「日本サッカーの未来はJリーグにある」 

──日本サッカーがもっと盛り上がるためには、中山さんのように、個々の選手が諦めず自分を成長させていくことの他に、何が必要だと思いますか? 

中山 やっぱりJリーグが盛り上がらないとダメですよね。確かに海外組の選手が代表として帰ってくると、ものすごい数のお客さんがスタジアムに集まってくれる。でも、それだけじゃあダメ。日本のサッカー選手の主戦場であるJリーグの各スタジアムが熱い観客で埋まるようにならなければ、Jリーグは盛り上がっていかないし、日本サッカーも盛り上がりません。リーグが盛り上がるためには、もっと選手に厳しい環境が必要だと思うんです。つまり競争意識の強いチームが増えていくことですね。チーム内の競争があり、チーム同士でも競争をする。その連鎖が面白い試合の量産につながって、リーグが活性化していく。いま、海外でやってみたいという子どもは多いですが、競争に晒されて、成長したJリーガーの姿を見たなら、子どもたちはJリーグで戦いたいと思うはずです。そのためにも、海外にも引けをとらない戦いがJリーグにあることを発信していかなければならないんです。それは選手たちの責任でもあると思います。お客さんの印象に残る試合をできるかは選手次第ですから。それが先ほどいただいた質問のプロとしての姿勢にもつながってくるのかなと。

 あとはスタジアムの環境もなんとかしたいですね。陸上トラックのないサッカー専用スタジアムは、ボールを蹴る音や身体と身体がぶつかりあう音が響くから、サッカーを初めて観に来た人にも、その迫力が伝わります。魅力ある試合やサッカーの迫力を体感してもらって、日常的にサッカーの話題が出るようになってほしいです。おじさんたちが朝の挨拶代わりに、昨日の試合のことを話題にするような、ね。イングランドはそういう文化ですよね。イングランドのスタジアムは競技場というより「舞台」。選手は用意された舞台で戦い、それを観るお客さんはサポーターというよりオーディエンスで、選手がピッチ上で表現することを楽しみにしているわけです。芸術と言ったら言い過ぎかもしれませんが、そういうものを鑑賞しに来ているイングランドのようなサッカー空間が、日本でもできたらいいなと思いますね。 

──では、選手やお客さんではなく、スポンサーに期待していることは何かありますか? 

中山 よくスポンサーの名前を冠に付けた「スポンサーデイ」というのがありますよね。そのスポンサーデイに魅力的なノベルティを出してくれれば、それが欲しくて試合を観に来る人もいるだろうから、サッカーへの入り口を拡げてくれることになっていいと思います。あと、テレビCMにもサッカー的な要素をいろいろ入れてくれたら嬉しいですよね。コカ・コーラだったら、試合が終わった後、選手が一気に飲み干す姿を映してもいいですし、サポーターが力の限り応援した後に、飲み干す姿を映してもいい。スポンサーには、Jリーグも選手も、サポーターも裏方の皆さんも、全部巻き込んでいってほしいと思っています。

Coca-Cola Journey独占インタビュー
中山雅史
「いま、日本サッカーに必要なこと」

◆  プロフィール
なかやま・まさし/1967年静岡県生まれ。藤枝東高、筑波大を経て、90年にヤマハ発動機入社。94Jリーグ加盟後から2009年までジュビロ磐田でMVP1度、得点王を2度、ベストイレブンを4度受賞する。10年コンサドーレ札幌へ移籍。12年に第一線から退くと発表。日本代表としても19982002年ワールドカップに出場(ワールドカップ日本人初得点者)。国際Aマッチ53試合21得点、J1リーグ355試合157得点。Jリーグ最多得点保持者。


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