文=ジェイ・モイエ

株主総会で披露されたサプライズ動画

「『コカ・コーラ』ボトルが今年100歳になるって? なんてこった、私よりも年上じゃないか! これは1曲やるに値するね」
と言うなり、おもむろにウクレレの調弦を始める老紳士。一体誰なのか分かりますか? 彼は世界一の投資家にして慈善活動家、ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)の筆頭株主である投資会社バークシャー・ハサウェイCEO、「オマハの賢人」ことウォーレン・バフェット氏です。
700人近くの株主が参加した、2015年4月29日の米国本社の年次株主総会。同総会で、1971年の有名なテレビコマーシャルソング「I’d Like to Buy the World a Coke」を弾き語るバフェット氏の姿が動画公開されました。


米国本社の年次株式総会で流された動画


動画の最後の部分で、84歳のバフェット氏は「私の財力があれば世界中の人に『コカ・コーラ』を買ってあげることができるけど、私の株主がなんと言うか分かりませんね」と冗談を飛ばしています。
その後、バフェット氏本人が登壇し、米国本社のムーター・ケント会長兼CEOと対談を行いました。

かくしてウクレレの弾き語りは実現した

2015年、「コカ・コーラ」ボトルは誕生100周年を迎えました。100周年を祝う特別な歌を収録するにあたって、コカ・コーラ社は筆頭株主かつ長年の「コカ・コーラ」とチェリーコークのファンとして知られるバフェット氏を招待しました。
ウォーレンが『コカ・コーラ』の大ファンであり、音楽の才能にも恵まれていることを知っていたので、記念の年を楽しくお祝いするには(動画は)最高の表現方法に違いないと思いました」と、北米コカ・コーラ社でマーケティングコンテンツ部門を統括するジェニファー・ヒーランは語ります。
バフェット氏への感謝のしるしとして、また、演奏がより思い出深い体験になるようにと、コカ・コーラ社はオレゴン州ポートランドの名高い楽器職人マーク・ロバーツに依頼して、世界に一つだけの最高級の楽器を制作してもらいました。
依頼を受けたロバーツは、ルーマニア産のカルパチアン・スプルース、ホンジュラス産のマホガニー再生材やマダガスカル産の黒檀など、さまざまな高級木材を楽器用に調達し、ハンドメイドの特別なテノールウクレレを5週間ほどかけて完成させました(この工程は、通常のペースだと6ヵ月かかることもあります)。
赤いウクレレのヘッドには象嵌の「コカ・コーラ」のロゴがあしらわれており、サウンドホールは「コカ・コーラ」ボトルの形をしています。さらに、セットで制作された赤い楽器ケースには、「From one icon to another (ある偶像からもう一人の偶像へ)」というメッセージが書かれています。

「世界一の投資家」バフェット氏、
ウクレレで「コカ・コーラ」愛を奏でる
From One Icon to Another
楽器職人のマーク・ロバーツと、バフェット氏のために制作したウクレレ

2015年3月、ヒーランはポートランドの広告代理店ワイデン&ケネディのクルーと共に、完成したウクレレをネブラスカ州オマハのバークシャー・ハサウェイ本社に届け、バフェット氏を驚かせました。
ワイデン&ケネディでアカウントディレクターを務めるトマス・ハーヴェイは、「彼は感激していました。ウクレレを手に取って、何回かキーを調整しながら歌を練習しました……調弦してから歌いだすところが動画の冒頭に出てきますが、ウクレレを渡してから収録を終えるまで、30分くらいしかかかりませんでしたよ」と語ります。
バフェット氏の飾らない人柄と、広く知られるユーモアのセンスは、この47秒の動画の中で存分に表現されています。彼のつま弾く「コカ・コーラ」を象徴する5音のメロディで、動画は締めくくられています。

Slide show:Slideshow : バフェット氏のために制作された特製ウクレレ ※写真下の〇をクリックしていただくと、次の写真をご覧いただけます。



オマハの賢人」は生粋のエンターテイナー

バフェット氏がウクレレに出会ったのは大学生の頃で、好きな女の子を振り向かせたいがための一心で演奏を始めたそうです。バフェット氏の3人の子供の一人であるピーター・バフェットは、2008年にO.A.されたラジオ局NPRのインタビューの中で「父親が1930~40年代の定番曲を弾き語るのを聴きながら育った」と話しています。
ピーターは父親の音楽的才能をしっかりと受け継いだようで、現在彼はエミー賞の受賞歴を持つ著名な作曲家です。バフェット一家は、これまで何度も人前でセッションを披露してきました。「オマハの賢人」はロックミュージシャンのジョン・ボン・ジョヴィや女優のグレン・クローズとも共演しており、テレビの生放送でジャーナリストのピアース・モーガンに歌を贈ったこともあります。
「彼は実力を備えたウクレレ奏者であると同時に、大いに茶目っ気のある人物です。今回の動画からはそのどちらの面も伝わってきますね」とハーヴェイは語っています。