コカ・コーラ ノースアメリカ サンディー・ダグラス社長
(写真クレジット:エイミー・スパークス

文=ジェイ・モイエ

 

コカ・コーラ社の北米ビジネスはなぜ成功しているのか?

2016年11月15日、北米で事業展開しているコカ・コーラ ノースアメリカサンディー・ダグラス社長が、モルガンスタンレー主催の投資家向けカンファレンスでプレゼンを行いました。

コカ・コーラ ノースアメリカは近年、中核事業である炭酸飲料事業の事業戦略を見直し、売り上げと収益性を重視する方針に転換。同時に、市場における健康志向の高まりや消費者の嗜好の多様化を受け、ミネラルウォーターやコーヒーなど非炭酸飲料のラインナップを拡充してきました。このような取り組みが功を奏し、売上高成長率は米国の大手小売企業の平均成長率を継続的に上回っており、清涼飲料市場におけるシェアも26四半期連続で維持拡大しています。

事業の成功要因について、ダグラス社長は次のように述べています。

「当社は目まぐるしく変化する外部環境に適応しつつ、事業を進化させたのと同時に、消費者の嗜好の変遷にもきめ細かく対応してきました。新たなビジネスモデル、事業プランを立案し、それを確実に実行に移していくことで、数年連続で業界トップクラスの成長率を達成してきたのです」

それでは、ダグラス社長のプレゼンから見えてきた北米事業の成功のポイントをさらに7つほどご紹介していきます(以下、カッコ内はダグラス社長のコメント)。

コカ・コーラ ノースアメリカを大躍進させた社長の経営手腕を明らかにする

 

ポイントその1:経営の合理化

米国における「コカ・コーラ」の製造・販売体系(コカ・コーラ システム)は、原液の供給や製品の企画開発などを行うコカ・コーラ ノースアメリカと同社所有の製造施設、そして、フランチャイズ契約を結んだ上で製品の製造販売を行う各地のボトラー社や関連会社などによって構成されています。

現在、コカ・コーラ ノースアメリカが保有する製造施設を各地のボトラー社に譲渡する動き(リフランチャイズ)が進んでおり、17年末までに完了する見通しです。ボトラー各社は、コカ・コーラ システムの最新のIT環境と顧客管理システム、流通ネットワークを活用して経営の合理化を図る一方、地域に密着した企業の強みを生かして、さらなる「コカ・コーラ」ブランドの強化に取り組んでいくことになります。

「リフランチャイズから12ヵ月以上経過しているエリアの業績は好調で、ボトラー各社の大半が、担当エリアで新たなビジネスを展開しています。リフランチャイズは、短期的な成長と長期的な成長を同時にもたらしていると言えるでしょう」

 

ポイントその2:顧客満足度の向上

ザ コカ・コーラ カンパニーは、調査会社のアドバンテージ社が大手小売各社に対して行った調査で初めて顧客満足度1位を獲得。また、カンター社による米国小売企業ランキングでも、2位につけています。

「当社の取引先である小売各社による高い評価は、私たちの事業が好調であることを裏付けるものです。それはすなわち、消費者満足にも直結するからです」

コカ・コーラ ノースアメリカを大躍進させた社長の経営手腕を明らかにする

 

ポイントその3:「販売数量」重視から「浸透度」重視への方針転換

北米事業の成長度合いを測る際に参考にしている指標は、全体の販売数量ではなく、事業全体の収益性、および、消費者や世帯ごとの「コカ・コーラ」製品の浸透度と購入頻度です。その理由について、ダグラス社長は次のように説明しています。

「私たちは、消費者の嗜好や購買行動に関するあらゆる側面を分析しました。そのうえで、効果的な戦略を立てるには、“人々の購買欲求をいかに刺激できたか”ということを事業の成否を判断する尺度とすべきだという考えに至ったのです。日常的に炭酸飲料を飲む消費者は、味はもちろんのこと、糖分の含有量のような細かい点まで、製品に対して要望を持っています。それらの要望に、いま、いかに応えられるかが問われているのです」

北米の炭酸飲料事業をけん引しているのが、コカ・コーラ社の小売売上高の15%を占める、ミニ缶をはじめとする比較的小型の製品です。

「私たちは、適切なサイズの製品を適切な価格で売ることを重視しています。もちろん、炭酸飲料という非常に重要な事業セグメントにおいて、単価の安い小型パッケージの製造・販売に注力することは、大きな賭けでもありましたが、消費者の嗜好に合わせることを優先したのです」

販売数量重視から収益性重視へのシフトは、ボトラー社とのフランチャイズ契約の変更点にも見て取ることができます。「これまでは、ボトラー社がコカ・コーラ社に支払う対価は、出荷する原液の量に応じて決められていました。新しい契約では、その金額はボトラー社の収益の一定割合と定められています。この変更によって、量ではなく収益を重視するコカ・コーラ システム全体の戦略との一貫性が保てるようになりました」とダグラス社長は説明します。

 

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