歴史ある木造校舎を守れ

 もう一つは、雨煙別小学校を巡る物語である。

 現在、環境ハウスとして整備されている雨煙別小学校は、明治時代の1899年に雨煙別尋常小学校として開校し、1936年に、当時としては道内屈指のモダンな建物であった現在の木造2階建ての校舎が完成している。

 しかし栗山町も、日本中の自治体に押し寄せている少子化の波と無縁というわけにはいかなかった。創立以来98年の間に3,082人の卒業生を世に送り出した雨煙別小学校は、1998年、児童数の減少を理由に閉校されることになったのである。

 雨煙別小学校の閉校に対する町民の思いは、複雑だった。環境ハウスの整備にたずさわった、栗山町経営企画課地域政策グループ主事の出南力さんが言う。

 「雨煙別小学校の校舎は、道内に残る2階建て木造校舎としては最も古いものの一つでしたから、なんとか保存して有効活用したいという声が多くありました。ところが活用方法の提案はあっても、町の財政が最も逼迫している時代だったこともあり、改修費用や運営費の議論になると話がまったく前に進まなかったのです」

POWER OF COMMUNITY
わたしたちの地域とコカ・コーラの「未来志向」な関係
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 校舎は残したいが、費用の手当てはできない。町民と行政がこの二律背反の中で煩悶する間にも、校舎の荒廃は進んでいった。ついには台風の被害を受けてトタンの屋根が飛んでしまい、閉校から10年目にして栗山町は校舎の解体か維持かの最終判断を迫られることになった。当初、校舎の保存を望んでいた卒業生の間からも、「これ以上母校の無残な姿は見たくない」という声が強くなっていった。



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