文=アシュリー・ヨスト

 

■世界中が大注目! “コワーキング”という働き方

IT技術の進歩やオフィス環境の多様化に伴い、オフィスワーカーの働き方にも変化が見られるようになりました。そのような中、最近注目を集めている働き方の一つが、異なるの会社に所属する人々や個人事業主などがスペースを共有して働く“コワーキング”というコンセプトです。

コワーキングを行うための場所はコワーキングスペースと呼ばれ、有料であることが一般的です(仕事とコワーキングスペースの関係は、運動とフィットネスジムの関係に似ていると言えるでしょう)。

コワーキングスペースは、1995年にドイツのベルリンに初めて登場し、その後加速度的に世界中に広がっています。その実態を探るため、私たちは、いくつかのコワーキングスペースを訪ねてみました。

 

■卓球台にテレビゲーム……遊び心満載のオフィス

最初に話を聞いたジェリー・スラツキーは、モクシー・スポーツというIT企業のCEO兼共同創業者です。モクシー・スポーツは、アトランタ・テック・ビレッジ(ATV)という5階建てのビル内にある、IT系のベンチャー企業向けのオフィススペースを間借りしています。ATVと一般的なオフィスビルの最大の違いは、その共用スペースにあります。共用スペースには、入居している他の企業との交流や協業を促す仕掛けがふんだんに施されているのです。

動画:コワーキングスペースATVとRoam(ローム)の紹介
※英語のみ

ATVのロビーには、ソファー、卓球台、テーブルサッカー台、テレビゲームができる大型テレビ2台、ビールサーバー2台、そしてお菓子や清涼飲料がたくさん並べられているキッチンまで備え付けられた、広い休憩エリアがあります。

“遊び”の要素がたくさん詰まった休憩エリアがあると、仕事に対する集中力が削がれたりしないのでしょうか? そんな疑問がわいてくるのも当然のことかと思います。ただしスラツキーは、そんなことはないと主張します。「むしろ仕事の生産性が上がるんです。ちょっと仕事を抜け出せる時間があるなら、卓球でも何でも楽しめばいいんですよ! 誰だって一定の気分転換の時間が必要ですから」と彼は言います。

現代では、仕事でPC画面を長時間見続けることは当たり前になっていますが、長時間仕事を継続するよりも、短い休憩を取りながら仕事をする方が生産効果が上がるという傾向を示した研究結果もあります。ある調査によると、10分ごとに15秒の休憩を取るだけでも、疲労は50%も軽減されるのだそうです。

最先端のオフィス環境を利用することの7つのメリット。「コワーキングスペース」で働くということ

 

■仕事場に必要なのは、向上心に満ちた空気

別のコワーキングスペースRoam(ローム)は、IT企業に限らず、あらゆる業種に関わる人がともに働くためのオフィス環境を提供しています。利用者は在宅ワーカー、大企業の社員、個人事業主など多岐にわたります。

RoamのCEOを務めるペイトン・デイは、自分のiPhoneを見せながらこう言います。「こいつが1台あれば、どこにいても仕事ができるんですよ」。

ここでまた、疑問がわきます。どこにいても仕事ができるのなら、お金を払ってRoamを利用する意味はどこにあるのでしょう? Roamを利用している起業家のクリフ・オックスフォードは、その答えは「建物に満ちるエネルギー」にあると語ります。「ここの空気は、成功の予感にあふれています。ここで働く人たちの活力や上昇志向が、良い刺激になるんです。自分もその雰囲気をつくり出す人員の一人になれるのは楽しいですね」と彼は言います。

最先端のオフィス環境を利用することの7つのメリット。「コワーキングスペース」で働くということ

Roamは現在4ヵ所でコワーキングスペースを運営しており、今後も数を増やしていく計画です。利用者は広い共有スペースの他に、小さめの会議室を予約して使うこともでき、どこか1ヵ所で会員登録しさえすれば、すべてのロケーションを利用することができます。

Roamを創業したのは、5人の元IBM社員です。コスト削減のために在宅勤務を命じられた彼らは、自宅や近所のカフェが仕事をするのに理想的な環境ではないことにすぐに気づきました。「業務をやり遂げたり、会議で成果を出すことを後押しする雰囲気がそこにはありません。Roamは、会社から離れて身軽に働きたいけど、同時にコミュニティーの一員でもありたいというユーザーのニーズに応えるためにつくられた場所なんです」とデイは説明します。

最先端のオフィス環境を利用することの7つのメリット。「コワーキングスペース」で働くということ

 

■こんなにある! コワーキングスペースの7つのメリット

最後に、利用者の声から見えてきたコワーキングスペースを利用することのメリットをまとめてみました。

[その1] 罪悪感と無縁に
喫茶店やカフェで仕事をする場合、飲食物を買う必要がありますし、長時間作業しづらい雰囲気もありますよね? コワーキングスペースでは飲食物を買わなくても、何時間でもスペースを利用することができます。もちろんWi-Fiも使い放題です。

[その2] 顧客開拓のチャンス
コワーキングスペースには、さまざまな業種の人が集まってきます。隣に座っている人と互いにサービスを提供しあう関係になれるかもしれません。

[その3] ビジネスのための環境
仕事に集中するための空間に身を置くことで、仕事の生産性を高めることができます。

[その4] 人脈づくりの舞台
ビジネスの世界では、「何を知っているか」以上に「誰を知っているか」ということがものを言います。未来の投資家、相談役、ビジネスパートナーが同じ空間で働いているかもしれません。さまざまな業種の人に囲まれることは、豊かな人脈づくりの一助となるでしょう。

[その5] 信頼度の向上
社外の人とミーティングを設定するなら、カフェや自宅のテーブルよりも、設備の整ったコワーキングスペースの会議室にした方が、「信頼できるビジネスパーソン」というイメージを持たれることは間違いありません。

[その6] 豊富な学びの機会
多くのコワーキングスペースでは、各分野の専門家を招聘したセミナーなどが開催されています。気軽に仕事のスキルアップに役立てることができます。

[その7] オフィス費用の削減
一般的に、デスクを固定しないコワーキングスペースを利用するのにかかる費用は、自社でオフィスを借りる場合の半分以下で済みます。