文=コカ・コーラ ジャーニー編集部

 

■シンボルカラーと売り上げの関係性

1961年に米国で発売されたレモンライム味の炭酸飲料「スプライト」は、数多あるコカ・コーラ社製品の中でも高い人気を誇るロングセラー製品です。

コカ・コーラ」といえば赤色、「ファンタ」といえばオレンジ色……というように、コカ・コーラ社の主要製品のイメージは、それぞれのシンボルカラー(ブランドカラー)と深く結びついています。そして「スプライト」は、製品誕生から今日までの56年間、常に緑色をシンボルカラーにしてきました。広告やパッケージ、関連アイテムに至るまで、色調の異なる緑色を組み合わせたデザインを一貫して用いることで、長年にわたってファンの心を掴んできたのです。

ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)のグローバルデザイン部門でシニアディレクターを務めるトム・ファレルは、消費者が買うものを選ぶ際に、製品のシンボルカラーは重要な役割を果たすと考えています。膨大な数の製品がひしめく売り場においては、“色”というシンプルな特徴がその製品の象徴としてどれだけ強く消費者の心に刷りこまれているかが、製品の存在感を決定づけるからです。

56年間守り続けるシンボルカラー 知っていますか?「スプライト」が「緑」の理由

緑色で統一された、歴代の「スプライト」ボトル

 

■2017年のトレンドカラーも緑色

緑という色には、流行に左右されない普遍的なイメージ(=清潔、さわやか)があります。ザ コカ・コーラ カンパニーのグローバルデザイン部門でディレクターを務めるラファエル・アブリューは、緑色のことをこのように説明します。「寒色である緑色は、見る者に視覚面での清涼感をもたらします。どぎつくもなく、退屈でもなく、常に新鮮で涼しげな印象だから、『スプライト』のシトラス系のさわやかな刺激とぴったり合うのです」。

清涼感を醸し出せる緑色ですが、実は、近年最も“熱い”色でもあります。というのも、色見本の製造で知られるパントン社が選出した「カラー・オブ・ザ・イヤー(*)」は、2017年は「グリーナリー」という名の鮮やかなイエローグリーンで、2013年は、青みがかったエメラルドグリーンだったのです。パントン・カラー・インスティテュート(研究所)のエグゼクティブ・ディレクターを務めるリートリス・アイスマンによると、緑色は自然界にもっとも多く存在する色のため、人の目は、緑色に対する感度が最も高いのだそうです。

以下にご紹介するのは、「スプライト」の視覚的なイメージを一貫させるために1960年代から1970年代にかけて使われたデザイン関連資料の写真です。普遍的でありながら新鮮、という緑色の持つ魅力が伝わってくる好例ではないでしょうか。

56年間守り続けるシンボルカラー 知っていますか?「スプライト」が「緑」の理由

ポスターや看板の仕様書。
濃淡の異なる2種類の緑色の使い方が指定されています

56年間守り続けるシンボルカラー 知っていますか?「スプライト」が「緑」の理由

スプライト」の広告キャンペーン資料フォルダがつくり出す緑色のグラデーション

56年間守り続けるシンボルカラー 知っていますか?「スプライト」が「緑」の理由

白地に緑色の文字が印刷されたボトルキャップの仕様書

56年間守り続けるシンボルカラー 知っていますか?「スプライト」が「緑」の理由

パッケージ用の色見本

*カラー・オブ・ザ・イヤー:パントン・カラー・インスティテュートのカラースペシャリストが、世界中のエンタテインメント産業、美術関連の展示会、ファッション業界、デザイン業界、人気の高い観光地、最新のライフスタイル、社会情勢や経済状況、最新テクノロジー、ソーシャルメディアの投稿、世界的なスポーツイベントなど、さまざまな領域のトレンドを綿密に調査、検討して選定される色のこと。毎年 12 月に翌年のテーマカラーとして発表される。

 

■「スプライト」ボトルが表現する“究極の爽快感”

個性的なボトルと言えば「コカ・コーラ」のガラスボトルですが、「スプライト」のガラスボトルも、独自のデザインが話題を呼び、じわじわと知名度を上げてきたという歴史があります(『コカ・コーラ』ボトルの誕生秘話はこちら)。

「ガラスボトル表面の丸い凹凸は、ボトルの壁に沿って立ちのぼる炭酸の泡を表現しています。その視覚的効果と緑色の組み合わせによって、さわやかな強炭酸という『スプライト』の特徴を強調しているんです。そしてこの特徴は、PETボトルにも引き継がれています」(アブリュー

発売当初の1960年代、ザ コカ・コーラ カンパニーのデザイナーやエンジニアは、「スプライト」の目指すブランドイメージを実現するために、膨大な調査研究を経て「スプライト」のデザイン基準をつくり上げました。ガラスボトルも、完成形に行き着くまでに何十ものデザイン案が検討されています。「スプライト」ボトルは、「コカ・コーラ」ボトルに負けないくらい徹底的に考え抜かれ、厳しい品質基準をクリアして、ようやく完成に至ったものなのです。

緑色を基調にしたデザインこそが、「スプライト」の何よりの魅力であり、その魅力は時代を超えて消費者に受け入れられているとファレルは考えています。「ブランドのヘリテージ(歴史的に築いてきた価値、財産)を受け継いでいくことが、ビジネスを長期的に成功させるためのカギです。緑色は『スプライト』のヘリテージの重要な一部です。この緑色を核にしながらも、イノベーションを起こし、新しいアイディアを実現していくのが私たちの役割なのです」(ファレル)。

新緑が目にまぶしい季節ですが、今度お店で「スプライト」に出会ったら、その緑色にも注目してみてください。

>>「スプライト」ブランドサイトはこちら