そんな中里は入社後、ブランドマーケティング部を経て、自動販売機を担当するようになった。日本の自動販売機を何とかしたいと思っていたからだ。

頭の中は常に新しい企画のアイデアでいっぱい
頭の中は常に新しい企画のアイデアでいっぱい

「みんな、職場の近くや通り道にたまたまあるから使っているだけなんですよね。でも自動販売機というのは本来“お店”だと思うんです。お店って、好きであるなら遠くても足を運ぶところだし、何を買おうかな、ってワクワクするところですよね」

入社からしばらく、理想のお店づくりを着々と進めていた中里。だが、2011年、思わぬ事態に見舞われる。東日本大震災が発生、その後、「電力を使う自動販売機は必要なのか」という国民的議論が起こり、全国の自動販売機は“閉店危機”に追い込まれたのだ。しかし中里は大好きな店を守るために奔走した。その時生まれたのが、昼間の消費電力を最大で95%もカットするという「ピークシフト自販機」(※)である。

「社会的な課題があれば、解決に向けて行動を起こすことは当然のこと。省エネの推進ばかりでなく、自動販売機の冷媒のノンフロン化を推進するなど、開発のアイデアを練る時には環境面にも常に気を配っています」

「いつでも、どこでも、だれにでも」はコカ・コーラシステムのポリシーだが、中里は同時に、「今だけ、ここだけ、あなただけ」を実践して一人ひとりのニーズに応えようとしている。

「本当は自動販売機に入って“お飲み物いかがですか”と手渡ししたいくらいですよ」

と、笑いながら語る時のその顔は、まさに“店主”だった。


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プロフィール

なかざと・やすお/1962年生まれ。86年法政大学文学部日本文学科卒業。同年日本コカ・コーラ(株)に入社。ブランドマーケティング担当などを経て、現在はベンディング販売機材/プラットフォーム/CVM企画グループのグループマネジャー。愛飲歴50年を超える大の「コカ・コーラ」ファンでもある。