行政や消費者を巻き込みながら環境問題を解決していく

では、コカ・コーラシステムは、「3つの柱」に掲げた目標をどのように達成していくのか。

「PETボトル1本あたりのリサイクルPETあるいは植物由来PETの含有率を、平均して50%にまで高めるという目標がありますが、リサイクルPET、植物由来PETを使用する取り組み自体はすでに始まっています。ただし、含有率としてはまだそれほど高くありません。これを2030年までに平均で50%以上にまで高めるためには、いくつか乗り越えなければならない課題があります」

直近の課題は、リサイクル樹脂の確保だ。含有率を50%に高めるには、これまで以上に多くのPETボトルを再生処理し、樹脂にしなければならない。しかし現在、日本のコカ・コーラ システムが契約しているリサイクル工場だけでは、その供給が追いつかない。かといって、それ以外のリサイクル工場に委託すればいいというものでもない。というのも、リサイクル工場に対するコカ・コーラシステムの認可基準は、他社のそれよりも厳しく設定されているからだ。目標を達成するには、既存の契約先に供給能力を上げてもらう一方で、認可基準を満たせるリサイクル工場を他にも模索する必要がある。

2つ目の柱として、掲げている回収・リサイクル率の向上も容易に達成できる目標ではない。日本の国全体でのPETボトルリサイクル率は84%と、他国と比べても非常に高い水準にある。これをさらに上げるということは、すなわち回収・リサイクル率を100%に近づけていくということだ。しかし、一企業の力だけで残り16%を埋めることはできないという。

「日本の回収・リサイクル制度と慣習は、極めて優れています。消費者が自宅で飲み終えたPETボトルを洗い、決められた場所に持ってくる国は、世界広しといえども我が国だけといってもよいのではないでしょうか。自治体が中心となり、積極的に市民への啓発活動を行い、市民が分別排出を行ってきた成果だと思います。一方、事業者が回収する部分についてはまだまだ改善の余地があると考えています。インフラが整っていない施設もありますが、自動販売機の横に回収ボックスが備わっていても、異物を入れられてしまうケースもあります。加えて、道端に捨てられてしまうこともあります。こういった課題を1つずつ解決するために、私たちは企業としての取り組みを強化するとともに、引き続きさまざまなステークホルダーとの協業や訴求活動を行っていきたいと考えています」

3つ目の柱は、清掃活動による地域の美化。コカ・コーラシステムの社員は、これまでも全国にあるボトラー社の事業所周辺地域や地元の水源地域で清掃活動を行ってきたが、今後はその回数を増やすとともに、意識改革も進めるという。

「多くの社員の意識はまだ、『社会的責任で清掃活動をやっている』という段階です。環境担当としては、清掃活動を含めた『容器の2030年ビジョン』が、コカ·コーラ社製品を飲んでくださるお客様に訴求できるビジネスコンテンツだということを伝えていきたい。社会に支持される企業価値の向上はもとより、清涼飲料メーカーとしての環境に配慮する意識が社員に根付くことで製品開発にも反映されるようになり、製品の付加価値を高める良い循環をつくっていきたい」

近藤がそう話す根拠は、「い·ろ·は·す」の成功体験にある。2009年、日本コカ·コーラは「い·ろ·は·す」の容器に「ecoる ボトル しぼる」を採用した。これは一般的なPETボトルよりも素材が薄く、飲んだ後に「しぼってつぶせる」という廃棄物削減のメリットがある容器だ。社会に革新をもたらしたこの容器は、国内外で多くの賞を受賞し、今もエコフレンドリーなブランドとして強く支持されている。環境課題への取り組みがビジネスとしても成功した1つの事例である。

 

 

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