試合の魅力を上げるのも下げるのも選手次第 

──今後J3Jリーグの3部リーグ)ができ、“中山さんが言う意味でのプロではない”プロ選手が生まれてくる可能性があります。そのような中で、どのようにすればチームの選手全員が高いモチベーションを維持できると思いますか。 

中山 答えはシンプルです。選手個人個人が与えられている条件の下で、サッカーに真剣に取り組めるかどうかが大きな問題だと思いますよ。「あなた、サッカー選手になりたくてなったんでしょ? 」「J3でサッカーをすることが夢だったわけじゃないでしょ? J1で戦いたいんでしょ? 代表で戦いたいんでしょ?」という問いを、正面から自分にぶつけられますか、ということ。それができないなら、サッカー選手をやめた方がいい。現在選手としてどのくらいのレベルにあっても、チームがどのカテゴリーに所属していても、サッカーが自分を最大限表現できる場所であるとするなら、たとえチームがJ1に上がれなくても、自分を表現してそれが受け入れられさえすれば上のレベルに行けるかもしれない。そのステップアップへの野心を忘れないでほしい。ただ、もちろんチームプレーを忘れてはいけません。チームプレーを行う中で、自分を表現できるかどうかというのもプロサッカー選手としての使命ですから。

 すべての道は、自分で切り拓いていかなければいけません。そしてそれは、日々の練習や試合、1週間、1ヵ月、1シーズン、1年という期間の中でどのように目標を設定し、目標の達成にこだわっていけるのかが勝負になってきます。極端な言い方ですが、J3の選手であっても世界へは繋がっているんです! もしもイブラヒモビッチ(パリ・サンジェルマンFW)が日本人に帰化してJ3のチームに入り、すごい活躍をしたら日本代表に入れるでしょ?

 いま、J3のチームで控えの人であっても。レギュラーになるのが目の前の目標とはいえ、元々の夢は日本代表になることだとしたら、そこに行き着くための道のりはJ1の選手より険しく長い。だとしたら、やらなきゃいけないことは他の人より多いんですよ。ただそれだけの違い。選手として夢を実現できるか否かは、努力をし続けていけるかということの違いだと思います。 

──「(中山選手は)決して上手い選手ではなかった。でも、ゴールは決めるんだ」と、他の選手が答えたインタビュー記事を、たびたび目にしました(笑)。当の中山さんにとって、いい選手とはどういう選手なんでしょう。 

中山 いい選手=強い選手ではないでしょう。もちろん前提として、「止めて、蹴る」というサッカーの基本技術がしっかりしている選手はいい選手という見方もあるでしょうね。僕は試合に勝ってこその選手だと思うから、「監督の要求に答えられるかどうか」がいい選手かそうでない選手かの分かれ目だと思っています。監督の要求にすぐには応えられなくても、対応できるように変化しようとする選手もいい選手だと思う。

Coca-Cola Journey独占インタビュー
中山雅史
「いま、日本サッカーに必要なこと

──中山さんはご自身の理想にどのくらい近づけたと思いますか? 

中山 全然ですよ。全然だからこそ、伸び代がまだまだあると思っていました。年齢を重ねるほど身体能力は落ちるから、理想の姿に近づけるパーセンテージは下がっていくにせよ、やり続ける限り可能性はあるんです。ただ、僕には残り時間がなかった。僕自身の理想は相当高かったし、だからこそ、結果にこだわれたとも思う。難しいのはわかった上で、いまでもやれるならやりたい。自分の理想とする姿に行きつけたら幸せなんだろうなぁ、と考えてしまいます。

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