多くの人にとっての待望の瞬間とも言える定年退職。ギャラップの調査によると、一般的アメリカ人67歳で退職を予想しています。 

しかしそうした一般的なアメリカ人コカ・コーラ社員とは異なる存在なのが、ロッキー バッティスタです。 

「いつ退職するつもりなの? と尋ねられるたびに笑い飛ばしているんだ」というロッキー。「私退職させるのなら、このユニフォームを無理やり脱がさないといけないだろうね 

あと数ヶ月で90歳という年齢をものともせず、ロッキーは自分だけ着用許されているという白襟シャツとネクタイといういでたちで、毎朝ニュージャージー州サウスブランズウィック施設に出勤しています。

みんな知っているから、誰からもお咎めはないよと、ロッキー。

コカ・コーラで働いてきた75という時間を考えれば、それも不思議はないでしょう。

「コカ・コーラのあるべき姿を体現する。それ以外に何もないよ。終日テーブルについているだけかもしれないけど、それでもコカ・コーラが大好きなんだ    


ロッキーの青年期  

ロッキーは19231121イタリアで生まれ小さな農村で育ちました。14歳の時、家族とともに大西洋を横断米国への移住果たしました。 

そして、ロッキーと家族が居を構えた場所は、現地のコカ・コーラの工場施設からわずか150メートルほどのところでした。    

ロッキーは、毎日、友人工場脇を通っては、ガラスボトルに入った飲料の品質検査に取り組む工場員の姿を眺めていたと言います。外国の地に来たばかりのロッキーにとって、それは好奇心に駆られた自然な行為でした。もちろん、当時、コカ・コーラのことなど全く知らなかったロッキー。彼には、大きな虫眼鏡を持った大人がボトルの何を調べているか、見当もつかなかったと言います

ある日、その工場員が検査の手を休め、ロッキーと友人を中へ招き入れました。 

工場員はおもむろに手を伸ばしてコカ・コーラのボトルを1本つかみ、私にくれたんだひとくち飲んだ瞬間、私はの虜になった。あのボトル1本で、まるで百万長者になったように感じたものさ 

するとその工場員は、ロッキーと友人に「ここで働きたいか」と尋ね、かくしてロッキーは、米国到着後わずか半年で、コカ・コーラの社員になったのです。 

以来、ロッキーと友人は、学校から戻るとすぐに服を着替えて工場で働く日々を送るようになりました当時、16時間の配送トラックの荷積みと荷降しで、わずか50セントの稼ぎでした 

「家計のやり繰りが大変だと訴えていた母に毎晩、その日稼いだ50セントを渡していたんだよ 

歌うことが好きだったロッキーは、コカ・コーラの給料を貯金し、そのお金でニューヨークの音楽教師の指導を受けるようになりました。1回の授業にほぼ一週間分の給与を費やし、古典的なイタリアの歌唱ギター、そしてピアノの演奏を学びました。地元のホールで歌うことと、コカ・コーラで働くことの両方、第二次世界大戦徴兵されるまで続けました。 

そしてロッキーは1942年から1944年まで海兵隊に勤務、その後戦争が終わったわけですが、次に何をすべきかについてロッキーは明確に知っていたと言います。 

「何かって もちろんコカ・コーラに戻ったのさ 

1956年、ロッキーは妻のロザリンと結婚し、2人の子供に恵まれました。 

幸せな家庭生活を得たロッキーのコカ・コーラでのキャリアその後も続き、マーチャンダイザー、セールスマン、そして地区セールスマネジャーを歴任します。そしてその間、ロッキーは、コカ・コーラのボトルがガラスからプラスチックPETボトルへと移り変わっていく様を目のあたりにし、さらにニューヨークマーケットダイエット コーク投入した最初のメンバーの1人となりました。

そしてほどなくしてロッキーは、一生コカ・コーラ勤め上げていくことを決めます。 

198410月時点、まだ私はコカ・コーラで働いてたんだ。なぜかって? 家族を養うためだし、ほかに行くところもなかったしな。私自身どこへも行くつもりはないと決めていたんだよ 


仕事への愛 

今、どこで仕事をしているのか尋ねると、ロッキーは決まって「どこでも」と返します。そして、今、何をしているのか尋ねれば、「コカ・コーラにとって必要なこと」となります。イベントのお手伝いからお様への訪問まで、ロッキーの仕事の内容は毎日変わるのですがその献身ぶりは変わりません 

同僚は、ロッキーは、私が今まで出会った人の中で最も働き者だ翌日の業務のために真夜中に会議しなければならない場合でも、ロッキーは必ず出席している」と言います 

ロッキーの存在感と存在価値は日々の業務領域をはるかに超えており、彼はコカ・コーラのブランドの魅力を伝えるアンバサダー的存在で、インスピレーションと誇りの源で、かつ理想的な鑑である、そう周囲の誰もが言うのです。 

2002ロッキーは「今世紀のベスト従業員賞受賞同僚たちから大いに祝福されました 

コカ・コーラ社員として70年以上勤めてきた89歳のロッキーは、コカ・コーラが持つ偉大な価値すべてを体現する社員のひとりで、世界中の社員全員にとっての真のインスピレーションとなりうる存在なのです。 

のような賞賛心から感謝しながらも、ロッキーは賞賛されること自体がコカ・コーラに留まる理由ではないと言います。 

「褒められるのしいが、留まる理由はそれだけではない。みんなと同じで、自分が心から好きなことを、たまたまできているだけさ私ほどコカ・コーラを好きな人間もいないだろうし、それを恥ずかしいとも思わない。エンパイア・ステート・ビルのてっぺんから叫んだっていい!(笑) 

毎日終業時に会社のドアを閉じるときあぁ、今日もコカ・コーラでの素晴らしい時間の幕が閉じたんだな、と感じるんだ。明日になればまたすべての繰り返し、そうした日々の積み重ねがあってコカ・コーラも続いていくんだよ