「スペシャルオリンピックス」という組織をご存知でしょうか?
これは、知的発達障害を持つ人たちを対象として、
各種スポーツのトレーニングプログラムや競技会を提供する国際的なスポーツ組織です。
オリンピックと同様、夏季・冬季の世界大会を4年毎に開催しています。

2015年7月25日から8月2日にかけて、
米国ロサンゼルスにて「2015年スペシャルオリンピックス夏季世界大会」が開催されました。
ここに掲載するのは、ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)夏季インターンのエリザベス・コンウェイによる
コスタリカ代表の水泳選手と彼女を応援する家族の姿を追いかけたレポート記事です。
文=エリザベス・コンウェイ


■才能が目覚めたのは9年前

ソテラ家のアドリアナエステバンは双子の兄妹です。彼らがまだ小さいころ、両親は二人の成長の度合いに差があることに気づきました。エステバンが新しいスキルを順調に身につけていく一方で、アドリアナは会話の習得が遅く、動作の発達や社会性の習得にも問題が見られました。後に知的発達障害と診断されたアドリアナは、年齢を重ねていく中で多くのハードルに直面することになりました。

現在22歳のアドリアナは、スペシャルオリンピックス水泳競技のコスタリカ代表チームに選ばれ、2度目の世界大会出場に向けて着々と準備を進めています(※)。その一歩一歩を、コカ・コーラ社の社員である姉のガブリエラをはじめとする家族全員が応援しています。
元々ボーリングチームに所属していたアドリアナ。それが9年前、水泳を始めるや、すぐに水泳に目覚め、かつてない熱意で競技にのめりこむようになりました。その後、スペシャルオリンピックスでの競技歴は6年に及び、これまで800メートルと1500メートルのフリースタイル競技で何度も1位に輝いています。

アドリアナは昨年、2度の地域大会で抜群の成績を上げたばかりか、スペシャルオリンピックスコスタリカ全国大会の二つのレースでも1位となり、ロサンゼルスで開かれる2015年スペシャルオリンピックス世界大会への出場権を手にしました。世界大会で彼女が参加する種目は、個人800メートル自由形と4 x 100メートルリレー、そして、ロングビーチの海上で行われる1500メートルのオープンウォータースイミングです。

姉妹の絆を強く、太くした
スペシャルオリンピックス水泳競技

「冷たい海で泳ぐのは、私にとって未知の体験です」と、カリブ海など温暖な海でのレースに慣れているアドリアナは言います。でも、プレッシャーは感じていないそうです。

アドリアナは水泳で、これまで多くの国を訪れています。スペシャルオリンピックスのラテンアメリカ地域大会や中米・カリブ大会、そしてプエルトリコ、パナマ、ケイマン諸島での競技会にも参加している彼女は、今や国際試合のベテランと呼べるほどです。2011年には、アテネで開催されたスペシャルオリンピックス世界大会にも出場しています。

「海外遠征は大好きです」と彼女は言います。ロサンゼルスの世界大会に向けた抱負を訊くと、とにかくタイムを上げてメダルを勝ち取りたいと答えてくれました。

姉妹の絆を強く、太くした
スペシャルオリンピックス水泳競技



■選手たちが教えてくれた“大切なこと”

2010年にプエルトリコでの競技会に参加したアドリアナの姿を見て、姉のガブリエラも水泳競技に挑戦してみることにしました。コスタリカのコカ・コーラ社に勤める26歳のガブリエラは、「彼らにできるなら、私にだってできるはずだと思ったんです」と語ります。彼女のチャレンジ精神を奮い立たせたのは、妹を通して出会ったスペシャルオリンピックスの選手たちだったのです。

「大事なのは挑戦することだ、といつも自分に言い聞かせています。自分次第でどんなことでも達成できるんだということを、私はスペシャルオリンピックスの選手たちから学びました」とガブリエラは言います。

姉妹はよく一緒にトレーニングをしますが、ガブリエラは妹の方がハードな練習をしていると認めます。ただ、練習量に差はあっても、二人は競技に対する熱意を共有しています。「水泳は私たちの絆を強めてくれました。水泳の話題で盛り上がるし、トレーニングで一緒に多くの時間を過ごすことができますから」とガブリエラは言います。


※本記事は「2015年スペシャルオリンピックス夏季世界大会・ロサンゼルス」の開催前に執筆されました。本大会において、アドリアナ・ソテラ選手は1500メートルオープンウォータースイミングで3位、800メートル自由形で4位に入賞しました。