世界」の仕事も、同じように素晴らしく、刺激的なものだと気づきました。もちろん人生の多くの場面と同様、ここコカ・コーラでも、いつパラシュートが開くのかを知ることはできません。私が確実に言えるのは、私を「スカイライフ」へと突き動かしたのと同じ情熱を職場でも感じつづけているということだけです。
私は最近アリアナ・ハフィントンハフィントンポスト創設者)の著書『Thrive』(名著です)を読んで、スカイダイビングこそ私の「サード・メトリック」(第三の価値観=お金と権力の先にある成功の再定義)への入口だったことに気づき、人生において何が大切なのかを考えるための視野を広げることができました。

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ジョヴァーナ・アローホGiovana Araujo)は、コカ・コーラ ブラジルの政府関係担当マネージャーであり、アトランタのコカ・コーラ本社で短期的に国際政府関係および広報を担当している


私は、パラシュートが開くまでのフリーフォールの間に「マインドフルネス/ハートフルネス」(禅の考え方や瞑想をベースにした心の訓練法)の真の意味を学び、より健康的でバランスよく、有意義に生きるようになったのです。アリアナ・ハフィントンは次のように述べています。
「知恵と心の安らぎとパワーを得られるような、自分の居場所を見つけなさい。そこを起点に、あなた自身が考える成功のイメージに従って、よりよい世界を想像してみましょう。性別を問わず私たちの誰もが豊かな人生を歩み、もっとしなやかに、もっと喜びと思いやりと感謝の気持ちを持って、そして愛を持って生きられるような世界を。前へ向かって、上に向かって、そして内に向かって!」
乗り込みたい飛行機を選び、そこから飛び出したら、体の力を抜いて、にっこり笑って、パラシュートは必ず開くものと信じましょう。短い人生、くよくよ悩んでいる暇はありません。すべてのものへの感謝の心を持って、全力で生きようではありませんか。