エンカンタド市にて
(写真提供:アンドレ・ルイズ・メッロ / 2016年 リオデジャネイロオリンピック



文=コカ・コーラ ジャーニー編集部


■ギリシャで灯された神聖な炎

オリンピックの聖火は、オリンピック競技大会の象徴とも言えるもの。その起源は、古代ギリシャ時代に遡ります。ギリシャ神話では、プロメテウスという神がゼウスから天界の火を盗み出したことにより、人類は火を使うようになったとされています。そのため火は神聖なものと考えられ、神々を崇める祭典であった古代オリンピック(19世紀末に始まった『近代オリンピック』に対して、『古代オリンピック』と呼ばれます)の期間中、開催地のオリンピアで灯され続けました。古代オリンピックは紀元前776年に第1回が開催され、その後393年までの約1,200年間、4年に1度開催されていました。 

フォス・ド・イグアスの仏教寺院にて
(写真提供:アンドレ・モウラン/2016年 リオデジャネイロオリンピック


古代オリンピックの場合、その開催前には使者がギリシャ全土を巡り、大会が近づいていることを人々に知らせていました。また、戦争の絶えない時代でしたが、オリンピックの開催期間は聖なる休戦期間とされました。選手や観客の大会参加の安全を確保するために戦争が中断されるほど、オリンピックは古代ギリシャ社会の重要な祭典だったのです。 

やがて、ローマがギリシャ全土を征服したことなどから古代オリンピックは終焉を迎えましたが、1896年にアテネで近代オリンピックとしてよみがえりました。オリンピックの聖火が正式に(再)導入されたのは1928年 アムステルダムオリンピックで、それ以来大会になくてはならない存在となっています。

なお、初めて聖火リレーが導入された大会は、1936年 ベルリンオリンピックでした。このとき聖火は、ギリシャのオリンピアで採火され、7つの国を経由してドイツの首都ベルリンに到達しました。


■ブラジルの魅力が凝縮されたオリンピック・トーチ

オリンピック・トーチ(聖火リレーで使われるトーチ。以下オリンピック・トーチ)の設計は、オリンピック開催国の組織委員会に指名されたデザイナーが担当します。毎回、その独創的なデザインが注目を集めますが、すべてのオリンピック・トーチに共通しているのは、オリンピックの精神を開催国にもたらすという崇高な使命があるという点です。

2016年リオデジャネイロオリンピックオリンピック・トーチの設計を手掛けたのは、チェレス&ハヤシというサンパウロのデザイン事務所です。76の候補の中から選ばれたオリンピック・トーチは、再生アルミニウムによってつくられており、「躍動感」「革新性」「ブラジルの香り」、そして、「オリンピックの聖火とブラジル国民の出会い」がデザインなどによって表現されています。火が灯されていない状態のトーチは真っ白な外観ですが、火を灯すときにはトーチの上半分のカバーが開いて伸び、その内側から太陽の黄色、山の緑、海の青というブラジルの自然を象徴する3つの色が現れるようになっています。 

聖火を灯した予備用ランタン
(写真提供:アンドレ・ルイズ・メッロ/2016年 リオデジャネイロオリンピック


5月3日にブラジルの首都ブラジリアに到着、聖火リレーでブラジル国内の329都市を巡ったオリンピックの聖火は、8月5日に行われた開会式でマラカナンスタジアムの聖火台に灯されました。