日本全国で事業展開をするコカ・コーラ社と
全国各地の地域社会のさまざまなつながりを描いていく
シリーズ企画「POWER OF COMMUNITY」。
第3回目は、国の天然記念物であり絶滅危惧種でもあるヤンバルクイナの生態調査と
コカ・コーラ社の知られざる関係について描いていきます。

文=大山貴弘
写真=松本昇大


コカ・コーラ社が動物保護活動支援をする理由
 ヤンバルクイナとコカ・コーラ。
接点などなさそうな両者が、沖縄県北部の山原(やんばる)地域で仲良く手を取り合っている。国の天然記念物であり絶滅危惧種でもあるヤンバルクイナの生態を、コカ・コーラ社の自動販売機を使って調べているというのである。
 そんなユニークな生態調査を、いったいなぜ、コカ・コーラ社が? 実際どのような調査を? 誰もが抱く疑問であろう。

「ヤンバルクイナは自然の水がないと生きていけません。つまり、ヤンバルクイナの保護活動に協力することは、豊かな水源を保護することと同意です。清涼飲料水の製造販売を担う私たちコカ・コーラシステムは、各地域に豊かな水源が維持されていない限り企業活動を続けてはいけません。ヤンバルクイナの保護に協力するということは、水源保護にもつながるという意味で地域社会への貢献にもなるし、私たちコカ・コーラシステムのためにもなる。みながハッピーというわけなのです」
(沖縄コカ・コーラボトリング 総務人事部 CSR推進課 課題専門職 嘉手苅修氏)

POWER OF COMMUNITY
わたしたちの地域とコカ・コーラの「未来志向」な関係
第3回 日本初、ヤンバルクイナの命を守る自動販売機

POWER OF COMMUNITY
わたしたちの地域とコカ・コーラの「未来志向」な関係
第3回 日本初、ヤンバルクイナの命を守る自動販売機

ヤンバルクイナの生息地の近くにレコーダーとマイクを搭載した自動販売機を設置、

昼夜ヤンバルクイナの鳴き声を収録している。


 このプロジェクトは「絶滅危惧種ヤンバルクイナ生態調査」と言い、日本コカ・コーラ沖縄コカ・コーラボトリングが、NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄(以下、どうぶつたちの病院 沖縄)と協働で、2010年5月から実施している。ヤンバルクイナの生息地に程近い場所にあるコカ・コーラの自動販売機3台にICレコーダーを設置し、730日以上にわたりヤンバルクイナの声を録音し、鳴き方や季節変化などからその生態を調査・解明し、ヤンバルクイナの保護に役立てようとしているのである。

日本で唯一の“飛べない鳥”を救え
 このユニークな調査が行われることになったのには背景がある。同調査から遡ること4年前、沖縄コカ・コーラボトリングは、2006年からやんばるの水源地域での植樹・育樹活動を、行政、企業、地域ボランティアと共に実施していた。同年、最も絶滅のおそれの高い「絶滅危惧IA類」としてヤンバルクイナが環境省のレッドリストに記載されると、ヤンバルクイナの保護活動支援を目的に自動販売機の売り上げの一部をどうぶつたちの病院 沖縄に寄付する活動も開始。「やんばるの森からヤンバルクイナが減っていくのを、このまま黙って見ているわけにはいかない」という熱い思いを、どうぶつたちの病院 沖縄の金城道男 副理事長と沖縄コカ・コーラボトリングは共有し、ヤンバルクイナの保護を続けていたのだ。

POWER OF COMMUNITY
わたしたちの地域とコカ・コーラの「未来志向」な関係
第3回 日本初、ヤンバルクイナの命を守る自動販売機

絶滅危惧種のヤンバルクイナ。


POWER OF COMMUNITY
わたしたちの地域とコカ・コーラの「未来志向」な関係
第3回 日本初、ヤンバルクイナの命を守る自動販売機

「動物たちの病院 沖縄」では、

交通事故などで負傷したヤンバルクイナの救護活動が行われている。


POWER OF COMMUNITY
わたしたちの地域とコカ・コーラの「未来志向」な関係
第3回 日本初、ヤンバルクイナの命を守る自動販売機

「動物たちの病院 沖縄」副理事長の金城道男さん。


 1981年の発見当時、やんばる地域全域におよそ2000羽いたとされるヤンバルクイナ。が、2000年頃にはその半数にまで激減したと見られている。ヤンバルクイナが激減した原因は、その天敵であるマングースや野良犬、野良猫などの外来種の存在だった。
 どうぶつたちの病院 沖縄は、NPOとしてマングースを直接駆除する活動を行ってはいないが、防除事業の委員会に委員として参画、ペット由来の動物などの外来種を駆除または排除する活動を地道に続けてきた。その結果、ヤンバルクイナの生息地は少しずつ回復してきた。

「ヤンバルクイナの生息地は少しずつ戻りつつあります。しかし、マングースや野良猫は、何も対策をしなければどんどん増えていきますので、外来種の駆除または排除は続けていく必要があります。同時に、ペット由来の肉食動物がこれ以上増えないよう、沖縄全域での普及啓発活動を行っていきます。こうした活動を支援してもらえるのは、我々としてもとてもありがたいことです」(金城さん)

 やんばるの森に天敵となる肉食動物がいなかったために、日本で唯一の“飛べない鳥”として進化してきたヤンバルクイナ。生存をおびやかす天敵を駆除し続けてきたことで、絶滅の危機は回避されつつある。だが、これから再びヤンバルクイナが以前のような賑わいを取り戻していくには、生息環境の改善が欠かせない。そのためにはこれまで不明な点が多かったヤンバルクイナの生態を明らかにしなければならない。よって、日本コカ・コーラ沖縄コカ・コーラボトリング、どうぶつたちの病院 沖縄による「絶滅危惧種ヤンバルクイナ生態調査」プロジェクトが発足。2010年、コカ・コーラの自動販売機を使った生態調査がスタートしたわけである。


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