米国スポーツ医学会および米国栄養士会の学術誌に発表された論文では、「エネルギーバランス」を保つことこそが、肥満改善のために実行可能な公衆衛生上の解決策であるとし、米国においてエネルギーバランスを公衆衛生施策に組み込むための指針が述べられています。また、「エネルギーバランス」の概念を生活に取り入れることなどが推奨されています。


米国農務省(USDA)、米国スポーツ医学会(ACSM)、米国栄養士会(Academy of Nutrition and Dietetics)は共同で、肥満の危機に対処するための行動指針を発表

インディアナポリス-米国人の多くは体重過多あるいは肥満であり、このことは糖尿病、心疾患、がん、高血圧などの疾患が急増する一因となっています。米国スポーツ医学会の学術誌の2014年7月号に掲載された論文によると、「エネルギーバランス」を適切に保つことこそが、肥満改善のための実行可能な公衆衛生上の解決策であるとされています。この論文では、米国においてエネルギーバランスを公衆衛生施策に組み込むための指針が述べられています。

“今こそ私たちは一丸となって「食事か運動か」の二者択一議論を終え、食事と運動の両方に着目していく時です”。この論文の共著者であり、米国スポーツ医学会の会員であるオレゴン州立大学のメリンダ・マナー教授(博士・管理栄養士・スポーツ栄養士・米国スポーツ医学会評議員)は、“栄養と運動の有識者が協力し、エネルギーバランスの重要性に関する効果的な統一見解を発信することで、米国人の肥満傾向を改善し健康に貢献することができるのです”と述べています。

Medicine & Science in Sports & Exercise®(スポーツ・エクササイズにおける医学・科学)とJournal of the Academy of Nutrition and Dietetics(米国栄養士会誌)の2014年7月号では、以下のことが推奨されています。

 運動科学および栄養学の専門家育成の教育課程と研修にエネルギーバランスの概念を取り入れ、両者の協力体制を強化します
 
エネルギーバランスに対する一般の教師や体育教師の認識を向上させ、エネルギーバランスの支持者とします
 
エネルギーバランスの概念を習得できる教育方針を開発します
 
国による栄養関連事業と協力し、生活協同組合のような組織や学校給食プログラムにエネルギーバランスの概念を取り入れます
 
エネルギーバランスに関して、消費者が理解でき、生活に取り入れられるようなメッセージと推進プランを構築します
 
エネルギーバランスの概念を推進できるような既存のサービスを精査して支援します
 

“現在、健康問題に関する有識者たちは自身の専門領域内で活動していますが、互いに力を合わせてエネルギーバランスの概念を教育し、浸透させることが、健康増進の鍵となります”とマナー教授は主張しています。“肥満の蔓延は、私たちの世代における、公衆衛生上の最大の問題のひとつです。エネルギーバランスはその解決策を考える助けとなり、次世代が同じ問題を背負うことを防ぐのに役立つでしょう”。 この論文は米国スポーツ医学会、米国栄養士会、米国農務省、農業研究局の主催により2012年10月に開催された有識者によるパネルセッション“エネルギーバランスの分岐点:科学の意味するものを理解して実践へ”の内容をまとめたものです。

参考文献
Manore MM, Brown K, Houtkooper L, Jakicic J, JC, Smith Edge M, Steiber A, Going A, Gable L, Krautheim AM. Energy Balance at a Crossroads. Medicine & Science in Sports & Exercise, 2014; 46 (7): 1466