2月24日(金)から一部の企業で導入される「プレミアムフライデー」。
メディアなどで採り上げられる機会が増えていますが、
「いったいどんな取り組みなの?」と思っている人はまだまだ多いはず。
いったいプレミアムフライデーとは何なのでしょうか?
そして、プレミアムフライデーは、私たちの生活にどんなメリットをもたらす可能性があるのでしょうか?
『Coca-Cola Journey』が、その基礎知識をまるっと解説します。

文=香川誠

 

■「プレミアムフライデー」ってそもそも何?

プレミアムフライデーとは、日本で働くビジネスパーソンの月末金曜日の退社時間を早めることで、いつもよりもちょっと豊かな週末を楽しんでもらおうというプロジェクト。経済産業省や経済界が連携した、いわば官民共同のプロジェクトとして進められています。昨年6月に閣議決定された政府の成長戦略「日本再興戦略2016」で示された「官民戦略プロジェクト10」の一環として実現した取り組みで、初回の実施日は2017年2月24日(金)に設定されています。

プレミアムフライデーで推奨される退社時刻は、午後3時。金曜日の退社を早めれば普段の週末(土・日)よりも自由時間が少し長くなることから、買い物に出かけたり、旅行に出かけたり、習いごとをしたりする人々が増えていくことを国は期待しています。そうなんです、プレミアムフライデーには、消費マインドを喚起し、「働きすぎ」といわれる日本人のライフスタイルに変革を起こそうという意図があるのです。

 

■賛同企業は1,000社超。あなたの会社は?

ビジネスパーソンにとっての一番の関心事は、「自分の会社でプレミアムフラデーが実施されるかどうか」でしょう。それは、世間が盛り上がれば盛り上がるほど尚更のことかと思います。

ただし、このプレミアムフライデーは、制度ではなくあくまで取り組みなので、特に法的強制力はありません。また、今回が初回ということもあり、今のところ実施する企業は限られているようではあります。

それでも、プレミアムフライデーのロゴマーク使用を申請している企業・団体は1,035件にのぼります(2017年1月末時点)。そしてプレミアムフライデーは、一度きりの取り組みではなく、今後も続いていくプロジェクトです。対象地域や業種を問わずに導入を呼びかけているため、それが徐々に浸透すれば実施企業が増えていくものと思われます。

実際には、次のような企業がプレミアムフライデーを実施することを公表しています。PR会社のサニーサイドアップは、初回となる2月24日に非正規雇用社員を含む全メンバーに「プレミアムフライデー支援金」として3,200円を支給するそうです。住宅総合メーカーの大和ハウス工業は、思い切って、3時退社どころではなく、なんと午後半休にしてしまいました。他にも総合商社の住友商事、電気事業会社の日本テクノなどが導入を公表しています。月末ごとに話題になれば、今は様子見をしている企業も「うちも導入しようかな」と考え始めるかもしれません。

 

■旅行、飲食、学習体験……お客を待つ側も頭をひねる

いっぽう、世間にプレミアムフライデーが受け入れられたとしても、うかうか休んではいられないのがお客を待つ側。仕事を早く切り上げた人たちに財布の紐を緩めてもらうべく、さまざまな業界でユニークな企画が考えられているようです。特に小売業界や飲食業界、旅行業界ではプレミアムフライデーへの期待も大きく、月末金曜日が新たな書き入れ時になりそうです。

たとえば日本百貨店協会は、百貨店のレストランフロアを食べ歩き、飲み歩きしてもらう「週末めぐらナイト」と題した企画を実施予定。グルメ好きの仲間たちとレストランめぐりを楽しむにはうってつけです。

旅行業界は、新たに生まれる「1.5日旅(金~土)」「2.5日旅(金~日)」の需要の開拓を始めています。日本航空星野リゾートは、北海道・トマムのリゾート施設に滞在する20歳代向けの特別プランを用意。ANAセールスは最大1万円のプレミアムクーポン券を配布しています。

金曜日は仕事を早く切り上げて、都心のホテルでリッチに過ごすという需要もあるかもしれません。その需要を狙って、ウェスティンホテル東京では、3ヵ月先まで予約が一杯というデザートブッフェ付きの宿泊プランが用意されています。また、プリンスホテルは高輪エリアにある3つのホテルで、男性向け、女性向け、性別不問の“アフター3”プランをそれぞれ用意しているそうです。

もちろん、趣味や学びの時間にあてるという選択肢もあるでしょう。モスフードサービスは紅茶専門店「マザーリーフ東銀座店」で「プレミアム紅茶セミナー」を開催。高島屋は東京の新宿店で「メークアップ講座」を開きます。

あなたの働き方を変える“知らなきゃ損する”キーワード。「プレミアムフライデー」の基礎知識。

 

■モデルになったのは「ブラックフライデー」

プレミアムフライデーを導入するにあたり、参考にされたのが米国の「ブラックフライデー」です。名前だけ聞くと不穏な空気を感じますが、ここでのブラックは、「黒字になる」というポジティヴな意味。米国では毎年、「感謝祭」(11月第4木曜日)の翌日の金曜日に小売店で大幅なセールを行うことが定着しており、この日をもって年末商戦の始まりとされます。例年小売店には客が殺到し、どのお店も儲かる=黒字になることにちなんでブラックフライデーと呼ばれているのです。

昨年は日本でも、イオンユニートイザらスノジマなどの小売店がブラックフライデーを採り入れました。ちなみに2017年のブラックフライデーは11月24日。プレミアムフライデーも同日になります。働き方やワークライフバランスに関する取り組みという側面もある日本のプレミアムフライデーは、単なる安売りイベントではないわけですが、今年の11月は二つのイベントが重なることで、さらなる盛り上がりを見せそうです。

 

■他の国にはプレミアムフライデーがない?

実は日本のプレミアムフライデーのような取り組みは、海外でもあまり例がありません。でも、それは「日本が進んでいるから」というより、むしろ「他の国では必要がないから」と言ったほうがいいのかもしれません。

労働政策研究・研修機構の『データブック国際労働比較2016』によれば、週49時間以上働く日本の長時間労働者の割合は21.3%で、16.6%のアメリカ、10%前後にとどまるEU諸国に比べて高い割合になっています。また世界最大級の旅行予約サイト「エクスペディア」が実施した調査によれば、日本人の有給休暇消化率は最下位の50%。「有休は全部使うのが当たり前」という国が多い中で、私たちはどうも遠慮しすぎなようです。

今回プレミアムフライデーが始まるといっても、「サービス業だから自分は月末金曜日も休めないよ」という人も大勢いるかと思います。それを考えると、この取り組みの最終的なゴールは、曜日を気にしなくても自分のライフスタイルに合わせて、働き方を柔軟に変えられる「プレミアムエブリデー」が実現することなのかもしれません。今後、日本の労働環境と日本で働くビジネスパーソンたちのライフスタイルがどのように変わっていくのか、『Coca-Cola Journey』は注目していきます。

 

参考:
プレミアムフライデー推進協議会事務局ホームページ
経済産業省プレスリリース(2016年12月12日)
経済産業省ホームページ 60秒解説「プレミアムフライデー:月末の金曜は、ちょっと豊かに」(2017年1月10日)
独立行政法人労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較2016』
独立行政法人労働政策研究・研修機構『日本労働研究雑誌2008年6月号』「日本の長時間労働-国際比較と研究課題」小倉一哉
エクスペディア「世界26ヶ国 有給休暇・国際比較調査2016」