テープを引き抜くと、一瞬のうちにラベルがリボンに早変わり──。
遊び心あふれる仕掛けで、発売直後から大きな反響を呼んでいる
コカ・コーラ」と「コカ・コーラ ゼロ」の“リボンボトル”。
いつもの「コカ・コーラ」をスペシャルなギフトに変える、
大胆でユニークな発想は、どのようにして生まれたのか?
前篇に引き続き、日本コカ・コーラ株式会社
西村香里さん、松岡建之さん、村田昌美さんの3名に、
“リボンボトル”発売に至るまでのプロジェクトの舞台裏を伺いました。

(前篇はこちら)

文=庄司里紗
写真=村上悦子

 

■課題山積みの中での船出……

すべては“前例のない挑戦”から始まった。日本初上陸「コカ・コーラ」リボンボトル誕生までの道のり [後篇]

11月7日に発売された「コカ・コーラ」と「コカ・コーラ ゼロ」の“リボンボトル”

──ラベリングテストには成功したものの、その後さまざまな課題に直面したそうですね。日本版“リボンボトル”の実現までには、具体的にどのようなハードルがあったのでしょうか?

西村 “リボンボトル”の対象となる「コカ・コーラ」「コカ・コーラ ゼロ」の500ml PETは、特に生産量が多い製品で、全国の工場で製造されています。つまり“リボンボトル”の全国展開は、全ボトラー社と合意して、協働しながら進めることが必要でした。

──初めに“リボンボトル”の提案をした際の、ボトラー各社の反応はいかがでしたか?

西村 このアイディアは面白い! 絶対に売れるに違いない! というポジティブなフィードバックもある一方、実際に製造することを想定すると、「海外製ラベルの品質は大丈夫なのか?」「販促効果が本当にあるのか?」といった不安の声も数多くありました。

すべては“前例のない挑戦”から始まった。日本初上陸「コカ・コーラ」リボンボトル誕生までの道のり [後篇]

松岡 ボトラー社は、コカ・コーラ社製品を高い品質で、市場に安定供給することに強い使命感を持って、日々業務に取り組んでいる。会社名を背負う主要製品に対してはなおさら、強い思いで取り組んでいます。

西村 そのため、このプロジェクトを進めるにあたって、ヨーロッパのキャンペーンの販売実績データを示したり、日本の消費者への調査を実施したりして、ボトラー社との協議を続けました。

村田 ラベルの品質に対する考え方に関しても、基本的に、海外では定められた基準を満たしていれば問題ないのですが、日本ではさらに高い品質基準が求められます。品質基準に対する共通の認識を持つことを目指し、かつ、ラベルメーカーとの契約内容も調達部門が念入りに確認し、かなり慎重に進めていきましたね。

すべては“前例のない挑戦”から始まった。日本初上陸「コカ・コーラ」リボンボトル誕生までの道のり [後篇]

マーケティング本部 西村香里さん(写真中央)
技術・サプライチェーン本部 村田昌美さん(写真左)、松岡建之さん(写真右)

──海外の工場に日本の高い品質基準を理解してもらうのは、非常に骨の折れる作業だったのではないですか?

村田 私自身が現地に赴いて説明をするだけでなく、ヨーロッパの開発チームとラベル工場のメンバーにも日本へ来てもらい、各地の工場を一緒に回りました。日本の品質管理の現場を実際に目にして、みなさん非常に感動していましたね。でも、おかげで私たちが「なぜここまで細かいところにこだわるのか」について、理解を得ることができました。

すべては“前例のない挑戦”から始まった。日本初上陸「コカ・コーラ」リボンボトル誕生までの道のり [後篇]

その様子には、ヨーロッパチームも感動したという、プロジェクト立ち上げ時に
何人もの作業員によって丁寧に行われる検品作業風景@札幌工場

松岡 村田さんがヨーロッパとの交渉をしっかり進めてくれたおかげで、最終的には、日本の高い品質基準に沿う、高品質のラベルが納品されたんですよ。あれは感動しましたね。

西村 ラベルのデザインも、日本独自のものをゼロからつくったんです。リボンにしたときにも美しい見え方をキープできるよう、バーコードや原材料表記がリボンの表面に出ないように工夫したり、限られたスペースの中で、誰もが理解できる「リボンの作り方」の図解に苦心したり。デザイン担当チームも試行錯誤を重ねて頑張ってくれました。

すべては“前例のない挑戦”から始まった。日本初上陸「コカ・コーラ」リボンボトル誕生までの道のり [後篇]

リボンラベルは、日本コカ・コーラ本社
クリスマスディスプレイにも用いられている

 

■「協力と熱意と心意気」が奏でた美しきハーモニー

──ラベリングの段階では、課題はありましたか?

松岡 少量テストではうまくいったはずなのに、実際に量産するための連続運転では、新たな課題も発生しました。

村田 各工場によってそれぞれ機械や設備が異なるため、ラベルを巻く際の最適な条件が異なっていたことが原因でした。機械の条件を変えながら、3、4回ずつテストを繰り返す。これを、全国を回りながらすべての工場でやりましたね。

すべては“前例のない挑戦”から始まった。日本初上陸「コカ・コーラ」リボンボトル誕生までの道のり [後篇]

店頭に並ぶまでははがれないように、
お客様の手元でははがしやすいように、のバランスの調整が大変だったそう

西村 そんな長い道のりを経たわけなので、キャンペーン当日に店頭に並んだ製品を見たとき、心から感動しましたね。

結果として、日本でのリボンラベルが、世界で最大の製造枚数となりました。また、導入に関しては、アジアパシフィックエリア初となりました。

松岡 すべてが初めての試みの連続で、しかもゴールがとてつもなく高いところに設定されているわけですから、当然プレッシャーもありました。このプロジェクトを成功させなければ、次の挑戦もできなくなってしまうのです。しかし、そんな前例のないイノベーティブなプロジェクトだったからこそ、やりがいを持って取り組めたと感じています。

村田 製造効率だけを重視する職場環境だったら、不可能だったかもしれません。チャレンジを後押しする企業文化のあるコカ・コーラ社だからこそ、実現したプロジェクトだったと思っています。

すべては“前例のない挑戦”から始まった。日本初上陸「コカ・コーラ」リボンボトル誕生までの道のり [後篇]

今回のプロジェクトに尽力した、ボトラー各社のスタッフたちと松岡さん(写真中央)

西村 今回の“リボンボトル”が実際に製品として完成するまでには、ボトラー各社のみなさんの協力がとても大きかったんです。全ボトラー社の製造・営業・販売の担当者とコカ・コーラシステム全体でプロジェクトを設定し、連携しながら準備を進めてきました。まさに、コカ・コーラシステムが一丸となって“リボンボトル”を消費者に届けることができたと実感しています。

村田 ボトラー社工場の担当者の中には「課題は多いですが、必要な本数は必ず市場に投入しますから安心してください。それが社としての判断です」と言ってくださった方もいて、すごく感動しましたね。

西村 特に製造関係者の方々の、製品を世に出すことにコミットする姿に、真のプロフェッショナルの心意気を感じました。彼らには、プロジェクト全体の背中を押してもらったと思っています。

松岡 ヨーロッパチームの協力とプロジェクトメンバーの熱意、そして実際に手を動かしてつくってくれるボトラー各社の努力の結晶で製造を行うことができ、また、できた製品の市場展開のために営業のみなさまに並々ならぬ尽力をいただいたことが、現在の反響の大きさにつながっていると思います。

すべては“前例のない挑戦”から始まった。日本初上陸「コカ・コーラ」リボンボトル誕生までの道のり [後篇]

──来年以降、“リボンボトル”の新たな展開についてのプランはあるのでしょうか?

松岡 現段階では未定ですが、今回のキャンペーンは世界のコカ・コーラ各社からも注目されています。ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)のムーター・ケント会長兼最高経営責任者(CEO)も日本の成功を喜んでくれて、「“リボンボトル”のサンプルを送ってほしい」という問い合わせが来たんですよ。

西村 「コカ・コーラ」ならではの素晴らしい体験を、ヨーロッパや日本だけでなく、世界中のお客様にももっと楽しんでもらいたい、という思いはありますね。今回のキャンペーンをきっかけに、“リボンボトル”がどんどん他の国にも広がっていったら嬉しいですね。

すべては“前例のない挑戦”から始まった。日本初上陸「コカ・コーラ」リボンボトル誕生までの道のり [後篇]

[写真左]むらた・まさみ /大手資材メーカー、外資系食品会社を経て、13年日本コカ・コーラ入社。技術・サプライチェーン本部にて「コカ・コーラ」「ジョージア」等のパッケージ開発を担当。

[写真中央]にしむら・かおり / 市場調査会社、広告代理店を経て、08年日本コカ・コーラ入社。マーケティング本部ビバレッジイノベーションにて女性向け機能性飲料、エナジーカテゴリーにてエナジードリンクブランド「burn」「リアルゴールド」を担当した後、マーケティング本部 炭酸カテゴリー コカ・コーラTMグループにて「コカ・コーラ」を担当。

[写真右]まつおか・けんし / 大手印刷会社を経て、02年日本コカ・コーラ入社。マーケティング本部、イノベーション本部、R&D、技術・サプライチェーン本部にて各種容器の容器開発を担当。「い・ろ・は・す」の容器開発も行った。現在、技術・サプライチェーン本部にてパッケージンググループを統括。

>> TVCM 『コカ・コーラ ウィンター リボンボトル』篇(30秒)

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