お茶は古くから親しまれ、世界の三大嗜好飲料の一つ1)といわれるほど、多くの人を魅了しています。製法の違いにより、同じ茶葉から、緑茶、ウーロン茶、紅茶といった全く異なる味や香りを持つお茶が生まれます。その鍵となるのは、茶葉に含まれる酸化酵素です。また、最近では、これらの代表的なお茶以外にも、多くの種類のお茶を楽しめるようになってきました。


先人たちをも魅了してきた、中国発祥のお茶
お茶は、中国原産の「チャ」という植物の葉を加工したものです1)。主に、アジア、アフリカ、南アメリカなどで世界40カ国以上で栽培されており、中国種とアッサム種があります1)。主に中国や日本で栽培されている中国種は、緑茶に適しています。一方、主にインドやアフリカで栽培されているアッサム種は、紅茶に適しています1)。お茶は、中国で約2000年前から利用され始め、その後アジアの文化として世界に広がっていきました1)

代表格である3つのお茶の違いは、茶葉の酸化の程度
チャが原料の代表的なお茶といえば、緑茶、ウーロン茶、紅茶です。それぞれの味や香り違いは、茶葉をどの程度酸化させるかによって生み出されます。茶の製造では、酵素による酸化を「発酵」とよぶので、茶葉の酸化(発酵)の程度に基づき、緑茶は不発酵茶、ウーロン茶は半発酵茶、紅茶は発酵茶に分類されます1)。 緑茶は、生葉を加熱して、葉の酸化酵素の働きを止めて製造されるお茶です1)。生葉の加熱方法は、「蒸し」または「釜炒り」で、それぞれ特徴ある香味を生み出します1)。日本茶はほとんどが蒸し製の煎茶であり、新鮮な香味と、バランスのとれた旨味、苦味、渋味が特徴です1)。一方、中国緑茶はほぼ全てが釜炒り製です。釜炒り製緑茶は、蒸し製緑茶よりすっきりと軽く、釜香(かまか)とよばれる特有の香りがあります1)。 ウーロン茶は、生葉をしおれさせ一部を酸化させた後、釜炒りで加熱したお茶です1)。酸化と釜炒り工程の回数や組み合わせにより、多様な発酵度や香味が生まれます1)。 紅茶は、生葉の水分を乾燥させよく揉んで茶汁を出し、十分に酸化させた後、熱風乾燥させたお茶です1)。爽快な渋みと、バラの花のような香りや果物のような甘い香りが特徴の紅茶がヨーロッパで広まったのは、この強い香りが現地の水に合ったからといわれています1)。 また、本来、発酵とは微生物による作用をいうように、茶の製造過程で実際に微生物を利用した「微生物発酵茶」も存在し、プーアル茶などが該当します1)。プーアル茶は、生葉を加熱し、酸化酵素の働きを止めた後、高温多湿の場所で微生物発酵させて作ります1,2)。木や薬のような独特な香りが特徴です2)

「チャ」ではないお茶
チャ以外の原料を使ったお茶も、多くの種類が親しまれています。例えば、夏によく飲まれる麦茶は、焙煎した大麦などを煮出したお茶です3)。最近では、水出しすることもできるティーパック詰めした麦茶も手に入ります4)。健康志向の高まりで生まれたブレンド茶も「チャ」ではないお茶の一つであり、日本茶本来の風味に加え、はとむぎ、大麦、大豆、玄米、どくだみなど何種類もの原料がバランスよく配合されています5)。また、ハーブティーは、ハーブに熱湯を注いで成分を浸出させたお茶です。リラックスやリフレッシュしたい時など、用途に応じて一種類または数種類のハーブを混ぜ、浸出させて飲みます2)

近年は、伝統的なお茶に加え、ブレンド茶のような新しいお茶も手軽に楽しめるようになりました。忙しい日常にやすらぎのひと時を与えてくれるティータイムに、お茶の味や香りの裏側にあるユニークな誕生物語に思いを馳せてはいかがでしょうか。

参考文献
1) 森田明雄ほか編, 茶の機能と科学, 朝倉書店, 2013

2) 改訂新版 決定版 お茶大図鑑, 主婦の友社, 2012

3) 麦茶Q&A(全国麦茶工業共同組合)
http://www.mugicya.or.jp/qanda/index.html

4)麦茶の入れ方(全国麦茶工業共同組合)
http://www.mugicya.or.jp/make/index.html

5)清涼飲料水Q&A(全国清涼飲料連合会)
http://www.j-sda.or.jp/ippan/qa_view.php?id=139&cat=8

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