健康や栄養面を考えて食品を選ぶ際は、その食品に含まれる栄養成分の種類や含有量、各栄養成分の機能についての表示を確認することが大切です。
今回は、ポリフェノールなど、栄養表示基準に定められていない成分について解説します。


食品表示基準が定められている成分と定められていない成分
・食品表示基準に定められていない成分もある
これまでご紹介してきたように、健康増進法に基づく栄養表示基準*は、摂り過ぎたり、摂取が足りなかったりすることが健康に影響を与える可能性のある栄養成分について適用されています。熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの含有量をこの順番で表示するように義務づけられ、その次にビタミン、ミネラルなど、その他の栄養成分の含有量を表示するルールになっています1)
食品に含まれる成分のなかには、栄養表示基準に定められていない成分もあります。ポリフェノールやカテキン、カフェイン、オリゴ糖などがそれに当たります。これらの成分も、科学的根拠に基づいたものであれば、事業者の責任において任意で栄養成分を表示することができます2)

* 2015年に食品表示法が施行され、経過措置期間後の2020年からは食品表示基準に則った表示となりますが、ポリフェノールなどの栄養表示基準に定められていない成分は、食品表示基準でも定められていません。

・ポリフェノール、カテキン、カフェイン、オリゴ糖とは?
ポリフェノールは、植物に含まれる色素や苦味・渋味の成分で、果物や野菜、コーヒー豆、茶葉などに含まれています3)。緑茶や紅茶に含まれるカテキンもポリフェノールのひとつです。そのほか、ブドウに含まれるアントシアニンや、大豆に含まれるイソフラボンなどもポリフェノールの仲間です3)
カフェインも植物に含まれる成分で、コーヒー豆や茶葉、カカオ豆などに多く含まれています4)
オリゴ糖は、糖質のひとつで、いくつかの単糖が結びついたものです。母乳に含まれるガラクトオリゴ糖、大豆製品に含まれる大豆オリゴ糖、砂糖から作られるフラクトオリゴ糖などがあります5, 6)

・ポリフェノールやカフェイン、オリゴ糖の働きと摂取量
ポリフェノールは、活性酸素を抑える抗酸化作用があります5, 7)。活性酸素は、少量であれば人体に有用な働きをしますが、ストレスや紫外線、喫煙などで多く発生しすぎると細胞傷害や遺伝子の変異をもたらし、老化や生活習慣病などの原因となります。ポリフェノールの抗酸化作用には、生活習慣病予防などの効果が期待されています7, 8)
ポリフェノールのひとつであるカテキンも、抗菌・抗ウイルス作用や美容効果などがあると考えられています9)。現在のところ、どのようなポリフェノールをどれくらい摂取すれば健康維持に効果があるのかはっきりしておらず、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2015年版)」のなかで1日の推奨摂取量は定められていません10, 11)。ポリフェノールは日頃の食事で摂る野菜や果物にも含まれているため、必ず摂取できる物質です。ポリフェノールの含有量が多いからといって、赤ワインやチョコレートを摂り過ぎてアルコールや脂質の摂り過ぎにつながらないよう、バランスのよい食生活を心がけることが大切です10)
カフェインは、リフレッシュ効果や、労働生産性の向上効果があることが明らかにされています12)。一方で、不眠や不安、心臓機能への影響などの有害作用も考えられるため、1日当たりの摂取量は300mg以内にしたほうがいいといわれています4)。一杯のコーヒーやお茶に含まれるカフェインの量は、豆や茶葉の量、湯の温度、抽出時間などによって異なるので幅があり、一概に一杯にどれくらいの含有量があるとはいえません。日本茶の場合も、一番煎じが最もカフェイン濃度が濃く、二番煎じ、三番煎じになるほど薄くなるというように、同じ茶葉でも変わってきます12)。また、カフェインは眠気防止薬や解熱鎮痛配合剤、感冒配合剤などの医薬品にも含まれているので、コーヒーやお茶からの摂取だけでなく、医薬品から摂る量も併せて考える必要があります4, 12)
オリゴ糖は、腸の働きを整えたり、腸内細菌の善玉菌を増やす働きがあります5)。大量に摂るとお腹が緩くなることがあるので、オリゴ糖を添加したオリゴ糖製品の有効摂取量は、1日当たり2~10gとされています13)

定められていない成分の表示方法
・定められていない成分も任意表示できる
前述したように、ポリフェノールやカフェイン、オリゴ糖などは、栄養表示基準に定められていませんが、科学的根拠に基づいて、任意で成分を表示することができます2 )。栄養表示基準に定められていないため、「〇〇たっぷり」「〇〇入り」「〇〇ゼロ」と強調表示をするための基準がなく、強調表示をすることはできません。

・成分の表示方法
栄養表示基準に定められ、必ず表示しなければならない栄養成分表示は、熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムで、この順で表示し、それ以外のビタミンやミネラルについてはその下に表示します1)。ポリフェノールなど、栄養表示基準に定められていない成分は、定められている成分と区別するため、枠の外や線で区切って表示することになっています()。

図 栄養表示基準に定められていない成分の表示の例

Hot topics「食品表示シリーズ第9回_ビタミン」_170123

 

・成分によっては特定保健用食品の成分に
脂肪の吸収を抑えたり、お腹の調子を整えたりする成分を含み、その有効性や安全性が国の審査をクリアして保健の効果を表示できる食品を特定保健用食品(トクホ)といいます。栄養表示基準に定められていない成分でも、ポリフェノールやガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖などは、保健機能成分として特定保健用食品に使用されている場合があります14)。特定保健用食品には、どのような機能を持つ成分を含んでいるのか、どのように健康の増進・維持に役立つのか、注意事項や摂取目安量などが表示されていますので、商品購入の際や摂取の際に自分に合った商品、摂取量を選ぶことが可能となります。

■まとめ
栄養表示基準に定められていない成分でも、ポリフェノールやカフェイン、オリゴ糖など、目的に応じて適切に摂取したい成分があります。食品や飲料にどの程度ポリフェノールやカフェインを含むのかはそれぞれの商品で異なりますから、栄養成分表示で含有量を確かめることにより、どれくらい摂取できるのかを参考にすることができます。

参考文献
1)おしえてラベルくん 健康増進法に基づく食品表示ガイド(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin881.pdf

2)栄養成分表示ハンドブック(東京都)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouji/kyouzai/files/eiyouseibun_handbook.pdf

3)足立香代子監修, 決定版 栄養学の基本がまるごとわかる事典, 西東社, 2015, p.117

4)栗原久, 東京福祉大学・大学院紀要 6(2), 109-125, 2016

5)井上正子監修, 新しい栄養学と食のきほん事典, 西東社, 2010, pp.117-126

6)オリゴ糖(e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-003.html

7)抗酸化物質(e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html

8)活性酸素と酸化ストレス(e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html

9)村松敬一郎ほか編, 茶の機能, 学会出版センター, 2002, pp.80-81, 270-274

10)ポリフェノール含有食品の商品テスト結果(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20000508_1.pdf

11)日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html

12)栗原久, カフェインの科学, 学会出版センター, 2004, pp.42-45,71-77

13)腸内細菌と健康(e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html

14)食品衛生の窓(東京都保健福祉局)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/hoei/hoei_003/hoei_003.html