日本の子どもたちよ、負けず嫌いであれ!」 

──フィジカル面の能力は練習や実戦で身についていくのだと思いますが、中山さんのような精神的な強さは、どうやって鍛えていけるものなんですか? 

中山 日本代表にまで上りつめた選手はとにかく負けず嫌い。負けず嫌いだから、そこまでいけたんだと思います。そういう精神の強さをつくるのは、基本的には日々の生活だと思うのですが、コーチの働きかけも大切です。
 そう考えると、最近気になる事がありました。僕がフットサルのイベントに参加した時のことです。フットサルと言ったって、プレーする相手が小学生だったので、難しいことはないわけですよ。僕は思いっきりシュートを撃ちまくって、ゴールを決めまくった(笑)。で、「お前ら、ほら、来いよー!」と挑発していたら、ある男の子が「手を抜いてよ! 僕らに勝ってうれしいの!?」って言ってきたんです。それに対して僕が「俺は嬉しいよ! 負けたら悔しいだろ。負けてもいいのか?」と答えたら、「負けてもいいよ・・・・・・」と・・・・・・(笑)。僕は思わず「そんなんじゃダメだろ! 負けていいなんてことはねえんだ!」って怒鳴ってしまいました。子どもとはいえ、甘いなあと思ったんです。

 サッカーは勝つことだけが大事なのではないけれど、そのくらいの年齢から勝つことにこだわっていなかったら、これからどんなシチュエーションであってもポジティブに向かえないわけですよ。「負けてもいいや、次もあるし」という気持ちでは、自分の成長の妨げになる。いまの子どもは勝つことよりも、自分のプレーにこだわる子が多いような気がするんです。でも、そのプレーは勝つためのものだろうと思うんですね。そういう負けず嫌いの気持ちと、その気持ちに裏打ちされた努力を育成年代から続けて大人になって、技術面、戦術理解面、フィジカル面で他の人と比較されてふるい落とされて選抜されていく。そのような過程だからこそ、代表に選ばれ、その頂点に立ったときには相当強い「個」ができあがっているはずなんです。

 代表まで上りつめた後世界と対等に戦えるかどうかは、人種としての身体の特徴やサッカーをする環境、国の文化が影響することもあるとは思いますが、日本人特有の勤勉さや持久力、俊敏性を取り入れれば、十分対抗できると信じています。そのような先のことを見据えて子どもたちのメンタルも強化していかなければいけないと思う。とにかく子どもには負けず嫌いであってほしいんですよ。

Coca-Cola Journey独占インタビュー
中山雅史が占う
2014 FIFAワールドカップブラジル大会

──中山さんの勝ちにこだわる姿勢は、身につまされます。 

中山 勝ちにこだわらなかったらダメでしょう。僕はお正月に娘と『UNO』をやって、ルールで揉めたくらいですから(笑)。『UNO』って、細かなローカルルールがあるじゃないですか。そのことで娘と対立したら、娘が泣いちゃった・・・・・・! オフィシャルのルールブックがあるとはいえ、結局はジャンケンで娘と僕、どちらが望むローカルルールを適用するか決めて、僕が勝った(笑)。しかも、大人げなく自分のルールにこだわっておきながら、最終的には勝負に負けたんですけどね・・・・・・。でも、勝負だったら小さなことでも悔しくて泣けるくらいじゃないとダメだと思って、こだわりましたよ!(笑)。こうなると、こだわりじゃなくてただのガキですね(笑)。

Coca-Cola Journey独占インタビュー
中山雅史が占う
2014 FIFAワールドカップブラジル大会

◆ プロフィール
なかやま・まさし/1967年静岡県生まれ。藤枝東高、筑波大を経て、90年にヤマハ発動機入社。94Jリーグ加盟後から2009年までジュビロ磐田でMVP1度、得点王を2度、ベストイレブンを4度受賞する。10年コンサドーレ札幌へ移籍。12年に第一線から退くと発表。日本代表としても19982002年ワールドカップに出場(ワールドカップ日本人初得点者)。国際Aマッチ53試合21得点、J1リーグ355試合157得点。Jリーグ最多得点保持者。

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