法律でリサイクルが義務付けられているPETボトル。これまでPETボトルは、繊維やシートなど1)、PETボトルほどの品質が求められないものへのリサイクルが主流でした。しかし近年、品質を落とさずにリサイクルする技術が生まれ、「PETボトルを再生したPETボトル」が増えています1)。その背景には、品質を保つための基準や、元になるPETボトルをリサイクルしやすいように製造する努力があります。環境負荷を抑えるために、ボトルの軽量化や植物由来のPETボトルの開発など、リサイクル以外の取り組みも進められています。

 

1.「ボトルtoボトル」リサイクル
飲料や特定調味料などで使用したPETボトルをリサイクルして、同品質のPETボトルに再生することを、「ボトルtoボトル」といいます1)。ボトルtoボトルによって再生されたPETボトル(以下、リサイクルPET)は、リサイクルPETの含有率100%の場合、天然資源を採掘することなく製造できるため、環境負荷が少ないとして注目されています1)。近年は、飲料用のPETボトルの原材料として、リサイクルPETを採用する動きが高まっています1)
※:しょうゆ、酢、ノンオイルドレッシングなど、内容物に油脂を含まず、簡単に洗浄できる調味料1)

 

2.リサイクルPETが誕生するまで
PETボトルのリサイクルは主に、家庭で分別排出されたPETボトルを、市町村が分別収集し、事業者が再商品化するという流れで行われています1)。ボトルtoボトルリサイクルでは、再商品化の工程でPETボトルをフレーク化(約8mm四方に裁断)し、ラベルやキャップ等の異物や表面の汚れを取り除いた後、ケミカルリサイクルまたはメカニカルリサイクルの工程に進みます1) (図1)。 ケミカルリサイクルは、フレーク化したPET樹脂を化学分解でPETの中間原料まで戻し、もう一度新しいPET樹脂に加工する方法です。日本では2004年から実用化されています1)。一方、メカニカルリサイクルは、フレーク化したPET樹脂を気流中または減圧下で加熱し、異物や汚れを取り除く方法です。日本では2011年から実用化されています。大掛かりな分解設備や重合設備が必要なケミカルリサイクルに対して、メカニカルリサイクルは製造コストや環境負荷が少ないのが特徴です1)

図1 「ボトルtoボトル」リサイクルの流れ

出典:PETボトルリサイクル年次報告書2017(PETボトルリサイクル推進協議会)
http://www.petbottle-rec.gr.jp/nenji/new.pdf
PETボトルリサイクル推進協議会1.ケミカルリサイクル(化学的再生法)(PETボトルリサイクル推進協議会)
http://www.petbottle-rec.gr.jp/more/chemical.html
PETボトルリサイクル推進協議会2.メカニカルリサイクル(物理的再生法)(PETボトルリサイクル推進協議会)
http://www.petbottle-rec.gr.jp/more/mechanical.html
より作図

 

3.リサイクルPETの品質を保つための努力
「ボトルtoボトル」リサイクルでは、異物を完全に除去するため、再生前と同品質のPETボトルを実現することができます1)。PETボトル推進協議会では、リサイクルPETの品質を評価する基準を設けており、製造されたリサイクルPETは A:使用可能、B:条件付きで使用可能、C:使用不可の3段階で評価されます2)。また、評価基準をクリアしたリサイクルPETが市場へ出荷される際は、事前に、同協議会に報告書を提出し受理される必要があります2)

 

4.容器の設計基準で考慮される「リサイクルのしやすさ」
PETボトルは、容器包装リサイクル法でリサイクルが義務付けられており3)、「よりリサイクルしやすいPETボトル」となるように、ボトル、ラベル、キャップ等について製造に関する基準が設けられています(図2)2)

図2 リサイクルしやすいPETボトル設計のための基準(一部)

対象部位 基準の例
ボトル ・PETのみを使った素材であること
・着色しない
・簡単につぶせる構造が望ましい
・本体に印刷しない
ラベル ・PVCを使用しない
・シュリンクラベル*はミシン目入りが望ましい
・手で無理なくはがせて、接着剤が残らないものが望ましい
キャップ ・アルミキャップは使用しない
・パッキンを使用する場合、取り外し方をラベルに明記する
その他 ・販売時、価格ラベルや会計済みシールの接着剤がボトルに残らないこと

PET:ポリエチレンテレフタレート PVC:ポリ塩化ビニル
*熱を加えてボトルに密着させるラベル

出典:指定PETボトル自主設計ガイドライン(PETボトルリサイクル推進協議会)
http://www.petbottle-rec.gr.jp/guideline/jisyu.htmlをもとに作成

 

5.その他の「環境にやさしいPETボトル」
環境負荷の少ないPETボトルは、リサイクルPETだけではありません。例えば「軽量化ボトル」は、樹脂の使用量を抑えた薄いPETボトルのことをいい、複数の飲料企業が開発に取り組んでいます1)。PETボトルの軽量化は、成形および充填技術の進歩により、着実に進展しています1)。そのほか、植物由来の原料を使用した「バイオPETボトル」もあります4)。現在商用化されているものは、石油由来と植物由来の原料からつくられていますが、将来的には100%植物由来のPETボトルの実現を目指し研究が進められています4)。バイオPETボトルは、石油由来のPETボトルと同様に、リサイクルも可能です1)。また、「リターナブルボトル」は、再利用を目的として回収されたPETボトルであり、欧米では事業化されています1)。日本では一般化されておらず、汚染物質の除去法の確立と回収システムの構築が課題となっています1)
PETボトルからPETボトルへのリサイクルは、リサイクル技術の確立、法や規則の整備の上で実現しています。もちろん、大前提として、飲料を楽しむ一人ひとりの協力も欠かせません。環境保全の動きが活発な時代を背景に、PETボトルのリサイクルは今後さらなる進展を遂げていくでしょう。

 

参考文献
1) PETボトルリサイクル推進協議会
http://www.petbottle-rec.gr.jp/

2) 指定PETボトル自主設計ガイドライン、付属書
http://www.petbottle-rec.gr.jp/guideline/jisyu.html
http://www.petbottle-rec.gr.jp/guideline/pdf/fuzokusho_05.pdf

3) 日本容器包装リサイクル協会
http://www.jcpra.or.jp/

4) 伊坪徳宏ほか, 環境情報科学 学術研究論文集(29), 177-182, 2015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ceispapers/ceis29/0/ceis29_177/_pdf

 

関連情報
サスティナビリティーレポート2018年度(日本コカ・コーラ株式会社)
https://www.cocacola.co.jp/sustainability/report