2017年10月26日にリニューアルされた
ピカデリーサーカスの「コカ・コーラ」広告ディスプレイ

ロンドン中心部の繁華街ピカデリーサーカスに、初めて「コカ・コーラ」の大型広告が掲げられたのは1954年のこと。それから63年の時を経た2017年10月26日、生まれ変わった広告ディスプレイがお披露目になりました。今回は、「コカ・コーラ」の広告戦略を考える上で欠かせない存在であり続けてきたピカデリーサーカスの広告看板の歴史と、最新ディスプレイの驚きの性能をご紹介したいと思います。

文=ジャスティン・フレッチャー

 

■ピカデリーサーカスの広告は比類なきブランドの証

20世紀初頭、ピカデリーサーカスに地下鉄駅が開業すると、日々大勢の人が訪れる、ロンドン随一の繁華街になりました。それ以来、一流のブランドがこぞって広告を掲げる、世界有数の広告スポットでもあり続けています。そこに初めて登場した「コカ・コーラ」の広告看板は、約13メートル四方の金属板の上に総延長1.6キロメートル近くものネオン管が張り巡らされた、重さ20トンを超える巨大なネオンサインでした(このネオンサインについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています)。

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ピカデリーサーカスに掲げられた最初の「コカ・コーラ」広告看板

ピカデリーサーカスのネオンサインは、設置から5年後に早くも存亡の危機を迎えます。「コカ・コーラ」の輸出部門にあたるエクスポート・コーポレーションの役員が、ネオンサインの維持費の高さを指摘し、高い維持費に見合うだけの広告効果が得られているのかどうか疑問の声を投げかけたのです。ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)の広告担当役員を務めていたデロニー・スレッジは、ネオンサインを撤去するべきか意見を求められたとき、その存在意義を次のように訴えました。

「いかなる仮説を検証しても、ピカデリーサーカスのネオンサインを撤去するという解には至りません。これまで世界中で築かれてきた『コカ・コーラ』ブランドの価値を、このネオンサインがさらに比類なきものへと高めていると、私は確信しています。これこそ、競合他社が容易には太刀打ちできない、われわれの強さの証といえるでしょう。当然コストはかかりますが、それだけの価値はあるのです。『コカ・コーラ』をお客様に提供するわれわれが、ありきたりのことをありきたりの方法でやるだけで満足しているとするならば、『コカ・コーラ』はありきたりの製品と見なされても仕方ないでしょう」

こうして、コカ・コーラ社はネオンサインを維持する道を選びました。

時は流れ、今では「コカ・コーラ」は、ピカデリーサーカスで最も長期にわたって広告を掲出し続けるブランドとなっています。広告看板は時代に合わせて進化し、1998年には他社に先駆けてデジタル化を敢行。近年ではLEDディスプレイを活用した多彩な映像表現で、通行人の目を楽しませてきました。

 

■ピカデリーサーカスが消灯するとき

昼夜を問わず人通りの絶えないピカデリーサーカスで、過去、「コカ・コーラ」広告看板の明かりが消えたのは、数度しかありません。1965年、第二次世界大戦時(2度)、英国首相を務めた大物政治家のウィンストン・チャーチルが亡くなったとき。そして1997年、チャールズ皇太子の最初の妃で、「人々のプリンセス」として国民に愛されたウェールズ公妃ダイアナが亡くなったときです。すべては英国全体が哀しみに包まれた日で、首都ロンドンを代表する繁華街も明かりを消して、喪に服したのでした。

また、コカ・コーラ社は、世界自然保護基金(WWF)の国際的なキャンペーン「アース・アワー」に参加しています。「アース・アワー」とは、地球温暖化防止を訴えるため、3月の最終土曜日の1時間、キャンペーンに参加する企業や施設、団体が一斉に電気を消灯して「節電」するというイベントです。毎年この日は、世界中の観光名所と共に、ピカデリーサーカスの広告看板も消灯しています。

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1950年代のピカデリーサーカスの様子

 

■281兆色を表現できる超高画質の最新ディスプレイ

そして、2017年。ピカデリーサーカスの広告看板の照明は、9ヵ月という史上最も長い期間、消されたままになりました。幸い、それは不幸な出来事によるものではなく、広告の未来を先取りするべく、ディスプレイ設備を全面的にリニューアルするための消灯でした。

2017年10月26日、ついに新しい広告ディスプレイがお披露目されました。優美なカーブを描くそのディスプレイは、11,858,400ピクセルで281兆色まで表現できる4K画質の超巨大スクリーン。ほかでは見られないような、高度な映像表現が可能になっています。

ピカデリーサーカスに最初の「コカ・コーラ」広告看板が登場してから、60年以上の年月が流れました。時代が変わっても、その“ありきたり”とは無縁の存在感が色褪せることはありません。常に傑出した存在であり続けるために進化を続けるその姿に、これからもぜひ注目してください。